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最後のクリスマスプレゼント

娘のところにはサンタクロースがやってきていた。

彼女は大きなクリスマスツリーにつるした
赤い小さなソックスに
リクエストを書いた手紙を入れていた。
時にはサンタ村から手紙が届いたこともある。
そしてクリスマスツリーの下に置かれた
サンタさんのためのクッキーはかならず
朝になると減っていて代わりにプレゼントが
置かれていた

プレゼントに悩む娘だった

彼女は物欲がない子だったので
欲しいもの、というものが、あまりなくて
どうしよう、どうしようと、相談された。

小学生になってからは
「アフリカのこどもたちへの毎日の食事」とか、
「世界中のこどもを幸せにしてほしい」とか
そういうのにしてもいい?と
深刻な顔で聞いてきたから
ちゃんとサンタさんはそういう子たちのところに
優先的にいってくれるから大丈夫だよと
説明してきた。

クリスマスの朝には
ツリーの下にプレゼントを見つけて
満面の笑顔を見せてくれたっけ。

サンタクロースはいるのかどうなのか、
というのは小学生4年生くらいになると
クラスがまっぷたつになるかんじらしい

真顔で「いるよね?」と聞かれたことがある

こたえ方はそれぞれの家族の形があると思う。
わたしは「いるでしょ」と言っていた。

実は私は本当にいると思っている
ただ、世界中の子供たちには優先順位があって
家族が代行業務をしてくれる子はその優先順位が
低いんだと思う

そんな娘のところに最後にサンタクロースが
プレゼントを届けてくれたのは6年生の時だった。

トナカイの鈴が欲しい

娘がそのときにサンタクロースに頼んだのは

「トナカイのすず」

(なんて挑戦的なんだろう、試してるとしか思えない)
と、邪推した私の心はもはや純粋ではなかった(笑)

娘は絵本で読んだトナカイがつけていた
きれいな鈴が欲しいとサンタさんへの
手紙に書いていた

代行業務は難航を極めた。
たぶん、娘がリクエストしたものの中で
一番難しかったと思う。

トナカイは一生に一個しか鈴を持てない。
だからそれをプレゼントしたら
引退しなければならないからだ。

今年が最後です

小さなこどものところにしかいけないから
大人になってきた中学生の君のところには
もういけなくなる、これからは
僕の仕事を手伝ってね

という手紙と共に
トナカイの鈴は届けられた。

とてもきれいな音のする鈴だった。
でもレプリカだから、引退したトナカイは
いなかった。
それが本当によかったことだ。

娘は翌年

「本当にこないんだ」

と悲しそうにつぶやいた

そのとき、私の胸がちりっと痛かったことは
きっと想像がつくとおもう

親の心はこどもを思っていつだって複雑だ。
こどもの心だって親を思ってきっといつだって複雑だ。
お互いがお互いへのやさしさで。

でもそれでいいんだと思う。

クリスマスはやさしさの時間だから。

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☆今日の夢☆☆

娘に夢を叶えるという魔法をプレゼントが
届きました♪♪

みなさんがやさしいクリスマスをすごします♪
あなたも彼も彼女もわたしもトラオ君も。


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