ろっさ

#54字の物語 を始め、ショートショート、コピーなど、文章で人を笑わせることが大好きで…

ろっさ

#54字の物語 を始め、ショートショート、コピーなど、文章で人を笑わせることが大好きです。 笑いを取りにいくことをモットーにしています。 人生でたくさん泣いてきたので、作品を読む人には笑ってほしいです。

最近の記事

  • 固定された記事

キャッチコピー公募 受賞・通過作品集

・サントリー『ダークホース』コピー 一口飲めば、本命に変わる。(採用) ・第58回 宣伝会議賞 (1次通過) 「吸ってくるよ」は、自分のためでもある。(JT) おなかエステしよう。(ビオフェルミン製薬) ・キャッチコピーグランプリ(コピグラ) 第3回『 #黒いバンズを食べたくなるコピー 』 どんなレシピもオリジナル。(1次通過) 明日のお弁当、驚くだろうな。(準グランプリ) 第4回『#傷つけないように鼻毛を指摘するコピー』 このまま、君を帰せない。(3次通

    • 何度目の正直?

      オンライン英会話を始めて、もうすぐ1年になる。 「ジョージ・マイケルは天才だよね」 「そうだよね!」 今日のレッスンも楽しかった。 「このテーマを選んでくれてありがとう」と笑顔で手を振ってくれた先生。 「英語ができます」と今なら言える。 思えば、長いトンネルだった。 短大の英語学科に進学したものの「ホームステイしていました」というクラスメイトの多いこと。 洋楽にハマり、聞き込んでいたおかげだろうか。リスニングには困らず、外国人先生の授業も理解できた。 問題は会話だっ

      • 字幕派メソッド

        昨日も彼女と大げんか。 もう、気持ちを伝えるのに話すなんて疲れた。 言い争いなんて、エネルギーを使うだけ。 そういえば、ネットで新刊を見かけた。 タイトルは「思考は字幕化する」。 近くの書店で買ってきた。 著者は……知らない人だ。 「最先端!宇宙人メソッド」 金色の帯には、こう書かれていた。 さっそく本の通りに練習してみた。 言いたいことを思い浮かべると、目の前に字幕が現れる。 一番大変だったのは「思いを字幕化しない」方法。 これを身につけないと、伝えたくないことまで

        • 飛べないけれど

          「そこの君」 塾の帰り際、アムンゼン先生に呼び止められた。 この塾はコウテイペンギン界では有名だ。難関大学に何人も合格者を出している。僕は成績も中くらいで、目立たない存在だった。 先生はうちの塾で評判の名講師。少人数制のクラスで、なかなか入れないという。 アムンゼン先生は、ゆっくりと話し始めた。 「志望校は、地元のロンネ大学か。君の実力なら合格するだろう」 先生は続ける。 「もっと広い世界に羽ばたいてみないか」 いや、飛べませんって。僕たちペンギンですから。 「ウェ

        • 固定された記事

        キャッチコピー公募 受賞・通過作品集

          クリスマスが来るたびに

          今回は、ワム!のジョージ・マイケルについて書いてみたい。 ワム!を知らないという人でも「ラスト・クリスマス」を知っている人は多いだろう。クリスマスソングの定番だ。 彼と出会ったのは、1985年。ある番組で観たビデオクリップ(ミュージックビデオ)だった。 「ケアレス・ウィスパー」を歌う姿に、一目惚れしてしまったのだ。 海外とは全く縁のなかった中学生の、人生が変わった瞬間だった。 深夜の洋楽番組をビデオに録り、観る日々が始まる。もっと彼のことを知りたいと、英語の勉強に力を

          クリスマスが来るたびに

          たずね馬

          「全国の馬のみなさん、こんにちは。『ウマラジ』の時間です」 馬のためのラジオ放送局「URN(ウマ・ラジオ・ネットワーク)」は、馬に携わる人間たちと、馬自身によって運営されている。 番組を担当しているのは、看板DJの元騎手・馬永(うまなが)だ。 「北海道の黒ウマさんから、こんなお便りをいただきました」 「馬永さん、こんにちは。ボクは幼なじみを探しています。牧場で一緒に遊んでいた女の子です。ある日突然、車に乗せられていなくなってしまいました。彼女の特徴は……」 さっそく、

          たずね馬

          お馬さんがキューピット

          1998年7月12日。 競馬界のドリームレース、宝塚記念の日だ。 私たちは阪神競馬場へ出かける前に、市役所に寄った。婚姻届を出すためだ。 「宝塚記念の日に婚姻届を出そう」と決めていたのには、訳がある。 2年前、参加していたネットの競馬サークルで、初めてのオフ会が行われた。この日が宝塚記念の日だったのだ。阪神競馬場のグッズショップの前で集合したが、顔も本名も知らない人と会うのは緊張した。 関西近郊から集まったメンバーが中心の中、一人だけ関東から遠征してきたメンバーがいた。

