佐藤拓磨 | TakumaSato

グローバルに展開するJINS(アイウエアの製造小売)のITアーキテクト/テックリード。…

佐藤拓磨 | TakumaSato

グローバルに展開するJINS(アイウエアの製造小売)のITアーキテクト/テックリード。 システム企画、システム全体設計、サイバーセキュリティが専門です。AWS認定SAP、DOP。全て個人の見解です。

最近の記事

「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を企業の視点で読みかえてみる

昨年の12月24日にデジタル庁が公開した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」には、今後の日本社会で実現するデジタル化が定義されています。 この重点計画では特に6つの分野についてデジタル化を推進するとされています。これらを企業のDX化として読み直してみると理解が深まるかもしれません。 1.デジタル化による成長戦略 企業としての施策に読み替えると、デジタル化を進める為にITガバナンスの構築やシステムアーキテクチャポリシーの策定、データの標準化を実施することや、共通IDを用

    • 人に関わる色んな法則

      どうやら人には法則性があるらしい行動科学や心理学などの研究対象とされる「人の心」の特徴を表した法則がいくつもあり、プロジェクトマネジメントやシステム開発分野で役に立つものもありそうだ。それらを理解することで仕事の進め方や段取りが良くなるかもしれない。個人的に気になった法則を、いくつかのグループに分けてメモしてみた。 -----プロジェクトマネジメントに関連するもの-----1. パーキンソンの法則 仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する これは有

      • まずはシステムを大雑把に理解する

        利用しているシステムをグループに分けてみるシステム開発をSIer等に外注することから、システムエンジニアを採用して内製開発する動きが活発になってきている。もし自社もそうなり、システムをもっと理解せねばならなくなった時に知っておくべき事をまとめてみた。 「インターネットサービス企業」ではアプリケーション開発は自社で行う為、これ以外の「事業会社」を対象にした話だ。ここで言う「事業会社」とは、顧客へのサービスを行う主な場所が「サイバー空間」(インターネット)ではなく「物理空間」(リ

        • エンタープライズデータの連携方式

          企業のデータは、様々なシステムと連携される。今どきのシステムは、AWSやGCP、Azure等のパブリッククラウドで動いているものが多くなり、いわゆる「クラウドネイティブ」なシステムであることが求められている。クラウドネイティブの定義は以下に詳しい。 このような技術トレンドはあるが、システム同士のデータ連携のやり方については昔からあまり変わっていない。このデータ連携の特徴をまとめてたので、急にシステム開発に関わることになった時のチートシートとして活用してほしい

        「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を企業の視点で読みかえてみる

          エンタープライズデータの性質

          デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要な要素デジタル技術を用いて企業の事業改革を行う活動をDXと呼び、成功に至る方法論が様々あるが、共通していることは「データ利活用」の重要性だ。そして、「データエンジニアリング」と「データアナリシス」がそれを実現する必要条件となる。 安宅和人氏の『シン・ニホン』では、AI-Ready(デジタル革新)な人材のスキルセットとして、「ビジネス力、データサイエンス力、データエンジニアリング力」の3つを定義しており、日本再生の要諦であるようだ

          エンタープライズデータの性質

          AI革命期に生きる我々は、産業革命期の歴史を繰り返す

          『テクノロジーの世界経済史 -ビル・ゲイツのパラドックス』(日経BP社)を読んだ。 産業革命期とその前後の歴史を分析し、現代に生きる私たちの行動や思考は、この時代の人々と酷似しているのじゃなかろうかと言っているようだ。 先行きの見えないこの現代において私たちは生活や仕事の不安を感じているのだけれども実は過去も同じ状況で、その時の政治・経済・技術・社会の状況を踏まえた行動を人々は起こしていた。そして翻弄されていた。それを理解することで現代を生きる私たちの参考になるんだと気づか

          AI革命期に生きる我々は、産業革命期の歴史を繰り返す

          大事なデータが誘拐された時の身代金の交渉技術

          最近、気になる記事を見かけた。 ランサムウェアに感染したアメリカの大学が、犯人との身代金について話し合うための交渉人を雇い、犯人側とやりとりした一部始終がまとめられている。 一般的に知られている「身代金」とは、人質の身体または生命に対して脅威を与えることが可能な犯人側と、人質の解放と引き換えに支払われる金銭のことだ。 今回取り上げる事件は、人質ではなくコンピューターやシステムのデータに対する身代金なのだが、どういうことかというと、相手が保持しているデータを暗号化し、そのま

          大事なデータが誘拐された時の身代金の交渉技術

          Scratchとmicro:bitを連携したゲームで遊ぶ

          今年Scratchバージョン3がリリースされ、マイコンボードのmicro:bitと連携がしやすくなったので弄ってみる。 Scratchバージョン3の新機能を色々使ってみる。今回は「ビデオモーションセンサー」「Text to Speech」「micro:bit連携」だ。 まずは、micro:bitの加速度センサーを使って横スクロールのアクションゲームを進める機能を作る。 Scratchは変数(基本はグローバル変数)も扱えるのでこれをうまく使って、ジャンプの滞空時間を定義する。

