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2023年映画ベストランキング

こんにちは。ギルドです。
2023年もそろそろ終わりを迎えるので、この一年で鑑賞した映画をランク付けしてみました。

ご参照くださいませ。


■今年の振り返り

今年は130本鑑賞しました。
昨年は98本だったので、あまり映画を観ていないと感じた割には多く鑑賞していてビックリしています。

社会人になって6年経ち、映画を本格的に観始めて5年経ちました。
社会人として一年通しての繁忙の波を理解したり、仕事の取組みで贈与的発想でそれなりに楽しながらやれるようになれた印象がします。
その一方で、趣味はbeatmaniaIIDX(以下、IIDX)と映画の両立をしよう!…と意気込んでいましたが2023年初頭に黒イカHARD&☆12初全白を達成してからはIIDXに傾倒しまくってましたw
どのくらいのめり込んでいたか?は下記の記事をご参照ください。

本来、私のアイデンティティはIIDXと映画ですが、IIDXの方は☆12全白達成に向けてずっと奮闘していました。
その中で打ちひしがれた心を癒したり気分転換をする目的で映画を観ていた…というのが2022年までの大まかな流れになっています。
ところが、2023年初頭に☆12全白を達成してからは完全にIIDXと映画の2者の関係・力学が大きく変動して、IIDXに思い切り寄った一年になったと言えます。

それ故に2023年は例年より多くの映画を観たとはいえ、モチベーションはIIDXに完全に食われていたのは否めなかったです。
しかも名演小劇場、名古屋シネマテークの閉館のニュースが流れてからは場所の喪失によって余計に映画のモチベーションは下がったのは覚えています。いきなりマイナスな話になってすみません。


…とはいえ、東京国際映画祭に参加してみたら個人的に刺さった映画に何本か出会えましたし、深くのめり込んだ映画にも出会えましたし、何よりも名古屋シネマテークが「ナゴヤキネマ・ノイ」として生まれ変わるニュースが流れてからは映画のモチベーションが復活しました。

そういった意味でも今年は自分のアイデンティティであるIIDX、映画共に大きな激動ある一年でもあり、様々な気づきを得た一年だったと言えます。

様々なジャンル、映画館・映画祭・配信で良い映画を沢山観ることが出来たのでTOP10でまとめていきたいと思います。

定義はざっくりこんな感じです。

新作映画:日本で2023年に映画館で初上映・初配信されたタイトルの作品
     2023年 日本の映画祭で上映された作品

旧作映画:主に監督特集で扱われた作品。4K対応などの過去作の復興作品。


■ベスト映画まとめ

〇新作映画ベスト

ポール・バーホーベン「ベネデッタ」

〇旧作映画ベスト

今敏「パーフェクト・ブルー」

↓過去の年間ベストはこちら↓

■2022年

■2021年


■新作映画ベスト10

10位:フランソワ・オゾン「すべてうまくいきますように」

伏見ミリオン座より。
安楽死を希望する父親とその家族のお話。

安楽死制度には様々な手続きの難しさ、法的なしがらみが存在する。
本作は安楽死を選択する父親を止めようとする話ではなく、安楽死制度の難しさ・施工までの「長さ」と当事者の「想い」を映した話でそこが興味深かったです。

死生観について考える映画であると同時に、
①「死」が社会におけるゲームチェンジャーとして働く救世主的な側面
②「死」に漸近した当事者に「少しでも考え直してほしい」という願いと「死へのカウントダウンまで精いっぱい愛そう」という諦めと奉仕が混在する側面

を提示した力強い作品でした。


9位:トラン・アン・ユン「ポトフ 美食家と料理人」

東京国際映画祭より。
料理を考案するドダン、料理を正確に作るウージェニーの夫婦よりも強いパートナーな二人の料理を巡ったお話。

料理を振る舞うシーンが多く、「バベットの晩餐会」を思わせる大団円のような料理を観ることが出来る。

料理を振る舞う場所と人物の位置関係によって変遷していくところが面白くて、料理がパーソナリティ、表現・思想として機能するのが素晴らしかったです。
そういった料理を振舞う事を文法に
①その人じゃないと駄目な特別さ
②その人だけで閉ざさない可能性
を示す力強い作品でした。


