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まずはシステムを大雑把に理解する

利用しているシステムをグループに分けてみる

システム開発をSIer等に外注することから、システムエンジニアを採用して内製開発する動きが活発になってきている。もし自社もそうなり、システムをもっと理解せねばならなくなった時に知っておくべき事をまとめてみた。
「インターネットサービス企業」ではアプリケーション開発は自社で行う為、これ以外の「事業会社」を対象にした話だ。ここで言う「事業会社」とは、顧客へのサービスを行う主な場所が「サイバー空間」(インターネット)ではなく「物理空間」(リアル店舗等)としている企業を想定している。

まず、企業で使われるシステムは色々あり、開発手法の違いによって「モード1型」「モード2型」に分けられたりしているのが現状だ。

企業にあるシステムの全体像を把握するには、いくつかのグループに分けて見ると良い。今回は以下の5つに分けてみた。

(1)SaaS/ASPシステム基盤
(2)パブリッククラウド基盤
(3)オンプレ基盤
(4)セキュリティ基盤
(5)エンドユーザコンピューティング基盤

(1)SaaS/ASPシステム基盤

これは、自分たちでサーバやアプリケーションを管理せず、サブスクリプションの定期費用を支払って利用する形態だ。企業で使う有名なサービスとしては、Google WorkspaceSalesforceサイボウズなど色々ある。費用を支払うだけで色々な機能をすぐに利用できる為、システム管理をしたく無い時には良い選択だ。

しかし、自社固有の要件を反映させることは困難で有る為、業務のやり方をこういったサービスに合わせることが求められる。

(2)パブリッククラウド基盤

これは、AWSなどのパブリッククラウド環境を利用し、自社でシステム管理をしたり、その運用をアウトソースする全般を指す。そのシステム環境を利用する方法に応じて、更にPaaSIaaS等に分類されるが、詳細については、以下が分かりやすい。

当然ながら、自社で管理する部分があることと、クラウドベンダーと自社の責任分界点についても理解して運用することになる。

(3)オンプレ基盤

これは、サーバやネットワーク機器等のハードウェアの調達から何まで全て自社で管理する形態だ。サーバを自社オフィスに設置したり、大事なシステムであればデータセンターに設置したりする。データセンター利用は更にコロケーションハウジングホスティング等に分類されるが、詳細については、以下が分かりやすい。

(4)セキュリティ基盤

今まで出てきた分類とは若干異なるが、PC端末やモバイルデバイス、ネットワークやサーバなどでセキュリティ対策が求められ、その環境に応じたセキュリティ製品が稼働する環境全般を指す。サイバーセキュリティについては、大きな括りでも良いが一つのシステム基盤として明確に定義しておくことが望ましい為列挙した。

このセキュリティ基盤は元来より、インターネットイントラネット(社内ネットワーク)で区別され、イントラネットへの入り口にセキュリティ製品を置いて、社内システムを守る境界防御という形態を指していた。
しかし今は、仕事のやり方が在宅勤務によるリモート接続、モバイルデバイス所有によるBYODを考慮する必要が出てきたり、利用するシステムも既出のSaaS/ASPパブリッククラウド等が主流となる中で、この境界防御では対応できなくなってきている。その為、新しいスタンダードとしてゼロトラストが注目を浴びているが、詳細については、以下が分かりやすい。

(5)エンドユーザコンピューティング基盤

これも分類としては特殊かもしれない。システムを利用する人にフォーカスした考えで、最近では、RPAローコードノーコードツール等と呼ばれる仕事の生産性を向上させる業務自動化システムが注目されているので列挙する。
RPAであればWinActorUiPathがあるし、Googleは既出のGoogle Workspaceの各アプリを連携する為に独自に開発できるGoogle Apps Scriptや、スマホアプリの様なシステムがコーディング無しで開発できるGoogle AppSheetがある。
マイクロソフトでは、Microsoft Power Platformが該当する。その他の企業からも沢山リリースされている。

ビジネスニーズに合ったシステム基盤を選択する

以上、5つのシステム基盤について見てきた。
システムエンジニアとしては、自分でプログラミングをすることで問題解決をしていきたいとまずは思うだろうし、業務ユーザとしては、システムはよく分からないのでIT部門に丸投げしたいと思うだろうが、自分たちの仕事は全て事業改革事業継続に繋がるものであり、それを有効に効率的に実現する為にITやデジタルをどの様に構築、活用するのが良いのかを考えるようにしたい。その様な姿勢で仕事に望めば、どのシステム基盤が適するのかは自ずと見えてくるだろう。その為のチートシートとして活用いただければと思う。

Photo by Ricardo Esquivel from Pexels

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