          お馬さんがキューピット

          遅咲きの桜

          「どうして、僕だけ咲かないんだろう」 お昼休み、周りを見ながらため息をつく。 大学を卒業して、今の会社に入って5年。同期たちは色とりどりの花を咲かせたスーツを着ている。 最初はみんな、黒っぽくて地味だったのに。 黄色が鮮やかな菜の花のスーツ。真っ赤で目を引くチューリップのスーツ。 なのに、僕のスーツは芽が出る気配もない。 なぜ芽が出ないのか。 そういえば、小学校の理科で「発芽の3条件」を習ったな。調べてみると「水・空気・適当な温度」とある。 まずは「水」。 その環境に

          遅咲きの桜

          大いなる知恵

          6年前の2月10日。 「頑張ったね」と妻に声をかけ、僕は帰路に着く。 夜明け前で、空はまだ暗い。 フワッと白いものが降ってきた。雪だ! あたり一面が白に染まっていく。 目の前の光景を、まじまじと眺めた。 「雪って、生きているのかな」 ふと、そんなことを考えた。 一つ一つの雪に心があり、知性がある。 雪だるまは、そんな頭脳が集まっているのかもしれない。 白い大地のように、大きな知恵を持てますように。 冷たくなった手に息を吐きかけながら、わが子のことを思う。

          大いなる知恵

          カップルン

          今、話題のAI恋愛マッチングアプリ「カップルン」。 あちこちのサイトで、成功体験談を見かける。 「素敵な彼女ができました!」 ボクの職場は男性ばかりで、出会いが少ない。 同僚の多くは「彼女いない歴=年齢」だったりする。 仕事が忙しくて、毎日帰るのは深夜。 電気の消えている部屋を見て、ふと淋しくなる時がある。 使い方は簡単。 アプリをインストールして、簡単なプロフィールを登録する。 相手の条件を入力すると、AIが「相性」を診断して引き合わせる。 ここまでは、普通のアプリと同

          カップルン

          助手席のタイムスリップ

          対向車がブレーキを踏む様子もなく、こちらへ突っ込んでくる。 もうダメだ。 助手席の彼女も、声にならない悲鳴をあげている。 「バンッ」 目の前に相手の車が迫り、もう終わりかと思ったとき。 助手席の彼女は消えていた。 「10分前にタイプスリップして、寝ていた運転手を起こしてきたの」 「大事にならなくてよかった」 いつの間にか戻ってきて、さらっと言い放った彼女。 命拾いしたよ。 ところで、君はいったい何者?

          助手席のタイムスリップ

          「54字の物語」作品集

          ・「読書の日×54字の文学賞」入選 「最終電車」 ・「54字の百物語」(PHP研究所)掲載 「二者択一」 ・「旅する54字の物語」(PHP研究所)掲載 「宇宙マナー」 ・みんなの54字の物語 Vol.1「扉」 「気になった作品」賞 「宝物」 ・みんなの54字の物語 Vol.2「星」「 SF(すこしふしぎ)」賞 「夜空のスイッチ」

          「54字の物語」作品集

          穴の中の宝くじ

          「あの宝くじ、当たってたんだよな」 男は穴を覗き込む。 ボーナスが入った勢いで、100枚も買った「年末ジャンボ」。 当選発表を見て「やった!」と思ったのも、束の間だった。 うっかり落とした先は、底の見えない深い穴……。 お金は手に入れたいが、命も惜しい。 大きな選択を迫られた。 「100万円で、何買おうかな」 穴の中に消えた男は、二度と戻ってこなかった。

          穴の中の宝くじ

          おっちょこちょいのATM

          「また1円多かった」 お客さんが、顔をしかめて帰って行った。 ボクは、見習いのATM。 3か月の新人研修を受けて、やっと現場で働き出したばかりだ。 失敗ばかりで、上司は頭を抱えている。 おや、あの人は? ショッピングセンターの雑貨屋さんで、働いている店員さんだ。 「また失敗しちゃった……」 ため息をついて、ボクの前に来た。 「お釣り間違えちゃって。お客さんに叱られちゃった」 大丈夫。 ここにも、同じおっちょこちょいがいるけど、 立派なATMになってみせるから。

          おっちょこちょいのATM

          東と西の薬

          日本の「東と西」では、言葉が違う。 同じように、薬も違うのだ。 この春、大阪へ転勤になった僕。 風邪を引いたと思い、医者に行くと言われたのだ。 「薬出しときますね、1000万円!」 ポカンと口を開けていると、看護師さんが教えてくれた。 「これが関西のあいさつよ」 文化の試練は、なかなか厳しい。

          東と西の薬

          だんだん高くなる結婚式

          「ずいぶん高いところまで来たなぁ」 夫となる、高志(たかし)とは「スカイダイビング婚」だった。 一緒に飛んでいるうちに、意気投合した。 「結婚式は空中で」 その話に異論は出なかった。 私たちの身体は、だんだん地面から遠くなっていく。 大気圏を超えて、もっともっと上へ。 宇宙全体が、祝福してくれるかも。

          だんだん高くなる結婚式