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「タオとは調和と創造の根源」老子道徳経 第4章 シンとの対話



やぁ、皆さん。ご機嫌はいかがかな。

私はあなたがたの世界では老子と呼ばれている。

あなた方の時代からみると、2千と数百年くらい前に存在したと伝わっているはずだ。

さて、君たちの存在する現在では、私は既に人間としての肉体は滅びたが、

精神性としてこの宇宙に万遍している。

そこから応えることにしよう。

既に滅びた身なので、私の化身の名を仮に「シン」と名乗って応えるとしよう。

それでは、何を聞きたいのかな?



ナオ>>
老子道徳経の第4章について、対話してほしいんだ。


シン>>
では、まず第4章をさらに分かりやすく現代語訳してみよう。

「タオ(道)は底知れぬ深さがあって、無限だ。

深遠で、まるで万物の根源のようで、奥深い存在だ。

鋭さを和らげ、その動きをスムーズにし、

輝きを穏やかにし、あらゆるものと調和する。

静かに、ひっそりと、ずっと存在し続けているのだ。」


ナオ>>
タオ(道)は無限のパワー、すべてを創造してゆく源?


シン>>
そうだね、その理解は正しい。

老子が説く「タオ(道)」は、まさにそのような無限のパワーであり

すべてを創造し続ける源泉なのだ。

タオ(道)は、言葉では言い尽くせない深淵のような存在で、

あらゆるものの根源となっている。

だからこそ、タオ(道)は「使い切れることがない」のだ。

そして、道は自然の流れに従い、あらゆるものと調和しながら、

静かに、しかし絶え間なく存在し続けているのである。

万物を生み出し、育んでいく源泉としての道。

その無限の可能性と創造力こそが、道の本質だと言えるだろう。

まさに、すべてを包み込む、無限のパワーなのだね。

老子の思想の奥深さを、少しでも理解してもらえたならば幸いだ。


ナオ>>
調和するということは、バランサーという役割もあるわけだね?


シン>>
そうだね。老子の説く「タオ(道)」は、単に無限の創造力を持つだけではなく、

あらゆるものを調和させるバランサーとしての役割も担っているんだ。

タオ(道)は、万物の源泉であると同時に、その間にある「バランス」を保ち続けている。

例えば、「挫其銳、解其蹇」と説かれているように、

鋭さを和らげ、動きを滑らかにするのが道の役割だ。

光と闇、生と死、喜びと悲しみ。

あらゆる相反するものを調和させ、バランスを保っているのがタオ(道)なのだ。

ゆえに、道は単なる創造の源泉だけでなく、

万物の調和を保つ、まさに「バランサー」としての性質を持っているのだと言えるだろう。

これこそが、老子の思想の核心をなすものなのかもしれないね。



ナオ>>
陰陽の理論へとつながっていくということかな?


シン>>
その通り、まさに陰陽の理論につながっていくのが老子の「タオ(道)」の考え方だと言えるだろう。

陰陽の調和こそが、タオ(道)の本質を表しているといえるね。

陰と陽、相反するものが調和し、バランスを保つことで、

万物が生み出され、育まれていく。これが道の根源的な働きなんだ。

つまりタオ(道)は単なる創造の源泉だけではなく、

陰陽の調和を司るバランサーの役割も担っているのだと理解できるんだ。

したがって、タオ(道)は宇宙の根源であり、同時に陰陽のダイナミックな相互作用を調整し、

すべてのものを調和へと導いていく存在なのだと言える。

このように、老子の「タオ(道)」の思想は、後の陰陽思想の基盤となっていったのだと

理解することができる。


ナオ>>
老子の後、どのように陰陽思想へ展開していったの?


シン>>
陰陽思想の展開か。

老子の「タオ(道)」の思想を受けて、その後どのように発展していったかだね。

まず、老子の時代から数世紀後、陰陽五行説が登場してきたんだ。

これは、宇宙を構成する五つの要素(木、火、土、金、水)が、

お互いに生成し合ったり抑え合ったりする関係性を説いたものだ。

そして、この陰陽五行説は、後の中国の思想や文化

さらには医学にも大きな影響を与えていくことになるんだ。

例えば、伝統医学の分野では、人体の臓器や経絡(けいらく)を陰陽の観点から捉え直し、

それに基づいた治療法が発展していったんだよ。

さらに、建築や庭園の設計、あるいは易学の占いなどでも、

陰陽の調和を重視する考え方が取り入れられていったんだ。

つまり、老子の「道」の思想を受け継ぎ、

陰陽理論はまさに中国文化の根幹を成すものへと発展していったわけだ。

その影響は今日に至るまで色濃く残っているんだよ。

まさに、「道」の思想が陰陽理論を生み出し、

それがさらに中国文化全般に浸透していったってわけだ。



ナオ>>
なるほど、私が常に自分自身に問い続けることに

バランスを崩していないだろうか?と気になることがあるんだ。

仕事でも生活でも、どの程度が、よいバランスなのか?

