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『ロビー・ヒーロー』感想

自分で自分のチャンスを潰しちゃってる人。

若さ、熱さ、正義感が
絶妙なバランスを壊す。

でもそこには真っ直ぐな思いがある。


組織やコミュニティの中で
誰も指摘しなくなった事…
まかり通っている不正や隠蔽。

飲み込まれたほうが上手くいく。
このままこの状況が続く限りは。

少しずつ少しずつ時代は変化しているけど
自分が生きている間には
きっと大きく形が壊れることはないだろう。
歪みを抱えたまま
まだまだ存在し続けるだろう。

だからきっと黙っていた方が
うまくいく。


声をあげた途端
大きな敵が襲いかかってくる。
面倒なことにまきこまれないよう
みんなの距離が遠くなっていく。


若いころは見えていなかった
綺麗事では片付けられない
複雑な集団の均衡を
"正しい事"
という誰に教わったかわからない道徳で
壊しにいきますか?
それとも全員の程よい平穏を保ちますか?


そんな事を考えさせられる作品だった。
痛い話だった。
他人の人生をじっくり見つめる中で
昔の自分や今の自分を見つめる。

とてもいい時間だった。

作品と向き合う時間は
これだから素晴らしい。


シリーズ
「声 議論, 正論, 極論, 批判, 対話...の物語」Vol.2
『ロビー・ヒーロー』Lobby Hero 日本初演

新国立劇場 小劇場

公演期間:
2022年 5月6日[金]~ 5月22日[日]
予定上演時間:2時間55分

作 ケネス・ロナーガン
翻訳 浦辺千鶴
演出 桑原裕子

出演
中村 蒼
岡本 玲
板橋駿谷
瑞木健太郎

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