見出し画像

外見で変わる人々の反応。身近に潜むルッキズムの権化。

最近ツイッターだかどこかで「アイドルなんてルッキズムの権化」という発言を目にした。今までアイドルについてそこまで深く考えたことはなかったが、「たしかに」とどこか納得してしまった自分がいる。というのも、先述した言葉はアイドルだけに限らず、人が他人を判断するときのクセみたいなものだと思ったのだ。

ルッキズムという言葉の意味を知らない人もいると思うので、以下にWikipediaからの引用を載せておく。

ルッキズムとは、身体的に魅力的でないと考えられる人々に対する差別的取り扱いのことをさす。 身体的魅力はよいものと関連づけられる。他方、身体的に魅力がないことは悪いものと結びつけられる。多くの人々が、身体的特徴で他者を判断する。その人がどのような身体的特徴を持っているかによって、人々の対応の仕方は変わるのである。

つまり簡単に言うと、魅力的な人の発言や行動といったものは、そのものの善悪を問わず、すべて善いものと判断される傾向がある、ということだ。

身近に溢れるルッキズム

たとえば、かっこいいイケメン俳優やロックバンドのミュージシャンなどは、世間的には魅力的な人物だと認識されている。イケメンのすることはなんでもカッコイイ、ロックバンドのミュージシャンが語る言葉には魂がこもってるなどなど。これもある意味ルッキズムが含まれているといえる。

自分の身近にいるブサイクな男が、イケメン俳優と同じ発言や行動をしたとしても、たいていの人は気持ち悪く感じるだろう。なぜなら元がブサイクだからだ。一方、イケメンがブサイクの男と同じ発言や行動をしたとすれば、世間の反応は「カッコイイ」や「可愛い」に変わる。これをルッキズムと言わずしてなんと呼ぶ?

ロックバンドにしても同様だ。ロックバンドのミュージシャンの音楽はかっこいい。それは間違いない。私もロックバンドは大好きだ。しかし、彼らの音楽がかっこいいからといって、ほかの事柄までかっこよくなるわけではない。誰もが熱狂する歌詞を歌っていたとしても、彼らとブサイクな男は同じ人間である。

でも世間は、かっこいい音楽をやってる人たちは生き様までかっこいいと判断してしまう。もう一度言う。これをルッキズムと言わずしてなんと呼ぶ?

「アイドルなんてルッキズムの権化」。たしかにそうだ。アイドルという肩書きを背負い、ステージの上でパフォーマンスしている姿を見ていると、世間は「可愛い」「一生懸命頑張っている」という印象を受ける。しかし、その印象はルッキズムを生む要因にもなる。

つまり可愛いアイドルは、性格が真面目で努力家で頑張り屋さんで何事にも一生懸命という印象を生むのだ。さて、3度目だ。これをルッキズムと言わずしてなんと呼ぶ?

人は外見が10割

よく「人は外見か中身か」と問われることがあるが、実際問題、「人は外見が10割」である。身体的な魅力が備わっていればいるほど得をする。これは紛れもない真実だ。ブサイクな女の子がすればバッシングの嵐になることでも、可愛いアイドルがすれば世間は「可愛い」と反応する。4度目だ。これを……やっぱりやめておこう。

「自分は人を見た目で判断なんてしない。ちゃんと内面を見てから判断する」という声が聞こえてくる。うむ。それは素晴らしい。誰もがあなたのように振る舞うべきだ。でも本当にそう言い切れるのか?と自問自答することを忘れちゃいけない。

あなたは自分は人を見た目で判断しないと述べているが、本当にそうなのだろうか?仮に世間の9割がブサイクだと認める人がいたとして、その人とあなたの大好きな芸能人がまったく同じ行動をしたとしても、まったく同じ感情でまったく同じ言葉で2人を評価することができるだろうか?

少なくとも私には無理だ。可愛いアイドルが普通の行動をすれば一般人よりも3割増に見えてしまう。

身体的な魅力に惑わされない

個人的な意見だが、現代では「人を見た目で判断してはいけない」という主張が多すぎるため、「人を見た目で判断しないように」自分に言い聞かせている人が多いように感じる。つまり、本当は見た目で判断しているのにも関わらず、見た目で判断してはいけないという風潮に負け、無理やり内面で外見のマイナスを補っているように思えるのだ。

行き過ぎたルッキズムはたしかに良くない。カッコイイから、可愛いから、頑張ってるから、真面目だから、いいこと言っているから、努力しているから、といった目に見える特徴を踏まえ、他人を判断するのは間違っている。人間は元々嘘をつく生き物であることを忘れちゃいけない。身体的な魅力だろうとなんだろうと、使える武器をすべて使って自己利益を狙うのは当然の行動だ。私たちは遺伝子には逆らえない。

ただ純粋に他人の外見を楽しめるのであればそれが理想だが、外見的な魅力は内面を良く見せてしまうものだ。人が本当に内面で他人を判断できるのなら、現在の芸能界や音楽業界はもっと様変わりしているだろう。悲しいかな。現代は才能があるブサイクよりも、才能のないアイドルを応援する世の中なのだ。

勘違いしてほしくないのが、私は何もアイドルを全否定しているわけでも、芸能界や音楽業界を揶揄しているわけでもない。人並みに好きな芸能人もいるし、アイドルやロックバンドミュージシャンも好きだ。ただ、身体的な魅力で他人を過剰に崇めるのは良くない、と述べているだけである。

人を見るときはできる限り外見的な特徴に振り回されず、子供のように真っ白な心で判断したいものである。

おしまい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?