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大学生向けAIハッカソン開催レポート!大学生がアイデア創出からAIサービス開発までを競い合う【ライフイズテック】

こんにちは!広報インターンをしています、メンターのきほもりです。

ライフイズテックには、中高生を教える役割を持った「大学生メンター」が多数在籍しています。彼らは中高生の学びを支えながら、自らも技術力や開発力を磨き、学び続けています。

生成AIが話題となって以降、ライフイズテックでもAIに関連するイベントやキャンプを多数開催してきましたが、メンターも同様にAIに関する理解を深めてきました。
今回は、その一環として行われたメンター向けイベント、AIアプリ開発ハッカソンの成果発表会の様子を、メンターたちが制作した作品と共にお伝えします。


関東・東海・関西のメンターが集合!AIアプリ開発ハッカソン

「ハッカソン(hackathon)」とは、「ハック(hack)」と「マラソン(marathon)」を掛け合わせた造語で、チームで制作したプロダクトの成果を競い合うものです。今回のイベントでは、メンター同士がチームとなり、生成AIを使ったプロダクトを制作しました。

3週間の制作期間を経たこの日は、関東・東海・関西のメンター約20名、計7チームの作品発表会と体験会が行われました。
画像認識AIを使ったSNSや、ライフイズテックスクールでの指導・支援の可能性を広げるツール、写真の腕前を測定したり、トレーニングをサポートするツールなど、バラエティに富んだ作品が並びました。

作品紹介

コードの修正ができるVSCode拡張ツール「Tech Linter」(てっくりんたー)

チーム名:rainhaven-innovators
メンター:たお、たくー、ピナ

作品概要:
「Tech Linter」は、コードの修正をするVSCode拡張ツールです。
既存の修正ツールとは異なり、修正箇所だけではなく、修正すべき理由を提案します。中高生に教える際のコード理解を促進し、指導の幅を広げることを目的としています。
コードレビューをしたいファイルを開いた状態で「Tech Linter」を立ち上げ、コマンドを実行すると、コンパイルエラーや、ファイル名とmonoBehaviourクラス名の不一致、マジックナンバーの使用などが、C#コード分析により自動検知されます。また、曖昧な変数の命名やメソッドの多用など、コード分析で検知されなかった内容は、chatGPTで検知、分析されます。分析結果は、ChatGPTを通じて、Unityコースのキャラクターであるウーノ君の優しい口調に変換され、該当箇所に表示されます。

お題に沿った写真を投稿するゲームアプリ「BeSimilar,」(びーしみらー)

チーム名:WAA!!!
メンター:わくわくさん、えーえす、あづき

作品概要:
「BeSimilar,」は、制限時間内にお題に沿った写真を投稿するゲームアプリです。日常生活の中で新たな視点で物や風景を見ることを促します。
お題は毎日更新され、日常ではなかなか見かけないもの(ゾウ、城、竜巻など)が提示されます。ユーザーは、お題に見た目が似ているものを探し、アプリ内で撮影すると、AIが類似度を判定します。判定結果は他のユーザーの結果と共に一覧で表示され、結果を競い合います。
撮影した写真とお題の画像の類似度の判断は、独自のAIモデルが行います。このモデルは、CoreMLを使って敢えて「弱い」AIを作成しました。具体的には、精度が高すぎるAIを用いるとお題と違う写真を投稿した場合、類似度が極端に低いものばかりになってしまう可能性があるため、さまざまな写真からお題に類似した箇所を検出できるものになっています。

一発ギャグ生成アプリ「AIdea」(えぇあいであ)

チーム名:KPOP
メンター:つぼつぼ、まとん、ゆりあん

作品概要:
「AIdea」は、一発ギャグ生成アプリです。
ライフイズテックのキャンプでは、メンターは場を盛り上げるために度々一発ギャグを振られるシーンがありますが、突然のことで頭が真っ白になってしまうことがあります。そこで、簡単にしかもウケる逆を提案してくれるアプリです。
使い方は「AIeda」を立ち上げ、「助けて」ボタンを押すと、面白いギャグのタイトル・フリ・オチ・難易度・所要時間を提示してくれます。
一発ギャグの生成は、Youtube上などの一発ギャグ50件を学習したGPTsが行います。ユーザーがギャグを披露したあと、ウケたか否かをフィードバックとして送信することで、ファインチューニングが行われ、ギャグの精度が高まっていきます。

返信に困るLINEに対応するコミュニケーション支援アプリ「メンヘラAIン(めんへらいん)」

チーム名:塩対応
メンター:しまとー、おまつ、あんず

作品概要:
「メンヘラAIン」は、返信に困るテキスト上のやりとりに返信メッセージを生成してくれるアプリです。
届いた文章をスクショしてアップロードすると、Cloud Visionが画像から文字起こしを行います。起こされたテキストをベースにChatGPTがタイプを分析し、攻撃性(自分を攻撃 / 相手を攻撃)・明るさ(暗闇の中に落ちていく暗さ / わざとらしい明るさ)・文章の長さ(単文複数連投 / 長文一撃)・立場(下手にでる / 優位に立ちたい)の4つの項目に対して-1.0~1.0の数値を付けます。この分析結果を踏まえてChatGPTが相手との人間関係を損なわない返信を生成します。ユーザーは、返信をコピーしてテキスト入力欄に貼り付け、送信するだけです。

