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次世代に伝えたい我が家の戦争ヒストリー

8月になるとメディアでも取り上げられるのが
太平洋戦争の話。

6日は広島の原爆
9日は長崎の原爆
15日は終戦記念日。

日本中が少しピリッとした空気感に包まれます。

40代である僕は当然ながら
あの戦争を体験していませんし、
親世代だって戦後生まれ。

体験したのは祖父母以上で、
体験者から直接話を聞けたギリギリの世代でもある
と思っています。

戦争の概略や流れ、出来事などは
メディアだったり本を読めば
誰でも容易に知ることができます。
でも、自分だけが知っている
先祖の体験については
その人が本や手記を残していない限り
それで途絶えてしまう
のです。

次の世代、
自分の子どもや孫にも
太平洋戦争のこと、
自分の先祖の話について
知ってもらいたいなと思い
僕の記憶の限りを
こうして残したいと思いました。

戦争の概略についてどう伝えたら良いかわからない
という方は下記の記事をどうぞ。

曽祖母の記憶

母方の実家に行くと、
仏間があって、
そこにはご先祖様の遺影や肖像画が並んでいました。
これがおじいちゃんで
これがひいおじいちゃんで
と幼少期に教えてもらったものでした。

いつも謎だったのは仏間ではなく、
2階の部屋にあった若い兵隊さんの写真。

この人だあれ?
とひいばあちゃんに尋ねると
「ばあちゃんの最初の旦那さんだよ」
と教えてくれました。
なんでも戦争に出征して亡くなったんだとか。
それで後妻さんとして
この家に嫁いだのだと話してくれました。

また、
仏壇には小さな位牌と
白黒の子どもに写真も飾られています。
この人だあれ?
と6歳の僕は尋ねました。

するとひいばあちゃんは
「ばあちゃんの子どもだよ。満州で死んじゃったんだ」
と言いました。
満州では子どもを二人亡くしたのだ、と。

その時、初めて満州という言葉を僕は知りました

満州の記憶

ひいおじいちゃんの文太郎さんは
炭鉱マンでした。
遺影を見る限りはツルツルでちょっと気難しそう
と思っていたけれど
すごく優しい人だったと言います。

文太郎さん

僕が生まれる前に亡くなってしまっているので
直接会ったことのある母に聞いても
優しい人だったと答えました。

文太郎さんと奥さん(ひいばあちゃん)のマサヨさんは
炭鉱の仕事をするために満州へ渡ったそうです。
満州ではそこそこ裕福な暮らしをしていたそうで、
中国人のお手伝いさんを何人も雇っていたとか。

マサヨさん

いつ満州に行ったのかは定かではないのですが、
満洲国ができたのが1932年で
終戦が1945年ですから、
住んでいた期間は数年〜長くても10年くらいなのかな
と僕は推測しています。

満州での終戦

日ソ中立条約を破棄した※ソ連は
(※今のロシア、ソビエト連邦)
1945年8月8日、満州に侵攻します。

露助(ソ連人の蔑称)が攻めてきた!
と日本人居留地では大騒ぎだったらしい。

近所の人は次々と露助に捕まった。
隠れたり逃げたりした人も中国人の使用人に密告されて
捕まったり殺されたりした。
でも、うちはおじいちゃん(文太郎さん)が人格者で
中国人に対しても優しく接していたから
使用人たちが逃がしてくれた
とひいばあちゃんは誇らしげに語りました。

そしてみかん箱ひとつだけ抱えて
命からがら福島まで帰ってきたそうです。

終戦、その後

その後、文太郎さんはいわき湯本、
今はスパリゾートハワイアンズがあるあたりの
炭鉱で働きました。

ある日炭鉱事故が起こって、
部下がまだ中に取り残されていると知り
文太郎さんは事故現場に戻ります。
部下は助けられたものの、
事故に巻き込まれ、
文太郎さんは下半身付随になって
寝たきりとなりました。

マサヨばあちゃんは
生活を立て直すために
弟を頼って地元である原ノ町に帰ります。
そして家を建て、
小さな商店を始めるのでした。

家族の歴史を知ること

自分とは何者か
人生、誰しもがその問いに
最低でも一度はぶつかると僕は思います。

自分自身を知るということは
自分を取り巻く環境について知ること。

自分の生まれてきて今までの歴史だけでなく
自分の生まれる前の歴史、
家族やご先祖様の歴史を知ることで
自分という人間がより浮き彫りになります。

今年は戦後79年。
戦争を体験し、ちゃんと記憶としてある人が
まだご存命です。
身近にもいるかもしれません。
うちも、93歳になるおばあちゃんがいます。

もしかしたら親世代は体験していた人たちの話を
直接聞いていたかもしれない。
この機会にぜひ話を聞いてみてください。
家族のヒストリーを知っているのは家族だけ。
それを次世代へと繋いでいきましょう

戦争の概略について子どもに伝える方法については
下記の記事をどうぞ。


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