【Letters活用事例】口コミ経由で月間3000万円の売上を作ったCOFOの知られざるマーケティング術
多くのEコマース事業者に使われているECプラットフォームの「Shopify」。
特にブランドの世界観を大事にするD2Cブランドにとっては、ノーコードで簡単にサイトのカスタマイズができるShopifyと、非常に親和性が高いと言えるでしょう。
しかし、D2Cブランドを立ち上げても、届けたい顧客に向けたマーケティングを実践しないと、なかなか利益に結びつきません。
そんななかで、口コミやSNSなど、人からの紹介で購買やサービス利用を促す「リファラルマーケティング」が近年注目されています。
2019年からShopify App Store内で展開するリファラルマーケティングツール「Letters(レターズ)」は、既存顧客にブランドのアンバサダーになってもらうことで、新たな顧客開拓やブランドのファンを創出できる「紹介型プログラム」の仕組みを構築できるアプリです。
今回のウェビナーでは、Lettersを最大限に活用し、クチコミ経由で月間3,000万円の売上を作ったデスクチェア「COFO」 のマーケティング戦略やインフルエンサーやKOLを巻き込んだ紹介プログラム実装の勘所について、FOS株式会社 取締役 吉良優杜氏にお話を伺いました。
完全和製アプリとして多くの店舗に導入されるLetters
2019年にサービスを開始したLetters。
大手PRエージェンシーにて営業やPRコンサルタントの仕事を10年間行ってきた当社大迫は、かねてからShopifyに注目していました。
広報PRの知見やKOL(キーオピニオンリーダー)施策の経験から、それらを生かした事業を立ち上げられないかと考えた末に、Shopifyに特化した仕様のリファラルマーケティングツールを開発したのです。
現在までに約1,000店舗のダウンロード、約250店舗がLettersのアプリを実装しており、海外製アプリにはない完全和製アプリとして、シンプルかつ容易なUI/UXが大きな特徴になっています。
これまでに1ブランド、1プログラムでリファラルマーケティングの導入を検討するマーチャントや、広告やPR以外でのセッションやCVの獲得に繋がる施策を探していた事業者に利用いただいています。
約1年の開発期間を経て誕生したCOFO
こうしたなか、Lettersアプリを活用してリファラルマーケティングに取り組む店舗の中でも、圧倒的な成果を残しているのが、デスクチェアブランド「COFO」です。
“在宅ワークがはかどるワークチェア”は、コロナ禍のワークスタイルが開発のヒントになりました。
吉良:
COFOを開発しようと思ったのは、「コロナ禍での在宅ワーク中に、腰痛で悩んでいた」という自分自身の原体験がきっかけになっています。
私はリビングで仕事していますが、機能性の優れた椅子を探そうと思っても、10万円以上するものが多く、なかなか手が出せない値段の商品ばかりでした。
反対に安い椅子を選ぼうとした場合、今度は機能性やデザインが見劣りし、ワークチェアとしては合わないと思っていたのです。
「値段もリーズナブルでかつ機能性に富んだ椅子」
このような商品が世の中になかったので、自分で作れないかと考え、デザインや品質、値段など、3ヶ月くらい市場調査を行いました。
ある程度、商品開発の見通しがついた段階で、開発パートナーを探すために中国のさまざまな自治県をめぐり、椅子の製造工場の社長と交渉を重ねました。
その結果、2社と共同開発する形でCOFOの生産体制が整い、そこから約1年の開発期間を経て2022年2月にCOFOの発売にこぎつけたのです。
現在までに約30,000脚の椅子をお客様に購入いただいておりますが、これは「ハイクラスの製品をできる低価格で」というD2Cブランドならではのメリットが大きく寄与しています。
人間工学に基づいた快適さを保つ機能性と、洗練されたデザイン性を兼ね備えた商品だからこそ、在宅ワーク時代のニーズに合致し、多くのお客様に支持されていると考えています。
ブランドの実績づくりや認知度向上に寄与したMakuake
発売以来、人気を誇っているCOFOですが、そこには緻密なマーケティング戦略がありました。いかにしてブランド認知を高め、販売促進につなげていったのでしょうか。
吉良:
ここからはCOFOのマーケティングについて話していきたいと思います。
COFOでは、応援購入サービス「Makuake」でのプロジェクトを合計で3回実施しました。
なかでも「COFO Chair」に関しては応援購入総額が2.3億円を突破し、目標金額を遥かに上回る結果につながったのです。
Makuakeを実施して感じたのは「革新的な商品であれば、値段問わずに購入する層が多い」ということ。
また、PRや宣伝のツールとしてMakuakeを活用するのはもちろん、テストマーケティングの場としても有用だと考えています。購入いただいたサポーターからリアルなフィードバックをもらえるので、商品の改善にも大いに生かすことができたからです。
さらに、Makuakeによるプロジェクトを実施する際には事前準備も肝になってきます。
プロジェクト公開前に商品のLPを作成し、お客様の動向をチェックすることで、どのような購買ニーズがあるのかを事前に把握しておくのを心がけました。
Makuakeで実績を作る上では、公開後1日目の初速がものすごく大事になります。
最初に山を作れるかどうかで、プロジェクト成功の可否に関わってくるのです。
COFOのマーケティングで意識した6つのこと
その一方、Makuakeはあくまで「商品の実績づくりやPR」に即した取り組みになるので、一過性の盛り上がりにならないように、サイトでの販売数を継続的に伸ばしていく必要があります。