AIパーソナルトレーナー「AI TRAINER」(えーあいとれいなー)

チーム名:MUKI MUKI
メンター:ひむら、パタパタ、NINA

作品概要:
「AI TRAINER」は、トレーニングの初心者をターゲットにした、自分だけのパーソナルトレーナーを提供するシステムです。
性別・年齢・身長・体重・目標・鍛えたい部分・運動頻度を入力すると、ChatGPTが適切なトレーニングメニューを生成します。メニューは1日ごとに表示される仕組みで、トレーニング前にその日の体調や筋肉痛の具合を入力すると、それに合わせた1日分のメニューが生成されるようになっています。

写真の上達を目指すアプリ「FocUs」(ふぉーかす)

チーム名:なごやらしさ全開
メンター:さく・きぺお・さーさん

作品概要:
「FocUs」は、お題に沿って撮影した写真の構図を採点し、友達と得点の順位を競うサービスです。写真の上達を目指すユーザーが、練習とフィードバックを受ける機会を得ることができます。
今回開発したアプリでは9種類からお題がランダムに一つ選択され、それに合わせた写真を撮影すると、CACNetで使われているComClassifierが構図のスコアを採点します。CACNetの学習には、構図のラベルが振られている画像のデータセットであるKU PCPを使用しました。

スクール生の開発を促進させる管理ツール「新TMS」(しんてぃーえむえす)

チーム名:Kansai Girls
メンター:てる、こんちゃん、きなこ

作品概要:
「新TMS」は、ライフイズテックスクールのスクール生自身のタスクを自動で分解し、メンターがスクール生を補助することを支援するツールです。
TMS(タスクマネジメントシート)とは、スクール生が自身の開発を管理し進捗させていくために目標からタスクを分解し記載するシートですが、スクール生の多くがこのタスクの分解に躓いていたため、支援ツールを開発しました。
新TMS上で、タスクの開始日と終了日,作りたいゲーム(現状ではゲームのみに対応)の種類と世界観を入力し、「タスク分解ボタン」を押すと、タスク内容・必要日数・締め切りがChatGPTにより生成され、表示されます。「実装方法出力ボタン」を押すと、さらに詳細にタスクが分解されます。ボタンを二つに分けることで、必要に応じてAIの補助を使うのが狙いです。さらに、TMSが更新されると、slackに通知が飛ぶようになっており、メンターがスクール生の開発進捗を把握しやすくなっています。

体験会、そして結果発表・講評

体験会では、メンターたちは他のチームの作品を実際に利用し合いました。発表では説明されなかった詳細技術や、制作の過程を聞き合っていました。

「AIdea」で生成した一発ギャグを試すメンター

体験会の後、執行役員でCTOの奥苑から結果発表・講評が行われました。1位に選ばれた作品は、「BeSimilar,」と「メンヘラAIン」でした。講評では、「『BeSimilar,』は、日常の中で使えるという観点がおもしろく、coreMLという機械学習ライブラリを使って、AIの使用コストを抑えたという技術ポイントが高かった。『メンヘラAIン』は、アイデアの独自性が高く、退職代行や別れ代行など個別のコミュニケーションを必要とする場面への拡張に期待が持てた。」とコメントがありました。

「BeSimilar,」のランキング画面

取材を終えて

同じメンターとして、3週間でここまでの作品を完成させられる企画力・技術力に驚きました。また、作品のジャンル指定がなかったことで、今すぐにでもキャンプやスクールで活用できるものから、多くの人の課題を解決できるものまで、メンターの創造力の豊かさを改めて感じる機会でした。

これまでは、ChatGPTをアイデア出しの壁打ち相手として利用したり、画像生成AIで作品内で使用する素材を作成するなど、AIは作品の一部として、開発のサポートツールとして利用されていました。しかし、今回のハッカソンでは、サービスのコア機能にAIを組み込んだ作品が多く、これまでの作品制作から一歩ステップアップした様子が見られました。AIが私たちの本質的な課題解決にどれだけ貢献できるかを示し、今後のメンター自身の制作活動だけでなく,中高生メンバーの開発支援に対しても、AI活用の期待が高まりました。


ライフイズテックでは、現在、中高生向けAI無料体験会や、サマーキャンプのお申込みを受付中!サマーキャンプではChatGPTやStable Diffusionを活用してUnityゲームを制作し、AIと協創する方法を学ぶAIコースを東京大学や早稲田大学、成蹊大学会場などで開催する他、全コースを通じて生成AIを体感できるアクティビティを実施予定です。
詳細は以下をご覧ください!


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