8位:金子由里奈「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」

Strangerより。
ジェンダーらしい人物になることへ苦労する大学生にフォーカスを当てたお話。
ぬいぐるみサークルでは主に無意識な加害への辛さをぬいぐるみに話しかけるが、悲しさを当事者意識するあまりにぬいぐるみに語りかける行為を教会の告解室のような意味合いまで発展していく。

受けた痛み、観測した痛みをぬいぐるみにコピーペーストする形で「優しさ」を目指す姿を描くが、その一方で「優しさ」には一定の覚悟がいる事を示しているのも興味深かったです。

つまり
・「優しくする」にはエネルギーを使う
・「優しくする」あまりに傷つくことから恐れて逃げる。逃げる行為には良い面も悪い面もあり善悪の付けようがない
・傷つける行為に憤慨するのは正しいが、傷つけてしまうかもしれないと歩み出せない事は必ずしも良いとは言えない。

といった多様性を認め合う映画と見せかけた「優しくする事と傷つけないようにする事は等価ではない」を鋭く描いた傑作でした。


7位:グレタ・ガーウィグ「バービー」

配信より。
バービーランドという完璧な世界で生きるバービーは「完璧であること」に追及していたが、ある日を境に完璧じゃないことに劣等感を覚えてしまう。

バービーのボーイフレンドも注目されない・認められない事へのコンプレックスが…といったような劣等感・コンプレックスに関する映画なのは意外だった。
そこから見えるイデオロギーの衝突も、そこに優劣はないのも、優劣がないのは分かるけどそれでも問題・衝突が起こる中で「分からないものは分からない。だから互いに注目して良いところを探そう」と手をつなぐ感じは良いなと思いました。


6位:スティーブン・スピルバーグ「フェイブルマンズ」

109シネマズ名古屋より。
映画撮影を通じた自伝作品で見終わった後の感動が凄かった。

この映画は映画撮影に夢を抱いた少年の話だが、映画撮影の夢を追いかけていく中で
・良い事だけでなく悲しい事も見える
・趣味に打ち込んでやればやるほど「自分の無力さに絶望する」
・「趣味への理解のされなさ」に否定されたような悲しさ
・趣味で得た強みを人助けする事への受け取り方の違いに葛藤
…な何かに打ち込んだ人に凄く刺さる映画で感動しました。


5位:クリストバル・レオン & ホアキン・コシーニャ「オオカミの家」

センチュリーシネマより。
ストップモーションで「洗脳の本質」を描いた怪奇的な作品。

「洗脳」の本質を炙り出した映画であるが、心理的な優位性の変化を壁面とオブジェクトの連続的な変化で指し示しているのが魅力だと思う。
悪夢のような映画でありながらも、悪夢のルーツの思想を追う映画でもあるし、洗脳から物理的に逃げ出されても精神的・社会的には洗脳から逃げられず、部屋という箱に閉じ込められる怖さを描く意味で
・童話の怖さ
・洗脳の怖さ
を重ね合わせた素晴らしい映画だと感じました。


4位:トッド・フィールド「TAR/ター」

伏見ミリオン座より。
天才的な女性指揮者を描いた話。

随所随所にシャンタル・アケルマン要素「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」、「アンナの出会い」、「オルメイヤーの安房宮」がちりばめられている。
そういったオマージュを通じて、天才で地位を確立したが故のエゴという贅肉が苦しめる的な話に昇華していて、キャリアとやりたい事が段々とズレていく性に圧倒されました。

クラシック音楽界の才能ある人間と社内政治でのし上がる人間たちの蹴落とし合いの一面を描いた映画であるが、本来のやりたかった事・好きだった事が権威主義によって狂って人でなくなる"成れの果て"を鋭く映す所に怖さを封入するのが素晴らしかったです。