ここでは、COFOのマーケティングで意識した6つのことを吉良氏が共有しました。
吉良:
COFOのマーケティングでは、以下の6つを重要視していました。
ハイブランドクオリティを低価格で提供
ユーザーが満足する
コンセプトやビジョンを伝えて共感するファンを増やす
インフルエンサーに紹介され、信頼や認知が向上
売り上げや収益が増え、さらに新しい商品を開発
ブランドのファン(COFOer)が感動する
ハイブランドクオリティの商品を低価格でお客様に提供するのが前提にあるわけですが、そこから購買へとつなげていくためには、ユーザーの満足度が大切になります。
椅子はどうしても組み立ての煩わしさが伴う商品なので、わかりやすい説明書きや軍手を商品とともに送るなど、できる限りお客様に配慮した形で商品を届けるのを大事にしています。
加えて、同梱物にこだわるのもポイントになります。ブランドのメッセージや世界観が伝わるようなパンフレットを作成し、ブランドのファンになってもらうのを目指すことはもちろん、少しでも気になったらアンバサダー登録をしてもらうために、QRコードを設置して、簡単に申し込みができる導線設計を意識しました。
そして、KOLやインフルエンサーを巻き込んで、ブランドの信頼や認知をさらに獲得していくのも成長には欠かせません。
COFOと親和性のあったKOLはガジェット系、在宅ワーク系のブロガーやYouTuberでした。
KOL自身も、在宅ワークをする際の椅子選びの重要性は理解していて、実際に使用いただくことで「自分ごと化」できたのが、口コミにつながったと捉えています。
具体的な施策としては、商品の現物をギフティングという形でKOLの方にお渡しして、もし気に入ってもらえたらレビューを投稿してもらうことを実施しました。
100名ほどのKOLに商品へギフティングしましたが、そのほとんどがYouTuberやブログで紹介され、KOL経由でブランド認知拡大や商品購入に貢献できたと考えています。
KOLの選定については、例えばYouTuberであれば「チャンネル登録数よりも再生回数」を見ていました。仮にチャンネル登録数が10,000人くらいでも、視聴している数が多いほど、そのチャンネルにコアなファンがついているので、「COFOのファンになってもらえる視聴者や読者がどれだけいるか」という視点で、ギフティングするKOLを決めていったのでです。
口コミ効果を最大限に生かすためのLettersアプリ活用法
Lettersを最大限に活用し、COFOの売り上げアップにつなげることができたのは、次の3点になります。
KOLにインフルエンサーリンクを渡す
Lettersアンバサダーメルマガを活用する
同梱物にこだわる
吉良:
COFOでは発売当初からAmazonギフト券5,000円分を紹介者へリターンするリファラル購入プログラムの仕組みを導入していました。
その際、アンバサダーには必ずLettersアプリ経由の購入リンクを共有していました。
COFOの場合はYouYuberやブロガーを副業としてやっているKOLが多かったので、そのリンクを渡すことで、口コミ経由で収入につながることに喜びを感じてもらう状況につながったのです。
現在は先ほど紹介したKOL以外にも、COFOを紹介してくれるアンバサダーが900名ほど集まっていて、合計でおよそ1,000名のアンバサダーネットワークを保有しています。
新商品の発売やプロモーションのタイミングに合わせ、Lettersの管理画面からアンバサダーに向けたメルマガ配信を行うのも定期的に実施し、口コミ経由での売り上げ創出に努めています。
また、同梱物からアンバサダーへの興味づけを行う上では、簡易的な手紙のようなものだと少し読んで捨ててしまうので、ある程度コストをかけて綺麗なデザインのパンフレットを作るのがポイントになります。
売上に対するLettersアプリの貢献度合いと今後の展望
そんななかで、全売上に対するLettersアプリの貢献度合いは、現在のところ転換率(Lettersアプリ経由の売上金額/売上全体)30%前後、おおよそ3000万円程度で安定しています。
Eコマース市場においては、SNSのインフィード広告やリスティング広告など、デジタルマーケティングに依存しがちになり、広告を止めた途端に売り上げが激減することも少なくありません。
こうした背景があるからこそ、リファラルマーケティングを使い、口コミ経由でオーガニックに売り上げが増えていく状態が資産となり、それをいかに作れるかが大事になってくるでしょう。
今後の展望としては、競合他社もどんどん市場参入してくるなかで、引き続きお客様のワークスタイルに合わせた商品を届けていけるように尽力したいと思っています。
実はMakuakeのプロジェクト後に1回目の量産モデルを販売したのですが、そのときに結構な不良品を出してしまい、お客様からクレームを多くいただいた経験がありました。
これは今でも覚えているのですが、大阪のあるお客様から夜中にクレームを頂戴し、なんとか解決しようとパートナーと2人で車に乗り込み、すぐにお客様の元へ向かったのです。
翌朝にお客様の元へ着いて、商品の修理を行ったのですが、お客様が「まさか運営の方が実際に来て、しかも朝早く駆けつけてくれるとは思わなかった」と驚かれていたのを見ると、いかにお客様の生の声に耳を傾けるのが大事になるかというのを実感できたのです。
お客様のリアルな意見がなければ、人気商品である「COFO Desk」も生み出せなかったと思っています。
「アフターサービスをファン獲得の機会に変える」
これがブランドを育てる上では重要になってくると考えています。
ぜひ、COFOの事例が何かの参考になれば幸いです。
ご静聴ありがとうございました。