市役所はブラックなのか。残業、休日出勤、クレーム対応、給料、パワハラの有無について。

市役所をめざす受験生、または、市役所をめざすかどうか検討中のみなさんが気にしがちな「市役所はブラックなのか」という疑問について、市役所勤めの筆者の経験に基づき、
①残業
②休日出勤
③クレーム対応
④給料
⑤パワハラの有無
以上の5つの視点から解説します。


①残業

市役所は部署によって残業の量が異なります。窓口系の部署(戸籍、税、保険、年金、福祉)については、繁忙期以外は基本的に残業は少ない場合が多いです。一般に、月20時間を下回ることが多いでしょう。
総務、財政、企画など、市政の中核を担う部署は、年間を通じて残業が多いです。議会直前期や、予算決算の調整の際は、22:00以降も帰れないケースがあります。筆者は企画系の部署にいましたが、ある年は年間700時間以上残業しました。
事業系の部署(産業、環境、健康福祉、文化・スポーツ、上下水道、公共交通、都市整備など)は、その年の主要となる目玉事業があればその事業の実施前は忙しくなり、残業が多くなりますが、年間を通じて常に繁忙かと言われれば、そんなことはないでしょう。

残念ながら、市役所は、上記のとおりどこの部署に行っても基本的には残業はあります。日付をまたぐくらい残業をすることは滅多にありませんが、21:00ないし22:00を超えても帰れないといったケースは、正直に言って珍しくありません。

②休日出勤

土日に営業する公共施設(図書館や病院など)は休日出勤があります(その分、月曜日が休みになるなど、一般の職員とは異なる勤務体系になりますので、出勤が必要となる日数に致命的な違いはありません。)。
また、土日に市役所の窓口の一部(税や戸籍など)を開設する市役所もあり、その部署の職員が毎週交代で勤務し、どこかで振替休暇を取る動きがよくあります。
市民向けのイベントは土日に開催される事が多いため、そのイベントの事務局となる部署は、当然に休日出勤となります。
休日出勤の頻度が特に多い部署としては、広報系の部署や、秘書系の部署でしょう。広報系の部署は、土日に開催される市のイベントに出向き写真撮影を行っていますし、秘書系の部署は、土日も仕事をこなす市長に随行します。

上記のとおり、市役所全体を通して休日出勤は珍しくありませんが、一部の部署を除き、休日出勤の量が苦痛になる、というようなレベルではないと思います。

③ クレーム対応

どこの部署でも必ずあります。ただし、クレームを入れてくるお客様の属性は、部署によって大きく異なります。

総務や企画系の部署は、市全般に不満を持つ方が窓口に来られ、ご自身の見解を小一時間にわたり論説(またはお叱り)をいただく事が多いです。ただ、怒鳴り込みに来るような方は滅多にいません。若手の担当者が窓口に出て、ご納得されるまで話を聞くことになります。
税や保険、年金、福祉系の部署は、それらの制度や手続きに対する直接的な不満をその場でいただくことが多いです。怒鳴り込みに来る方や、なかなかこちらの説明が伝わらない方も、正直に言って多いです。伝わらない場合は、伝わるまで粘るか、ある程度のところで区切り、おかえりいただくかになります。紙を投げつけられたり、机を叩いて怒りを表明したり、危険なものを持ち込まれたり(この場合は警察対応となります。)、色々な方がいます。
が、このような光景は日常茶飯事ですし、制度上、市役所として回答できることは常に決まっているので、それを淡々と回答するだけの作業です。
企業のサービスとは異なり、国の制度や法律に基づいた処理を単に行っていることなので、こちらの手続き上の失態がなければ、基本的にクレームに対しては、「市役所ではできません。」か、「市役所では分かりかねます。」かのどちらかです。
ですので、最初は、怒られることに抵抗を感じると思いますが、そのうち慣れます。

https://note.com/lg2020/n/n12eb72b436e8


④給料

①残業 や ②休日出勤 によって付く所定時間外の勤務手当等(いわゆる残業代)により、トータルの年収は同世代の他職業と比べて高いほうかと思います。20代の一般職員の年収でいうと、

年収500~600万円程度貰えることはよくありますし、年功序列で、普通に長く働いていれば多くの人が年収700~800万に到達します。市役所は、同水準の給料水準の大手企業と比較して、高卒や偏差値50前後の地元の私立大でも比較的簡単に入れますが、その割に、給料は悪くないと言えます。
そのうえ、終身雇用が前提なので、一度入れば、よっぽどのことがない限り、定年まで食べていけます。

⑤パワハラの有無

基本的にはないです。安心してください。万が一、パワハラを受けた場合は、人事に告発するか、その上の上司に報告すれば、絶対に助かります。
ノルマも営業も無いですし、数字で評価されることもないですから、上司からキツく詰められたりすることは殆どありません。
常識人が多いので、理不尽な命令やイジメなどは、原則ないと思っていいです。

また、年次休暇(いわゆる有給休暇)を取得することに対して、文句を言われたりすることもありません。自身の体調不良や、子の発熱などで急遽お休みを取る場合も、お互い様なので何も言われません。

そういう意味では、職場環境においてブラックな要素はほとんどないでしょう。

まとめ

市役所は正直に言ってラクではないです。どこの部署でも残業はありますし、窓口で怒られたり、ときには災害対応に追われたり、休日出勤したり、色々あります。
一方で、試験さえ通れば学歴問わず誰でも入れるにも関わらず、給料は一般的な大手企業と比較してさほど差はありません。

大変ですが、相応の給料(と、終身雇用)に恵まれますし、営業ノルマがなく、パワハラも原則ないため、世間でいうブラック企業にはあたらないと考えられます。


市役所受験生の皆さんへ

第一志望の市役所の面接試験で90/100点(特典開示)を取った筆者が、面接試験で実際に話したことや、ESに書いたこと、それに至るまでの準備などをまとめた記事を作りました。面接試験の教材として、ぜひ読んでください。↓

市役所の年収のリアルについて気になる方はこちら




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?