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【気ままに書評】愛猫をかわいがるように自分の感情をめでる。

「今の時代、多くの人が人間関係に疲れているように見えますが、本当は人間関係ではなく、自分の感情に疲れているのです」。これにどきっとした人は吉武大輔『ネガティブ感情向き合い練習帳ーイライラ、モヤモヤ、自己否定感がみるみる消えていく』を読んでみるといいかもしれません。

著者の吉武さんはアクセス・リーディング協会の代表理事をしており、4冊目の著書になります。また、山口県長門市で2020年から人・社会・自然が調和した循環型ライフスタイルをつくるコミュニティ「俵山ビレッジ」を切り盛りしており、筆者はこの文脈でもご一緒させてもらっています。

本書の焦点は感情、特にネガティブ感情です。

私たちは感情、特にネガティブ感情から大きな影響を受けています。ところがさまざまな感情を感じながら生きているにもかかわらず、私たちは感情についての知恵を学ぶ機会がほとんどないまま、大人になってしまいました。(19頁)

と筆者は言います。それぞれ違う人生を生きているはずなのに、感情については同じようなパターンにはまってしまい、苦しんでいる。長年のカウンセリングからこのことに気づき、ネガティブ感情の秘密を知り、望む人生を生きる一歩を踏み出してほしいという願いから、本書は生まれました。

「感情とは何なのか。感情に向き合えば自分がわかる」や「感情を書き換えるレッスン」など、章ごとに感情の秘密が明かされていますが、今回は第3章「自分のネガティブ感情のレシピを知る」を詳しく紹介していきます。

第三章のテーマはネガティブ感情。感情のうち、怒りや悲しみ、罪悪感や無価値観といった感情に焦点を当てていきます。

筆者によれば、ネガティブ感情は8つに分けられるのですが、本書では特に怒り、悲しみ、寂しさ、不安の4つにフォーカスし、それぞれのことを紹介しています。

人にはそれぞれ特に感じやすく、人生のテーマとなりうる「主感情」と呼ばれる感情があり、巻末の「感情診断テスト」でそれを見つけてから読むと効果的でしょう。

ちなみに筆者の主感情は「怒り」で、「自分が大切にしているものを大切にしたい、周りの人にも大切にしてほしい」と願っているけれど、何らかの理由でそれが叶わなかったり、伝わらなかったときに、怒りとして表現してしまうそうです。

「怒りがわいてきたら、自分がなぜ怒っているのか、何を大切にしているのかを観察してみましょう。」(84頁)という筆者の助言にならい、良い・悪いを評価せず、観察するようにしました。

ネガティブ感情はその人の隠された本心やテーマを表すものなので、わき上がってきた感情がヒントとなり、自分でも気づいていなかった本心に気づく
大きなチャンスになります。(80頁)

怒りがわき上がるごとに記録をとりながら観察すると、自由研究してるみたいで、おもしろいです。

本書の語り口はやわらかく、節目ごとにワークが紹介されるなど、ネガティブ感情に振り回されず、感情との向き合いを積み重ねていくためのガイドになってくれるでしょう。

筆者が主感情のひとつ「怒り」への理解を深めることから始めたように、あれもこれもと欲張らず、一口サイズのアクションからやってみると取りかかりやすいと思います。大丈夫。具体的に動けば具体的な答えが出ます。


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