3位:岸 善幸「正欲」

伏見ミリオン座より。
マリハラ、YouTuberへの解像度の高さが凄いし、少数派が受けるヒリつきへの緊張感も凄かったです。

この映画では多様な生き方があっても良い言葉と、けれども実態として空気感や保守的なステレオタイプによる外圧が依然として支配している事を描いている。
そこに対して
(1)ステレオタイプな生き方を「擬態」して生きながらえてる可能性
(2)依然として「擬態」して生き続けてる人々は何らかの形で「誤認」されるが、相互理解して得た繋がりが強固であること
を明示した一作で、「誤認」によって多様な生き方を認めるスローガンとの乖離や逆説的に人と人との繋がりの強弱を浮き彫りにした部分が素晴らしかったです。


2位:ポール・シュレイダー「カード・カウンター」

ミッドランドスクエアシネマより。
ギャンブラーとして過去から逃げて現在の勝算を高めるためにカード・カウンティングという技法を使う男の話。
カードカウンティングとは配られたカードを-1,0,+1の三種で分けて得点を加算していき、随時合計得点を確認しながら確実な場合だけ賭けて勝つという勝率の高い技法。

この方法で目立たずに勝てる場合のみ小さく勝ち続ける男は過去に囚われているともとれる。
そんな彼に未来への可能性を提示し、その未来のために過去と戦う話にただただ感動しました。

元々、前作の「魂のゆくえ」が好きだったしストーリーラインの大筋も「魂のゆくえ」と共通点は多い。
けれども、本作はそこから人間関係をバイナリに捉えて過去を昇華した人間に未来のために過去の清算をする話に仕上がっていて、その世界観の構築や説得力…更には主題の力強さに圧倒されました。


1位:ポール・バーホーベン「ベネデッタ」

ミッドランドスクエアシネマより。
宗教という巨大なコミュニティの中で脈々と続く権威主義・男性優位社会…な話ではよく女性が迫害されてしまう。

本作はそんな宗教が齎す若い女性への迫害に対して「私には神が宿っているから!」と言わんばかりに薙ぎ倒していく。
荘厳な世界観・映画と見せつけた「社会で偉そうな奴でも神には勝てないから」と皮肉ってぶん殴るパワーでゴリ押すパワー系映画で謎の感動を覚えました!

主題としても自己肯定感を高くした方がいいですよ、という内容も含むしアームストロング上院議員みたいな「気に入らない奴はぶん殴る」な脳筋思考になってるのも好き。

ベネデッタが1位になった理由としては
・映画としての爽快感が凄い
・神を信じる事の万能さ

…というのもあるが、何よりも
「巨大なしがらみの中で言ったもんがちなの承知で、どこまで言った事に乗り切れるかで無限大の可能性がある」
というのを指示した神のお告げの部分に惹かれました。


■旧作映画ベスト10

10位:オタール・イオセリアーニ「唯一、ゲオルギア」

旧・名古屋シネマテークより。
ジョージアの文化形成を宗教、歴史から捉えたドキュメンタリー映画。

当時の映画を引用する形で異なる考え・文化に寛容であるほどに文化のレベルは上がり、プロパガンダや排他的な思想によってやせ細る姿を描いている。
それによって一つの国の歴史が山と谷を交互に歩んで、その国ならではの文化を形成していく答え合わせの壮大さが凄かったです。


9位:シャンタル・アケルマン「家からの手紙」

旧・名古屋シネマテークより。
ニューヨークの景色と母からの手紙を読み上げ続ける作品。
互いに向こう側の世界が見えない中で、アケルマン自身が見える世界と母の手紙を読み上げる姿を重ね合わせる事で
手紙を読んでいる時のアケルマン監督が見てる世界を見せたり、ニューヨークの景色がアケルマン監督の当時の感情を表現したり…な幾つかの機能に仕上げる手際の良さが凄かった。