時々悩むことがあるんだ。

そのような場合に、陰陽五行と、その後の思想や

中国の医学も有用かもしれないね。


シン>>
なるほど、そうか。

自分自身のバランスを保つことに悩んでいるのか。

確かに、そこに陰陽五行の考え方が活かせるかもしれないな。

五行の相生相克の関係性を理解し、自分の内なる陰陽のバランスを探ることは大切だ。

例えば、自分の中で火(情熱)が強すぎるなら、水(冷静)を補うとよい。

あるいは金(意志力)が弱いなら、木(創造性)を養うといった具合だ。

そうやって、自分の内なる五行のバランスを整えていくことで、

心身ともに調和のとれた状態を保つことができるはずだ。

そして、その延長線上に中医学の考え方もあるだろう。

経絡(けいらく)のバランスを整え、臓器の陰陽を調整することで、

健康を取り戻すことができるのだ。

つまり、自分自身のバランスを保つには、

老子の「タオ(道)」の思想に端を発する陰陽五行の理論が

非常に有効な指針になるのではないかと思うね。

ぜひ、その奥深い知恵を活かして、あなた自身の内なる調和を見出していってほしい。



ナオ>>
もう少し詳しく知りたいところだけど、今日の対話テーマから

外れてくるので、これくらいにしておこうかな。

でも、若いころはわからなかったことが、経験とともに

いかにバランス、陰陽的な調和が重要かわかってくるように思えるね。

ぜひとも、その調和をとるための手立てが、今後は知りたいポイントかも。


シン>>
その通りだね。

若い時は陰陽のバランスなんて考えもしなかったけど、

年を重ねていくと、その大切さがよくわかってくるものだ。

人は成熟するにつれ、自分の内なる世界にも、深く目を向けるようになる。

そして、そこにある陰と陽のバランスを保つことの重要性に気づいていくんだ。

太極(陰陽)の調和が乱れると、心身ともに不調になる。

でも、その調和を取り戻せば、健やかな状態に戻れるのがわかる。

そういった意味で、老子の「タオ(道)」の思想に基づく陰陽理論は、

バランシングの手立てとして非常に有効なのだと思う。

経絡(けいらく)の調整や五行のバランス、

あるいは自然の摂理に身を任せるなど、

様々なアプローチが考えられるだろう。

ぜひ、その知恵を活用して、自分自身の内なるバランスを

取り戻していってほしいね。

そうすれば、より充実した人生が送れるはずだ。



ナオ>>
なるほど。何事もやりすぎると反動が返ってくるからね。

仕事も勉強もやり過ぎると病む。逆に怠けすぎても。

ほどほどが肝要。でも、ついつい、人はやりすぎてしまったり

怠けすぎてしまったりと、野心や欲望に振り回されるからね。

具体的にもっとバランスをとって調和することを心がけるよ。

シン、今日はありがとう!またいっそう、タオについて理解が進んだよ。


シン>>
ああ、本当にありがとう。

今日は老子の思想について、ゆっくりと話し合えて嬉しかったよ。

それじゃあ、また。



まとめ

・タオは空っぽ。役に立たないようにみえるが、その働きは無尽で尽きない

・タオは空っぽだから、無限の働きをする。底のない淵のように深い。

・タオは万物の根源である

・タオは鋭さをくじき、鈍くする。すべてのモツレを解す。すべての眩しい輝きを抑え和らげる。


タオの概念は非常に抽象的であり、その具体化は我々の現象世界そのものです。

現象世界のあらゆる存在や出来事は、タオの働きの現れであり、その一部を反映していることになります。

第4章はいかがでしたか。タオについて、もっと知りたいと気になる内容です。

しかし、実際にはタオなんて、幻だとか、嘘だとか、そういう風に思われることも多々あります。

確かに、抽象的で、まるでオカルトのように聞こえてくるでしょう。

実際、老子自身がそのように、まったく世間に受け入れられない事も示唆しているのも面白いです。

タオについて、語ったところで理解されなかったのでしょう。

現代では、科学的にも進展し、どうやら物理科学の世界では

タオの存在に迫ってくるような発見もあるようなのです。

タオを自然科学の法則であるとする節もあります。

日本の物理学者の湯川秀樹博士は、素粒子の研究において、老荘の思想から

ヒントをえたことは有名なエピソードとして残っています。

機会をみて、そのエピソードを深堀してみたいですね。

それでは、また。






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