          Scratchとmicro:bitを連携したゲームで遊ぶ

          二つのプロマネ

          プロジェクトマネジメント と プロダクトマネジメント 「プロジェクトマネジメント」と「プロダクトマネジメント」は、生み出す成果物に対する責任という意味では同じだと思うのだけれども本質的にはどうなんだろうか? 工業国としての日本は過去、良い品質の製品を作れば売れるジャパンクオリティが席巻した時代があった。「カイゼンで効率化」というオペレーショナルエクセレンスはプロジェクトマネジメントとの相性が良かった。 しかし今は、GAFA(Google,Apple,Facebook,Am

          二つのプロマネ

          コミュニケーションプロトコルを理解する

          コミュニケーションは互いの努力なしには成り立たない人間関係で生じる様々な問題には事欠かない。お互いの精神的ストレスにうまく対処することの重要性はみんな理解していると思う。 この精神的ストレスの原因の主なものは「コミュニケーションギャップ」だ。要するにお互いの意思疎通がうまくいかないことに起因する。 この「コミュニケーションギャップ」が起きる理由は、お互いの「考え方・捉え方・話し方」という3つの要因によるところが大きい。 これらの特徴をお互いに掴むことでスムースなコミュニケー

          コミュニケーションプロトコルを理解する

          市民活動としてのテクノロジーを考える

          シビックテック(CivicTech)という言葉を聞いたことがあるだろうか? テクノロジーを活用した市民・社会課題の解決を目指す取り組みのことで、日本でも少しずつ認知され始めている。 これをテーマにしたイベントが2018年に開催されている。 テクノロジーが持つ大きな可能性シビックテックは、ここ数年で活発化し始めているようだ。テクノロジーを手段とした市民活動は、地域コミュニティを促進する可能性も秘めている。 以下のような分野がシビックテックの対象分野とされている。 ・Gove

          市民活動としてのテクノロジーを考える

          システムエンジニアはビジネスをどこまで理解するべきか

          その時々で重心は変わってよいシステムエンジニアリングを主な仕事にしている人が、ビジネスや事業についてどこまで理解するべきなのか考える機会に出くわした。 このテーマは昔からずっとあるが、個人的な結論としては、その人のエンジニアとしての「成長ステージ」(やれること(Can))、「描いているキャリアパス」(やりたいこと(Want))、「求められる役割」(やるべきこと(Should))という3変数によって答えは変わってくるということだ。 また、この3変数それぞれの重み付けについても、

          システムエンジニアはビジネスをどこまで理解するべきか

          産業は融解していく

          日本に真っ先に訪れるパラダイムシフト日本の各産業は、各々の領域で「事業のやり方」や「働き方」を最適化している。しかし、「人口減少・高齢化社会」により国内の人的リソースの争奪戦が激化するため、産業を超えたこれらの再定義を余儀無くされるはずだ。 また一方で、日本人の寿命が延びていることにより「人生100年時代」も迎えて、上記の動きに拍車をかけることになる。 つまり、日本社会のあり方や生活や価値観が変わる可能性が高く、日本は世界でいち早く、パラダイムシフトを迎えることになる。

          産業は融解していく

          中国のデジタル化の凄さとその社会的背景

          テクノロジーによるイノベーションはアメリカシリコンバレーから始まるとの認識が普通だ。しかしそうとは言えなくなっている。なぜなら中国のデジタル化の勢いが凄まじいからだ。 私は日本の製造小売企業に属し、中国のほか台湾・香港・比国などにも進出していることもあり、現地社会を直に感じる機会に恵まれている。 中国のデジタル化の勢いは、日本メディアで報道しているものでは到底理解しえない想像の域を超えており、隣国で起きているこの変化に対して無頓着でいることは良くない。「日本はどうあるべきか

          中国のデジタル化の凄さとその社会的背景

          日本人の労働生産性は良いのか悪いのか

          労働生産性という何か巷で話題になっている日本人の労働生産性が低いよ問題、調べてみると色んな意見があることが分かる。 そして結論としては、日本人全ての労働生産性が悪いというわけではないので、改善する箇所はしっかりと見定めようということであると、私は理解している。(けっこう普通の結論) 労働生産性とは、就業者数一人当たりのGDPのこと労働生産性の算出にはカラクリがある。 ・算出のやり方 パターン1 少ない就業者数(言い方変えると高い失業率の場合あり)で、GDPを維持すれば、労

          日本人の労働生産性は良いのか悪いのか

          Enterprise Architecture

          昨今は「デジタルディスラプション」というワードが、そこかしこで登場している。 その定義と文脈が適切かどうかはさておき、企業の存亡はテクノロジーをどう位置付けるかが死活問題になってきており、システムに関わるエンジニアとしては素晴らしい時代になりつつある。 企業の中でテクノロジーがフォーカスされるのは良いことだが、時に「システム」という言葉で全てを一緒くたに扱われて議論されることもあり、それは問題だと思う。 この領域は広範囲であり、対応するエンジニアもスキルセットもそれぞれ違う

          Enterprise Architecture