映画の展開は凄くシンプルだけど、シンプルが故に母と娘の感情が上手くキャッチボールできたりできなかったり…を繰り返している所に惹かれた一作。


8位:原一男「水俣曼荼羅」

旧・名古屋シネマテークより。この映画がシネマテークで鑑賞した最後の映画である。

水俣病の認定基準「52年判断条件」に関わる関西訴訟をきっかけに環境省・熊本県と戦う市民、医者、弁護士ら様々な人々の生活を追ったドキュメンタリー映画。
本作では病像論について水俣病患者の厳しい判断基準に疑問視した2人の医者から映画が進行していくが、
・医学、政治における権威主義的な考え
・医療における学説の神格化
・政治における杓子定規的対応

の巨大な力学に立ち向かう姿、その力学に折り合いのような何かで無理くり納得して生活する姿…といったまさに曼荼羅のような世界を現出していて、そこが濃厚な映画だと感じました。


7位:デヴィッド・クローネンバーグ「ヴィデオドローム」

伏見ミリオン座より。
ポルノ中毒と陰謀論を混ぜ合わせたような映画で、グロテスクさと造形の魅力さを両立した独自の世界観が好き。

映画も様々なオブジェクトを取り入れた絵面をしているが、それと同時に同時期のジャンル映画をも取り入れたキメラ映画のような作品に感じました。


6位:ルッジェロ・デオダート「食人族」

ヒューマントラストシネマ渋谷より。
説明不要なモキュメンタリー映画の金字塔でもあり、カニバリズム映画の代表作。

人間の動物的怖さとか利己的な傲慢さが与えたマウンティング合戦のオンパレードで、その延長戦上が殺戮なんだと言える一作。
知り合いのスプラッター映画、ジャーマンゴア映画好きによると食人族は「そうゆう文化なんですね~」な気持ちぽいけど、自分はダメでしたw


5位:オタール・イオセリアーニ「そして光ありき」

旧・名古屋シネマテークより。
牧歌的な営みが続く村に侵食し始める伐採機と産業のお話。

昔ながらの原始人のような生活をしている人々が文化に触れる事で、人々を縛っていた慣習・流動性が大きく変わっていく。
産業が文化を破壊するのではなく、産業がゲームチェンジャーとして文化の形態を変えていく歴史そのものを描いているのが特徴的か。
その割には牧歌的な一面もあれば、カメラワークで結構残酷な事をやっていたりと映画全体が独特な雰囲気を醸し出していて面白かった。


4位:杉田協士「ひかりの歌」

Strangerより。
光をテーマにした短歌コンテストから選ばれた4首の短歌を原作に、この世界を生きるための支えとなる光のありかを4人の主人公から描いた話。

4人の女性はそれぞれ「誰かの不在」に対する孤独感を抱えて生きている。
その孤独感を払拭するために別行動に変換している。
変換せざるを得ない状況が、そのまま想いをそのまま伝えられずプリズムを通過して屈折した光のように違った色のように映す…そんな透明感ある素敵な映画でした。


3位:ピエール・エテックス「ヨーヨー」

旧・名古屋シネマテークより。
時代の変遷をサイレント映画→トーキー映画、音の当て方…と映画らしい進化で当てはめつつも、ユーモアと喜劇で幸せにする意思を継承していく姿に感動しました。
フェデリコ・フェリーニ「8 1/2」のような雰囲気に近く、かつて失った居場所・尊敬する父親が取り戻せなかった居場所を俺が取り戻す!という気概・カタルシスに落涙しました。
ユーモアあるけど、そのユーモアの背景には悲しい過去とそこに立ち向かうドラマがあって素晴らしかったです。


2位:田中登「㊙色情めす市場」

伏見ミリオン座より。
日活110周年記念特集上映「NIKKATSU World Selection」の日活ロマンポルノ枠。
ロマンポルノなので性描写が強烈に描かれる映画だが、そんな中に存在する家庭的な温かさ…娼婦の姉が実の弟にだけ見せる"母親"の瞬間が存在し、それが良くも悪くも家族の人生を狂わすファムファタールな存在に昇華していて圧倒された。

