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「まずは自分」ではなく、他人に目を向けることが大事。

どうして「傷つけたこと」ではなく「傷ついたこと」ばかり思い出すのだろう。どうして「助けられたこと」ではなく「助けたこと」ばかりが浮かんでくるのだろう。なぜ、「他人のこと」ではなく「自分のこと」ばかり考えてしまうのだろう。

人は自分を中心に物事を考える癖がある。何事も主観的に捉え、自分目線で一つひとつの物事と向き合っている。「他人のことよりも、まずは自分のこと」とよく言われるように、余計なことは考えず、自分の人生に集中しろと言われる。

たしかにそうだ。自分の人生や状況、環境が好ましくないのに、他人や周りのことばかり気にしていても仕方がない。他人を幸せにできるのは、自分が幸せになっているからこそ、できることである。

「まずは自分」の間違い

でも「他人を幸せにできるのは、自分が幸せになっているからこそ」というのは、本当にそうなのだろうか?ホームレスは他人を幸せにはできないのか?自分の人生に満足していなければ、他人を満足させることはできないのか?まずは自分が幸せになるためには、他人や周りは放っておいてもいいのか?

アドラー心理学で有名なアルフレッド・アドラーは、「幸せになりたいのであれば、他人を喜ばせることをせよ」と述べている。これはさきほどの、自分→他人という流れで幸せを考えるのとは違う。まずは他人を幸せにする。それから自分の元に幸せが訪れるという構図だ。

アドラーは、「今自分が不幸だと思っている人は、自分のことばかり考えているから不幸なのだ」とも述べている。自己中心的な考えこそ、自分を幸せから遠ざけ、充実した人生からも遠のいていく。

だとすれば、一般的に言われている「まずは自分。それから他人のことを気にかけろ」という風潮は間違いということになる。自分のことに集中するのは、充実した人生を送りたいと思うからだ。でも、目的が「充実や幸せ」であり、「自己中心的に生きること」ではないのであれば、自分本位な考えや行動をする意味がない。

自分で幸せから遠ざかっていく

多くの人は目的に向かって生きているのであり、手段に生きているわけではない。あえて遠回りを楽しむタイプの人でもない限り、目的から遠ざかる行動をしたいと思う人なんていないだろう。しかし、私たちはそれを大真面目にやっている。充実を求めて、自分のことばかりに集中している。

はじめに述べた、「傷つけたこと」より「傷ついたこと」、「助けられたこと」より「助けたこと」、「他人のこと」より「自分のこと」を考えるのは、幸せになりたいという目的があるからだ。でも、人は目的に沿って合理的な行動をするのが苦手だ。本当なら、目的から論理的かつ合理的に道筋を立てて行動すればいいのにも関わらず、つい目先の欲に飛びついてしまう。

自分が「されたこと」よりも「したこと」を考えるのは、どう考えても幸せには繋がらない。普通は「されたこと」に対して感謝を述べ、「自分のためにしてくれた」という事実が喜びにも繋がる。一方、「したこと」ばかり考えている人は、次第に見返りを求めだし、「自分はこんなにしてるのに、相手はなにもしてくれない」と不満を述べだす。これのどこが幸せなのだろうか。

自分の人生に他人を受け入れる

自分がしたことばかりを考えるのは、人間が自己中心的な生き物だからにほかならない。決してあなたの性格が悪いわけではなく、人間とはそういう生き物なのだ。私たちは、自己中心的に考えざるを得ない脳と心を持って生まれたのだ。

しかし、だからといってそのまま何もせず自己中心的に生きていればいいわけではない。ここまで述べたとおり、自分ばかりに集中して生きている人や、自己中心的に生きている人は往々にして不幸を感じている。

ではどうすればいいのか?意識的に他人や周りのことに目を向けるしかない。でもそれは、「自分の人生を蔑ろにする」こととは違う。自分のやるべきことや、やりたいことを淡々とこなしつつ、他人や社会、周りの環境にも目を向けるということだ。

本当に求めているものはどこにあるか?

「自分さえ良ければそれでいい」と考えている人と、仲良くなりたいと思う人はいないだろう。自己犠牲的な考えを持つのは避けるべきだが、自己ばかりに執着してもいけない。大事なのは両方のバランスだ。極端な生き方は極端な不幸を招きやすい。スキルは一つに特化したほうが役立つが、生き方は一つに特化しちゃならない。人生に何よりも必要なのは柔軟性なのだ。

私たちは大人になるにつれて、つい自分本位で物事を考えてしまいがちだ。まずは自分、まずは自分と、あたかも自分さえ良ければ周りの物事もうまく進むと思っている。でもそうじゃない。真理は得てして大半の人の真逆にあるものだ。

必死に努力してるのにどこか虚しさを感じたり、自分の好きなことばかりやっているのに空虚感を感じる人は、一度立ち止まり、自分本位になりすぎていないかを考えてみよう。自己中心的な生き方の先には、あなたが人生に求めているものはないのだ。

おしまい。

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