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加入率90%超を達成したPTA改革で、ぼくたちが大切にしたこと

昨日の日経電子版に、
「PTA活動、コロナで見直し進む
保護者・学校で対話を」
と題した記事が載っていました。

ぼくも、我が子が通う小学校のPTA役員を
4年近く務めていますが、
この時期になると、
来年度の役員をどうするかが
現役役員の中で話題となりますね。

かつては、うちの小学校も、
現役役員がクラス中の保護者に電話をかけて、
引き受け手を探していました。


関わりのきっかけ

ぼくは元々、
子ども会育成会(育成連絡協議会)という
団体の役員をしていたのですが、
育成会とPTAの役員を兼務していた方の代わりに
PTAの役員も務めることになりました。

見えてきた問題点

毎月開かれるPTAの役員会には
育成会としてオブザーバー参加をしていたので、
ある程度PTAのことはわかっているつもりでしたが、
入ってみて見えてきた問題点がたくさんありました。

【問題点その1】アナログ文化

とにかく紙でのやりとりが多い!

役員会の結果は印刷して全校生に配付。
各部の活動報告も紙で提出。

通学路の旗振り当番表も紙で配られ、
当番後のアンケート用紙を回収し、
回答を転記してお便りを作成。

その当番表やお便りの作成は、
学校にあるPTAのPC(ネット未接続)
でする決まりとなっていて、
持ち帰りの作業はダメ。

というように、
アナログな文化が根強く残っていました。

【問題点その2】事実上の強制参加

子どもが通う6年間で、
1回は役員をしないといけないという、
「一人一役」がルールとなっていて、
事実上の強制参加でした。

そのため、
数百名の児童それぞれの保護者が
いつ役員を務めたかを名簿で管理したり、
役員決めの際に
「役員ができない理由」を
言わせたりするようなことが行われていました。

【問題点その3】前例踏襲

「この行事は去年こういうふうにしたから
今年も同じようにしないといけない」
「これは前からこういうやり方になっている」

誰もそれを変えようと言わず
(内心はどう思っていたかわかりませんが)
前例をただただ踏襲することに終始していました。

これらの問題点によって、
役員になった人は疲弊し、
次のなり手はいなくなっていきました。

外圧

そんな状況の中で、
市議会でのある議員の発言をきっかけに、
翌年度からのPTAの「任意加入化」を行うよう、
市教委から学校に指示が下りました。

「変えるなら今しかない。
ここでやらないと、PTAがなくなる。
それで影響を受けるのは子どもたちだ」

ぼくは、
当時のPTA会長たちと
「任意加入」に向けた改革を進めていきました。

活動の見直し

アナログからデジタルへ

保護者へのお知らせは、
市のPTA連合会が一括契約し
各小中学校に整備している
メール配信システムで行い、
印刷の手間をなくしました。

保護者へのアンケートは、
Googleフォームとメール配信を使って
Webで回答を収集し、
集計や分析がしやすくなりました。

役員間のやりとりは、
「BAND」という
コミュニケーションアプリで行い、
リアルタイムで
情報の共有化を図りました。

学校以外での名簿作成などの
作業を解禁するために、
それまでなかった
個人情報取扱規程を整備しました。

強制参加から任意参加へ

PTAが
具体的にどんな活動を行っているかを、
できるだけわかりやすく紹介する
パンフレットを作りました。

アイキャッチを工夫し、
目にとめてもらえるようなデザインの
役員募集チラシを作り、
保護者が気になる点をQ&Aで
盛り込みました。

「前例踏襲」から「あるべき姿」へ

活動に関心を持った保護者が関わりやすいように、
各部の業務量や業務内容をチラシで紹介し、
役員応募の際に
活動できる曜日や時間帯を
選んでもらいました。

惰性で行っていたような、
必要ないと判断した会議や
歓送迎会は思い切ってやめました。
(歓送迎会はコロナが
きっかけだった面もあります)

何よりも、
「子どものために何をするべきか」
を念頭に置いて話し合うことで、
旗当番の改善など、
役員から自発的な提案が
出てくるようになりました。

結果

加入率90%超を維持

うちの学校は、
県庁所在地の中心部に位置し、
元々教育熱心な保護者が
多くいると思っていました。

なので、
「子どもたちのために」
という目的については
大方の賛同が得られるだろう
と見立てました。

大切なのは、
そもそもの目的を達成するために、
理不尽や不便を取り除き、
誰もが関われる選択肢を作ること。

その決意が伝わるよう、
デザインの力を借りる。

これらを大事に取り組みました。

ふたを開けてみると
PTA加入率は90%を超え、
役員も、目標を超える人数から
応募がありました。

そして、改革は続く

任意加入2年目の今年度は、
コロナ明けということもあり
従来のバザーに代わる
新たなイベントを秋に開催しました。

学園祭やマルシェのような雰囲気で、
運動場にキッチンカーも呼び、
事後のアンケートでも
多くの子どもたちや保護者が
楽しんでくれたことがうかがえました。

一方で、
特定の役員への業務の偏りなど、
運営面での改善が必要な点もあり、
来年度同じように
開催するかどうかは白紙です。

枠を外し、
「そもそも」から考えること。

そして何より、
保護者である我々大人が楽しむこと。

この2つを大切にしながら、
改革を続けていきたいと思います。

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