トメがフリフリのワンピースで踊るシーンが何回かあるけど、
・踊ってる可愛さ
・ワンピースが透けて時折肉体が見えるエロさ
・娼婦であるアングラさ
・踊っているドヤ街の怖さ
が混じっていて、そこにこの映画の伝えたいドロドロした残酷さ・静かに進む喪失感を見事に映している凄まじい傑作だと感じました。


1位:今敏「パーフェクト・ブルー」

センチュリーシネマより。
旧作映画の中だと「パーフェクト・ブルー」がぶっちぎりだった。この映画以外に考えられないくらい素晴らしい映画。

現実と虚構を行き来する作品で、女優業という新たなキャリアを目指すも
(1)その志とは別に潜在するアイドルであり続ける本望と摩擦が生じる内面の葛藤
(2)アイドルという玉座を降りる事に対する贖罪の是非

の2点をサイコホラー調に鋭く描く。
アニメとしての展開、当時の気味の悪さとしても秀逸である。
けれども、本作が旧作ベスト1位になったのは「何者である」事を降りる事で生まれる罪悪感・失望感への向き合い方だと思う。

本作はその失望感が狂気として牙を剥き、
①「何者である」事に折り合いを付ける事の難しさ
②応援する側への期待に応える事の難しさ
を叩きつける力強さに昇華していて、そこに強く惹かれました。

そんな「パーフェクト・ブルー」が旧作1位です。


■その他

ランキング外ではあるが、個人的に印象に残った映画を紹介する。

立川譲「BLUE GIANT」

伏見ミリオン座より。
ジャズバンドで日本最高峰のジャズクラブへ出場を目指す男子学生の話。

ジャズ映画のライブシーンは言うまでもなく素晴らしかった。
特に演奏においては荒々しいけど熱情的な演奏で圧巻する演出は凄いし、プレーヤー自身がスタンリー・キューブリック「2001年 宇宙の旅」でいうモノリス的存在になっていて、そこの人間模様や青春音楽映画とSF映画を組み合わせる業に特化した一作でした。

立川譲監督だと「名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)」も今年に上映されて、これも良かったけどこっちはこっちで映画とは別にデートで苦い思い出があったので、BLUE GIANTの方を選びましたw


斎藤工「スイート・マイホーム」

伏見ミリオン座より。
マイホーム購入した後に身の回りで変な事が立て続けに起きる話。
原作や映画だとよくある新婚夫婦や子供を授かった夫婦の家庭的温かさが伝わる質感で広がるけど、ちょっとずつおかしな方向に映画が進んでいく。
そして、この映画における犯人のサイコパスっぷりが凄まじいのとサイコパスによる恐怖によって起きる取り返しのつかない事態があまりにも強烈。


温かさと怖さのギャップが凄かったし、エンディングで流れたyama「返光」の余韻も含めて強烈な印象の残った映画でした。


ダリオ・アルジェント「ダークグラス」

伏見ミリオン座より。
サスペリアで有名なダリオ・アルジェント氏の最新作。
ダークグラスもそうだし、ギャスパー・ノエ最新作「VORTEX」でも主演として出演するなどアツい監督である。

「目に見えない」恐怖を演出した作品で、その怖さも光っているけどジャッロ映画としての文法で「俺の世界観、流儀を観てくれ!」と言わんばかりの主張をしてきてるのも好印象。
そういった潔さがある映画は爽快感あるし、昔からの名匠が現代にアップデートしながらも自分の文法はそのまま伝えてしかも怖いのが好き。


ザーラ・アミール・エブラヒミ、ガイ・ナッティヴ「タタミ」

東京国際映画祭より。
柔道の世界大会で棄権を強要された選手と彼女のコーチに関するお話。

第36回東京国際映画祭では審査委員特別賞、最優秀女優賞の2部門を受賞した作品で日本にも公開される可能性は大いにあると言えます。

戦況が良くなるにつれて選手やその家族が危機的状況に陥る試合にかかる圧力の異常性を炙り出した作品で、その力強さや声を上げて打破しようとする当事者の緊迫感を鋭く描いたところが素晴らしかったです。
ちなみに実話をベースにした映画なのが余計に闇深いと思う。

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