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印象的な、象徴的な朝

「やっぱ朝っすよ」という近所のトレイルライダーの声に引っ張られて、5時に起床する。体は全く動かないけれど、前日から出発の準備してあるので、ごそごそと着替えを済ませ、ヘルメットを被る、MTBに跨り、合流しのんびりと走り出す。

朝日を見ながら坂を登る。ほとんどウォームアップにならないところからの6㎞のオンロードの坂はMTBには少々きつい。坂を登りながら東から朝日がじわじわと昇ってくるのを背中に感じる。

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朝日を浴びながらのパドリングでもがくサーフィンの気分はこうしたものなのだろうか。サーフィンは未体験なので全く想像できないのだがそれに近いものではなかろうかと想像力を働かせる。9号そして10号と台風が近づきつつあるらしいが午後からは天気が崩れるとは思えないほどの快晴だ。遮るものがなく開放感が高い海とは違い(これも想像だが)、朝方の山はまだ薄暗い。しかし木々の間から差し込むまだ低く赤や黄色の色をした太陽の光によって描かれる陰と陽のコントラスト、今日も一日の活動の息吹を開始した草木の匂いなど、森は幻想的かつ印象的なシーンに溢れている。

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オンロードからオフロードへ、サドルトークをしながらとは言っても、スタートからひたすら登りトレイルヘッドに着くころにはすっかり青空と少しだけ黄色を残した朝日が辺りを自分たちが暮らす街を明るく照らしてくれている。一日の始まりに自分が生まれ育った街をこの位置から一望し眺めるのは本当に素晴らしい体験だ。

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そして波乗りのごとくトレイルを下り、帰路につく。自転車であるが故の悲しさか、登る労力と下る労力は必ず大きく反比例している。下りはわずか20分程度だ。出発より2時間弱、帰る頃には朝の白い光に照らされた街はすでにいつものようにあわただしく動いていて、そしてそれぞれの生活のリズムがあちらこちらから感じられる。そして我々もそれぞれの生活、それぞれの一日が始まる。

少しだけ日常の中の非日常を体験できる朝の時間。そして朝の空気はすでに秋がすぐそこまで来ていることを強く感じさせる。そうどんな時代であっても、僕らがどんな生活をし、様々なことに四苦八苦する毎日を送ろうが送らまいが季節は確実に巡り、良くも悪くもあるがままを包み込んでいくのだろう。

※ハッチさん写真をSNSよりお借りしました。

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