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人に関わる色んな法則

どうやら人には法則性があるらしい

行動科学や心理学などの研究対象とされる「人の心」の特徴を表した法則がいくつもあり、プロジェクトマネジメントやシステム開発分野で役に立つものもありそうだ。それらを理解することで仕事の進め方や段取りが良くなるかもしれない。個人的に気になった法則を、いくつかのグループに分けてメモしてみた。


-----プロジェクトマネジメントに関連するもの-----

1. パーキンソンの法則

仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する

これは有名すぎるくらい有名。
プロジェクト管理をする人は絶対に覚えておかねばならない法則。大きなタスクはいくつかの小さなタスクに細分化し、進捗を定点確認しながら進めるが吉。

2. ホフスタッターの法則

いつでも予測以上の時間がかかるものである

既出のパーキンソンの法則と組み合わさるとやっかい。
そしてほとんどは組み合わさってしまう。リスクマネジメントの手法を用いてあらかじめ余力を持たせ、最後にそれを利用するような運用にするが吉。

3. ブルックスの法則

遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加は、プロジェクトをさらに遅らせるだけである

既出の2つの法則が起こり、その対策として真っ先に検討される。
システム開発の現場では、「人を増やして並行して、スピードアップさせよう」と考えるが、投入された人材がキャッチアップするまでに時間を要するし、人数が増えればコミュニケーションコストや上昇し、認識違いが起き始め、大体は早くならない。

4. マーフィーの法則

失敗する可能性のあるものは、失敗する

「リスクマネジメント」の一ページ目に記載するべきもの。
仕事や物事は、何も対策をせずに進めても成功せず、なぜか失敗の方向には何もしなくても進んでしまう不思議な現象が起こる。


-----組織や意思決定に関連するもの-----

5. コンウェイの法則

システムを設計する組織は、その構造をそっくりまねた構造の設計を生み出してしまう

システム開発のチーム構成のあり方について説明できる法則。
そのシステム開発の組織構成がそのまま、開発するシステム構成にも反映される。良いシステム構成を実現したければ、良いプロジェクトメンバー構成・役割分担にするべし。

6. ヒックの法則

ユーザーの意思決定にかかる時間は、選択行為におけるエントロピー量に比例する

選択肢が増えれば増えるほど、それらを認知・理解・判断するのに時間がかかってしまう。
逆に選択肢がない一択の状態で意思決定することも不満であり、適度な数の中から選択し満足したいのが人。

7. パレートの法則

全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出している

主要な効果を生み出している要因は、特定の何かであることが多いということ。何かを総花的、総合的にやってもうまくいかなかった時にこれを思い出して反省してみると良い。

8. ピーターの法則

人間は能力の極限まで出世する。その結果、各階層は、無能な人間で埋め尽くされる。

これは中々やっかい。
仕事のパフォーマンスを発揮して出世するが、次なるチャレンジのポストでは能力の限界に達してしまったままそこに居座ると不幸を招く。柔軟なポジションチェンジができる組織設計だと良い。

9. 一貫性の法則

人は自身の行動、発言、態度、信念などに対して一貫したものとしたいという心理が働く

特に自分の行動が常に外部から見られている場合にはそうしたいと思ってしまう。自分が選択したことを自分で否定することが困難な状況に追い込まれると、周りからの助け舟は必要。

10. 認知的不協和

人が自身の認知とは別の矛盾する認知を抱えた状態、またそのときに覚える不快感を表す

一貫性の原理に関連する。
人は常に自身の行動に対して整合性を取っておきたいと思ってしまう。その結果、新しいチャンスや変革を押しとどめてしまう保守的な気持ちが芽生えてしまうことにもつながりうる。

11. プロスペクト理論

「同じ規模の利得と損失を比較すると、損失の方が重大に見える」という人間の特性を示したもの

人の認知特性を表している。事業がプロジェクトの撤退戦略を実行に移すことが難しい所以とも言える現象。更に、既出の一貫性の法則と組み合わさると、人は中々に動けない。

12. アンカリング効果

先行する何らかの数値(アンカー)によって後の数値の判断が歪められ、判断された数値がアンカーに近づく傾向のことをさす

交渉の世界では有名。価格交渉において、どの程度の見積金額を顧客に提示するかは腕の見せ所。

13. バンドワゴン効果

ある選択肢を多数が選択している現象が、その選択肢を選択する者を更に増大させる効果

多数派が支持、賛同しているものに自分も乗っかりたい心理を表している。損はしたくないので、既に多数派の実績があるものであれば安心してしまう。

14. ハロー効果

ある対象を評価する時に、それが持つ顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象

他者を評価する際に陥りがちな現象。その人に関わる何か特徴的な出来事が起きた時に、それに引きづられる形で「この人はこうである」とラベリングしてしまうことがある。


-----人とのコミュニケーションや社会に関わるもの-----

15. ミラー効果

親密な関係では相手と同じ動作をすることが多く、好意を抱いている相手と同じ動作をしてしまう

好意を持つ相手と同じ動作をしてしまうという現象を逆手にとって、相手と同じ動作をすることを意識することで、故意にミラー効果を発生させるテクニックはよく聞く話。やりすぎは不自然になるので要注意。

16. 返報性の法則

人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱く

良い事も悪い事も相手にお返ししたくなる心理を表す。『倍返し』はちょっと違うかも。

17. ピグマリオン効果

教師の期待によって学習者の成績が向上すること

自分に対し影響力のある人から「期待しているよ」と言われ、その状態で継続的に接し続けられることにより、その通りに努力するようになる。

18. メラビアンの法則

非言語コミュニケーションの重要性を説く法則。言語情報が7%、話し方などの聴覚情報が38%、見た目や表情などの視覚情報が55%となり、非言語コミュニケーションが大事であると結論づけた。

ボディーランゲージから取得できる情報の重要性を説明している。SNS時代であっても、機微で大事なやりとりであるほど、対面で話した方が良いかもしれない。

19. ザイアンスの法則

初めのうちは興味がなかったものも何度も見たり、聞いたりすると、次第によい感情が起こるようになってくる、という効果。

マスマーケティングの手法としても扱われる。人は初めて接触するものよりも、日常的に知っているものの方が、良い感情というか、慣れや安心は出てくる。

20. スモールワールド理論

全然つながっていない人同士でも、大体5人を介すると必ずつながっている

ソーシャルネットワークの分野で有名な説。人同士の「関連度合・関係性」については対象にしていないように思われ、実際に活用しようと思ったら困難かもしれない。

最後に。
何か予想外の出来事が起きた時に「人にはこういうことあるよね」と、ここに書かれたような法則性を当てはめる事でとりあえず安心するという法則性もある。



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