あなたのその仕事、本当に天職?~書評 科学的な適職 最高の職業の選び方~ その2 仕事選びにおける7つの大罪とは?
自分の仕事に違和感がある方、仕事選びのコツをご存じでしょうか?
仕事選びには、自分の軸を持つことが大切ですが、その軸を作るのが難しいと思います。直感や一般的な価値観をもとにするよりももっと正確な軸の作り方があるそうです。
その内容が、「科学的な適職」という本に書かれています。
転職活動中の方、就職活動中の方、将来就きたい仕事を思案している方、そして仕事を通して幸せになりたい方にとてもおススメです。
本記事はその書籍に沿って解説しておりますので、良かったら最後まで読んでみてください。
今回は前回の続き「仕事選び7つの大罪」の続きからです。
前回までのあらすじ
人類は職業選択の自由を手に入れたばかりで、仕事を選ぶ能力が著しく低い。
仕事選びは“好きを仕事にする”“給料の多さで選ぶ”など一般的に言われている価値観に従って選ぶと失敗する可能性が高い。
仕事選びにおいては、失敗しやすい定番のミスがある。これらをまとめて仕事選びにおける7つの大罪とよび、避ける必要がある。
7つの大罪の一つ“好きを仕事に”すると人生の幸福度が低くなる傾向がある。
そして今回は、続き、大罪の2つ目から解説していきます。
大罪2 給料の多さで選ぶ
お金で幸せは買えるのか?
仕事を選ぶとき、給料の額は確かに大切です。お金がなければ生活がままならないので、当然です。しかし、給料の多さと人生の幸福度にはほとんど相関がないという研究結果があるそうです。幸せはお金で買えないという使い古されたフレーズは、確からしいということです。
実際に、人生を幸福にする決め手は何なのかというと、次のようなものだそうです。
1. 仲がいいパートナーとの結婚
なんと収入アップから得られる幸福感の7.7倍幸せでいられるそうです。
(この時、収入アップは平均値→上位10%に上昇した場合との比較です。なので日本で例えるならば年収441万円→750万円以上ということになりそうです https://howrich.info/ 調べ)
2. 健康でいる
健康レベルが「普通」から「ちょっと体調がいい」に改善したときの幸福度の上昇率は、収入アップから得られる幸福より65倍も大きいそうです。
(この場合の収入アップは平均値→上位1%に上昇した場合との比較です。日本で例えれば年収441万円→1500万円に上昇したときと同じ感覚です。)
はっきり言って、健康に比べればお金なんて目じゃないって感じですね。
逆に、お金で得られる幸福度を吹き飛ばす不幸なこととして次のことが挙げられていました。
離婚や失職による幸福度の低下率は年収が1/3に減った時の幸福度の低下に匹敵する。
以上のことから、人生を幸福に暮らすためには、お金を稼ぐことよりも良きパートナーと巡り合うこと、健康を改善することのほうがはるかに大事ということがわかります。
年収400~500万円からそれ以上の賃金上昇は、幸福度アップに貢献しにくい
「人生の幸福度は年収800万円でピークに達する」これはノーベル賞受賞者であるダニエル・カーネマンの研究で知られるようになった事実だそうです。ざっくりと説明すると、
・年収は低い状態から平均値に向かって上昇している間は、人生の満足度も同様に上昇する
・世帯年収が300万円から500万円に達したあたりから満足度の上昇が鈍り始める
・世帯年収が800万円から900万円以上になると、満足度はほぼ横ばいになる。
世帯年収がすでに400万円程度に達している場合、お金をさらに稼いでも幸せを感じることはあまりないらしいのです。
さらに、残念なことに、給料アップの喜びは一年しか続かないのだそうです。
なぜ、お金があっても幸せを感じにくくなるのか?それは「ランク所得説」によって説明できるそうです。
ランク所得説とは、例えばあなたが百万長者になった時に、億万長者と自身を比べてしまい、結局みじめな思いをしてしまうという現象です。
お金持ちになれば、結局周囲のお金持ちと自分を比較するのだそうです。そして際限のない背比べを続けるのです。
ということで、お金だけを指標にして仕事を選ぶと幸福になれない可能性があるのです。
大罪3 業界や職種で選ぶ
好きな業界を選んで仕事をすれば、どんな仕事に就こうが、自分の好きなことに関わっていられるから幸せ。
とか
成長している産業に従事する方が良い。そうすれば自分の頑張り以上に業績も給料も増える。
とか、巷ではそう言われています。
が、好きを仕事にした時の、その幸せはずっと続くのでしょうか?
