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組織開発のレベルを高めるためにぼくが実践してきたこと

組織開発はアートである。このことは、以前にnoteに書いたことがある。

組織開発は多様な課題を対象としており、多様なアプローチをとるものだからこそ、その実践の輪郭はぼんやりとしており、曖昧である。妥当性が高いと思われたソリューションは想定した成果を出せず、むしろ、思いがけない副産物が生まれたり、あるいは、思いがけないアイデアが想像以上の成果を生むこともある。まったく思い通りにいかない。そういう意味で、ぼくは組織開発をアートという言葉で表した。

そして、このことが組織開発の実践知を継承しにくくさせている理由でもある。

でも、だからと言って組織開発の実践や継承にセオリーがないか、といえばそんなことはないように思える。組織開発に携わって約15年の月日が経った。組織開発の実践者として、どんな経験が必要かをまとめておくのも悪くない。そう思ったのがこの記事を書いている理由だ。組織開発に関心がある方に読んでもらえたらとても嬉しく思う。

ひとつ断っておくが、組織開発はアートであるゆえに手っとりばやく熟達する術はない。地道な努力が必要だ。そのため、ぼくは組織開発のレベルを上げることを示すのにつぎの比喩をよく使う。

目の前に一本の川がある。あなたは、今から川岸にある石を投げてダムをつくろうとしている。するとどうだろう。最初のうちは投げても投げてもダムの影も形もできあがってこない。あなたは途中で諦めたくなる。それでも投げつづけていると、やがて川面に石の山が見えてくる。ここまでくればあなたはダムを完成したようなものだ。そのあとは、どんどんダムの様相を呈し、ダムらしく川の水を堰き止められるようになる。

組織開発も同じようなことが言える。最初のうちは組織開発が何か、何をどのようにすればうまくいくのか、何がどうなったらうまくいったと言えるのか、わからないことだらけだと思う。でも、日々の研鑽を続けていくうちに、ああ、組織開発ってそういうことか、とわかる日がくる。そう信じて、日々の積み重ねを大事にしてほしいと思う。

そして、もうひとつ断っておかなければならないことがある。この記事は組織開発の基礎知識を前提に書かれているということだ。そのため、組織開発の基礎知識については、以下の書籍を参照いただきたい。

前置きが長くなった。それでは、ぼくが組織開発のレベルをあげるために、実践してきたことを紹介していこう。

組織開発の基礎知識をインプットする

手始めに組織開発とは何たるかを知っておく必要がある。組織開発においては理論知よりも実践知のほうが重要であるというのがぼくの考えだが、それでもまずは組織開発の基礎知識を抑えることが必要だ。

とはいえ前述したとおり、この記事は組織開発の知識がある程度あることを前提としているため、末尾に参考図書をいくつか紹介することにとどめたい。実際にぼく自身が読み、役に立ったと思える書籍を厳選している。機会があればぜひ読んでみてほしい。

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