見出し画像

葬儀屋さんの談話集。怖がりさんの私と、この仕事へのプライド。

私は葬儀屋さんで20数年のキャリアを持っているわけですが、実は怖がりさんです。

小学校の頃は福岡市の中心部に住んでいて、友人が住んでいる近くのマンションには裏道がありましてね。そこを通ると友人の家へ近道となるのでよく通っていましたが、そこは数年に一度起こるんです。何かってそう、飛び降りが・・・

その事件で、一度覚えているのは転落した後の血痕を消すのに砂が轢いてあったんですよ。それにビビりながら走り去るような子供でした。(笑)

そんな私が葬儀社に勤め始めて正直怖かったのが、

「幽霊はでるのか」と。(汗

でたらなんかこの先が思いやられるな~なんて思うと、当直が怖くなってしまいます。しかも、最初に勤め始めた葬儀屋さんでは、警察案件のお迎えが多かったんです。これは当初の私にはヤバいというか、怖いというイメージが…

警察案件のご遺体お迎えとは?

ええ、初めてお聞きになる言葉だと思いますのでご紹介しますが、

人が亡くなる場所は、必ずしも病院や自宅とは限らないのです。交通事故やお仕事中の不慮の事故、自死などがそうです。このパターンでお亡くなりになる方は必ず警察が介入することになります。なぜならば死因を突き止めるためです。大分前にもご紹介しましたが、【孤独死】などもそのようになるケースが多いです。

話をもとに戻しますがそのようなご遺体のお迎えでは、時にドキュメンタリーなシーンもありまして、就業したての頃は先輩から心配して頂いていたので当然そのような現場にはいかない訳です。しかし、葬儀場でお迎えをする御手伝いに入ると、ただならぬ雰囲気を感じてしまうのです。なぜかというと、死後数日経過による匂いなど・・・

そんなヘタレな私ですから(笑)当然眠れるはずもなく翌日は白目状態です。そんな中しっかりと仕事をされる先輩方は凄いなあ、と感心したものです。

なのですが!!今まで幽霊を見たことがあるかと言うと、

まったくございません。もし、あっていたらもうこの仕事無理ーーーとなるのでしょうが、おかげ様というか慣れというか、様々なことを知る事により、このような怖さはなくなりました。様々なことは、いろいろな人の最後です。

正直なところ、最初は葬儀屋さんという仕事をすることの、

【誇り】というか、【プライド】ってなんだろう?と自問自答する時期が数年ありました。でも、「人の生き方」が千差万別であるように「死に方」も千差万別なんですね。しかしながら不慮の死を遂げた人は、誰にでも弔える訳ではない、むしろ私のような仕事をする人間がいて報われるのではないだろうか。  そう思えるようになり、その事さえも忘れていたある、お葬式の時に、喪家さまからこんなことを言われました。

「・・・(中略)それは葬儀屋さんやって儲かるでしょうけど、幸せ感じますか?」

と、仰いました。

私はこう、答えました。

「はい、私はこの仕事にやりがいを感じています。なぜかというと、お客様の○○様のように天寿を全うして亡くなられる方はまだしも、不慮の事故や自ら命を絶った人など、家族や残された人にとっては到底受け止めることのできない別れがあります。そのような方をきちんとお見送り出来る様にすることが自分の使命だと思っております。だから、私にとってはやりがいと、お客様に感謝して頂ける、良い仕事です。」

すると、お客さまの私に対する態度が一転、

「すごいですね。」

と仰いました。いきなり尋ねられた問いかけでしたので一瞬なんて答えようかと思いましたがそれまでの経験がその言葉をださせてくれたんでしょうね。

それが自分への仕事に対する気持ちが変わった瞬間でもありました。

今もその時の言葉は自分にとっての財産となってくれているような気がします。

もしもよろしければ皆さまのサポートを頂けたらとてもありがたいです。