これを調べた研究があるのだそうです。
まずは「好きな業界」幸せ説に関してです。
自分の好きなもの、自分の将来の興味は変化しやすいのだそうです。10年単位で考えると、自分の好みの変化は、ほとんど予想できないのだそうです。
現在の好みで選んでも、数年経ったら興味を失っているかもしれません。
「マスコミに興味があって」とか「コンサルカッコいい」などと考えて就職しても、結局興味を失わないという保証はどこにもないそうです。
自分の将来の趣味嗜好すらも予想できないとは。人間の予想は本当にあてにならないものですね。
さらに、「成長している業界」安泰説に関してです。
ペンシルバニア大学のある研究では248人の研究者、評論家、経済学者などを集めて将来(3~5年後)の産業の隆盛を予測したそうです。
結果はどうなったか?
なんと
正解率50%だったそうです。
産業が「伸びる」「伸びない」の予測なので、コイントスと同じ確率で、素人の予想と変わらない状態だったそうです。
「今はITがきてる」などの謳い文句も、十年後までを保証しているわけではないのだと思います。
業界、職種だけで選んでも幸せな職選びにはならないということが分かりますね。
大罪4 仕事の楽さで選ぶ
人には適度なストレスが必要なのだそうです。ストレスが無いと、今度はその状態がストレスになるのだそうです。また、適度なストレスは充実感をもたらすことが知られています。
これは、ストレスを感じるときに分泌されるコルチゾールが、適度な量であれば、仕事を遂行した際に達成感を生むからだそうです。
楽な仕事も度が過ぎると逆に早死にのリスクになるほど、害になるそうです。適度な難易度の仕事ができる職に就く方が良いそうです。
大罪5 性格テストで選ぶ
性格テストとは
「当てはまる」「どちらかと言えば当てはまる」「当てはまらない」…という選択肢をポチポチ押して、自分の性格を診断してもらうやつです。
今のところ様々な性格テストが考案されているのだそうです。でも、それらが科学的にあなたの性格を判断しているわけではないそうです(タロット占いの域らしいです)。
性格テストから割り出される適職を選んでも、バッチリ自分の適職が見つかるなんて分かりません。そもそも”性格”が”正確”に診断できていないのですから。
大罪6 直感で選ぶ
これだ!と思う職を選ぶ。
こういう職選びをして、今の仕事に満足している人って、結構身近にいたりしませんか?
本人は確かに満足している場合が多いそうです。
これは、「自己正当化」つまり、「自分はこれを選んで正解だった」と思い込むような思考が働いているからなんだとか。
結果として、「本人は満足」でも「周りの家族や友人からの評価は低い」場合が多いそうです。
自分の人生ですから、自分で職業を好きに選択するべきです。しかし、家族がいる場合などはよく考えた方が良いですよね。
直感的ではなく、きちんと合理的に選ぶべきです。
「合理的に選ぶ」というのは、科学的に、客観的に選ぶことです。本書にそれが書いてあるということですね。
大罪7 適性に合った仕事を選ぶ
自分の得意を活かす。これもよく聞くキャリア選択の方法です。しかしこれも失敗の原因になる場合があるのだとか。
いや、得意なことを仕事にすれば、業績も伸びるしいいじゃないかと思えます。
でも、そもそも適性って何?という話です。
能力を測るための疑似的な仕事に従事してもらう(ワークサンプルテスト)やインターンシップ、面接、IQテストなど様々な手段でその人の能力を「評価」することは出来ます。
しかし、それが実務と関連があるかというと、「あんまりない」そうです。
実務においては、忍耐や学習能力などほかのパラメーターも出来不出来を左右するのだそうです。
さらに、会社によっても文化が異なっていて、文化に馴染めるかどうかも大切になってくるそうです。
さらに、適性があるからという理由で会社に入ったら、自分と同じような能力、考え方の人で埋め尽くされている。こういった場合、自分の能力発揮が他の社員と競合してしまって、幸福度が下がってしまうそうです。
自分の適性だけで判断して会社を選んでも、幸福になるとは限らないのです。
まとめますと
職選びにおいて、失敗しやすいパターンは7つ。これらを「仕事選びにおける7つの大罪」と言う。
1. 好きを仕事にする
2. 給料の多さで選ぶ
3. 業界や職種で選ぶ
4. 仕事の楽さで選ぶ
5. 性格テストで選ぶ
6. 直感で選ぶ
7. 適性に合った仕事を求める
以上が7つの大罪です。これらを犯しがちだと著者は述べています。
「自分の仕事選びの軸にするようなことが、大罪としてほとんど挙げられてしまった。。。」
こう考える人が多いのではないでしょうか?
本書には、7つの大罪に対して、7つの徳目が用意されています。
この徳目をもとに。自分の適職を、「科学的に」見つけてくださいね。と我々に道を開いてくれているのです。ありがたい!
次回は7つの徳目を解説します。
興味のある方は、「科学的な適職」ぜひ読んでみて下さい。
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