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Kindle本の「紙の本の長さ」とページ数の仕組み・増やし方

Kindle本を読んでいるとき、「ページ数はどうやって算出しているのだろう」と思ったことはありませんか?
「Amazonなら電子書籍の個人出版ができます」と話をするときも、『ページ数はどのくらいが適切ですか?』と質問を受けることがあります。
そこで今回は、Kindle本のページ数がどんな仕組みになっているかを解説したいと思います。

Kindle本の仕組み


まずはKindle本の仕組みについて見ていきましょう。
Kindle本は電子書籍なので、スマホやタブレットなどのデバイスで購読されます。
勿論アプリをインストールすればPCでも読むことはできますが、比率で言うとモバイル端末で読まれるのが大多数です。
何故なのかはこちらの電子書籍を読むタイミングに関する記事を参考にしてください。

基本の仕組みは

1Kindleストアで書籍を購入・ダウンロード
2.Amazonのアカウントと連動させたKindleアプリに書籍を移動
3.Kindleアプリで書籍を購読

というもので、AmazonKindleストアのプラットフォーム上で直接読むことはできません。
iPhoneを例にとると、Amazonアカウント作成+Appストアで「Kindle」アプリダウンロードという最低でも2つの作業が必要になります。
Amazonの提供する電子書籍の購読に特化したFire端末を使う場合でもKindleアプリで購読する場合でも共通して言えることは、デバイスによって入る文字数=合計ページ数が異なるということです。

ページ数とは?


購読する端末によってページ数が異なるのであれば、Kindleストアでページ数の表記などはできないはずです。
しかし書籍の詳細ページでは確かに「ページ数」の表記がされています。


これはなぜでしょうか?

答えは、Amazonが独自の方法でページ数を算出しているからです。
「仮にこの書籍を紙の本にしたらどのくらいの長さになるか」を推定して導き出しているのです。
この推定ページ数は、読者が本を買うときの目安になるだけでなく、KindleUnlimitedでのページカウントにも使われます。
KindleUnlimitedでは読まれたページ数だけ著者に収益が発生しますが、その「何ページ読まれたか」の指標にこの推定ページ数が使われるのです。
Kindle本のページ数とは、「紙の本なら何ページか」を元に考えられる値で、様々な指標に使われる数値なのです。

ページ数の算出方法


ではこのページ数、具体的にどうやって計算・算出されるのでしょうか?
Amazonは自社サービスの仕組みについて黙秘することが多く細かい仕組みを教えてはくれませんが、公開されているドキュメントからある程度の推測は可能です。
ここではその仮説を紹介します。

Kindleストアの紙の本の長さの説明には、以下の記述がされています。
「推定の長さは、Kindle で表示されるページ数を使用し、印刷本に極力近い表現になる設定で計算されます。」
AmazonはFire端末のほかにKindleという電子書籍リーダー(タブレット端末)を販売しています。
これはつまり、Kindle端末で表示されるページ数を基準に、紙の本にした場合のページ数を算出していますと解釈することができます。


KDPから電子書籍を出版する際に、書籍のレイアウトをプレビューすることができます。
その際のサイズなどはKindle端末の表示に近い形になっているため是非一度見ていただきたいのですが、このプレビューのサイズと紙の本のサイズや文字数を比較すると明らかに差異があります
つまり、Kindle端末のページ数をそのまま使っているワケではなく、正確には「一度Kindle端末の表示形式に落とし込み、一般化した後に紙の本に合わせている」と考えるのが自然でしょう。
落とし込んだ後の処理方法は問い合わせても答えてもらえないため分からないのが残念ですが、Kindleの表示を使って算出しているという仮説が正しければ、これをうまくつかえば利益を拡大できる可能性があります。

オマケ:ページ数を増やすには?


一度Kindleの表示を通すということは、レイアウトがページ数に影響を与えるということでもあります。
つまり、CSSを使えば意図的にページ数を増やしてしまうことが出来るかもしれません。


電子書籍の原稿をHTML形式やepub形式でアップロードする場合、CSSを使ってレイアウトの指定をすることができます。
そこで文字サイズを大きくしたり、行間を長くとれば通常よりも1画面に入る文字数が少なくなります。
Kindle端末の場合、基本的に「ページ数=合計文字数/1画面あたりの文字数」が成り立つため結果的にページ数が増え、Kindleストアで表示されるページ数も劇的にではなくとも増加する可能性があります。
レイアウトを独自のものにして読みやすくするだけでも読者は読みやすく感じることもあるため、一度CSSを使ってレイアウトを操作してみるとよいでしょう。
とはいえ過剰に文字サイズを大きくしたりしてしまうとレビューがあれる可能性が高くなる為、あくまで自然な範囲に収めるようにしましょう
HTML形式は初心者には難しい部分もあるため、epub形式をお勧めします。
epubの作り方はこちらのepub原稿作成方法を参考にしてください。

CSSの操作はなかなか面倒です。
もっと簡単にページ数を増やしたい場合は画像と改ページを使いこなしましょう
Kindle本の場合、画像はサイズを指定しなければ画面いっぱいに広がる傾向があります。
つまり、画像を入れれば入れるほどページ数が増えていくのです。
画像が入ると書籍も読みやすくなる為、積極的に入れていくとよいでしょう。
このときなるべく入れる画像のサイズはなるべく大きめ(水平サイズが500~1000ピクセル)にしておきましょう。
画素数が小さいと画面が荒くなってしまうことがあるからです。

改ページとは指定した場所以降を強制的に次のページに持っていくことが出来る電子書籍特有の機能です。
これを使えば改ページ以降の文字を継ぎページに持っていくことが出来る為、必然的にページ数が増えていきます。
章の終わりなどに改ページを追加すれば書籍も読みやすくなりますし、これも積極的に使っていくとよいでしょう。
ただし、段落の途中での改ページなどは読者の混乱の原因になる為、使いどころは選ぶべきです。
CSS、画像、改ページをうまくつかって読みやすく、収益にもつながり易い書籍を作っていきましょう。

まとめ


Kindle本は画期的なサービスであるだけに、なかなか分かり辛い部分もあります。
だからこそきちんと調べて活用すればライバルに差をつけることも可能です。
仕組みを上手に使って読者にも著者にも嬉しい書籍を作りましょう

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