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[2023年|1年目まとめ]より良い思考の技法〜クリティカルシンキングへの招待

春休みを利用して1年目にとった科目について、感想をまとめています。

2学期にとったもうひとつの科目はこちら。「より良い思考の技法〜クリティカルシンキングへの招待(’23)」。


評判が良くて気になっていた新科目

担当講師は菊池聡先生。同じ先生の「錯覚の科学」はそのうち取りたいなと思っていたんですが、23年の新規科目としてこの「より良い思考の技法」が登場。SNSでの評判が良いのと、基盤科目ということで、2学期で取ってみました。

最初に取らなかったのは、1学期、つまりまるきり新科目の時に取ってしまうと、単位認定試験の過去問がないため。

“クリティカル・シンカーになろう”

内容は大きく2つの方向性にわかれています。セオリーを学ぶパートと実践。

実践は後半にまとめられているわけではなく、前半で2つ、後半で4つ。

出だしの「社会統計データを読む」と「インターネット情報を評価する」という2つの実践で、否が応でもガツンと学習の必要性を感じる構成です。

クリティカル・シンキングとは,さまざまな情報をその前提も含めて明確に適切に読み取り,またさらなる探索を行い,それらの土台をもとに合理的な推論を行って結論を導出し,そして,そこから具体的な問題解決につなげていく訓練された思考である。

放送大学印刷教材「より良い思考の技法〜クリティカルシンキングへの招待(’23)」11p

クリティカル・シンキングの説明は上記のとおり。ちょっと小難しいんですが、授業には工夫が凝らされていて、落語やインタビューなどエンタメ要素があってなかなか楽しい。関係ないけど、テーマ音楽がちょっとアーバンな雰囲気。

15回を通して、クリティカル・シンカーを目指します。

考え方の癖や直感を見直す

人はともするとこういうふうに考えがちだとか、直感で結論に飛びつきがちだとか、都合の良い解釈に流れがちだとか、そういう例がさまざま出てきます。こういう癖はある意味必要な場面もあるけれど、それらをちゃんと自覚しておくことも大事。

間違った考え方(誤謬)を学ぶ章もあって、これは新鮮でした(学校ってたいてい“正しいこと”を習う場所だったから!)。

考え方を分解して、取り出してひとつひとつ点検していく感じ。

論理学って……

テーマがテーマなので、論理学も出てきます。演繹推論、帰納推論、三段論法などなど。実際はこんなふうにシンプルにはいかないよね、と思ったりしたけど普段意識していなかった考え方の筋道が図式化されていて面白い。

面白いと同時に、こういうことを研究して、考え方についてずっと考えてる人が存在するということへの違う観点での驚きみたいなものもありました。世の中、いろんな人がいるもんだ……と素過ぎる感想。昨今よく言われる「生産性」という意味では、なかなか存続の危機なんではないかと、余計な心配までしてしまう(←学生の分際で)。

ところが後半にさしかかると、詐欺や悪徳商法、霊感商法、マインドコントロール、さらに防災減災など、実践が展開されていきます。だまされないために、そしてもしもの時に生き残るために、クリティカルな考え方、心構えがいかに大切か。

これは存続の危機どころか、今だからこそ皆に必要な知識、と考えを改めました(はい、浅はかでした)。むしろ大学の講義だけではなくて、高校あたりで必修にしても良い科目なんではないでしょうか。(小学校で入っててもいいくらいだ!)

この実践編では菊池先生も話に熱がこもっているように見えました。

余談:(デザイナーとして)より良い思考の技法をより良く使いたい

前半の実践、統計データのところで、グラフの見せ方の話も取り上げられていました。

グラフの強調は、言ってみればよくある手段なので、ここはデザイナーとして少々耳が痛い。ただしもちろん明らかに数値がおかしい作図や改ざんに近いことはしないですし(先日とあるデータのグラフが話題になってましたが)、節度、というか限度を持ってやっているところでもあります。最近は企業側で気をつけているようにも感じます(そういうリクエストは減ってる印象)。

そして「詐欺や悪徳商法に強くなる」の章では、セールスマンや広告業者の話が取り上げられていて、セールスプロモーションの手法がすっきりまとめられています。

広告業者の端くれとしては、ちょっと印象悪いんですけど!と言いたくなります(笑)が、ここは紙一重ということなんでしょう。広告に関してはさまざま規制があるので、たいていはそんなに逸脱しないと思いますが、今は広告(制作)自体のハードルが低くなったせいもあり、怪しいものが混ざっているのも確か。

こういう(作り手として)改めて気をつけねばということ以外にも、効果的な伝え方、誤解のないような伝え方に関しても大いに学べたと思う科目でした。

さまざまなバイアスを踏まえた災害時の情報の伝達や、行動のパッケージ化についてもとても勉強になりました。私たちの仕事は物やサービスを売る目的だけ、というわけではないので、ここもしっかり覚えておきたい。


おまけ:ドラマのセリフがわかった話(気持ちネタバレ?)

Netflixでヤング・シェルドンというドラマがあります。ビッグバンセオリーという人気ドラマのスピンオフ。

ビッグバンセオリーに出てくる天才科学者シェルドンの子どもの頃の話なんですが、11才の彼が大学の(天才なので飛び級している)哲学の授業ではまってしまったエピソードで出てきたセリフがこの授業で出てきたデカルトの「考える私は存在する」のくだりでした。

あ!あれだ、とわかる瞬間。わからなくてもストーリー上問題はないんだけど、なにを言っているのか(あるいはこれからなにを言うのか)すんなりわかる。授業内容がふとした時に日常とつながるのは新たな学びの楽しいところ(心理学概論のフィネアス・ゲージ然り)ですよね。授業の本筋ともドラマの本筋とも関係ないんだけど、ちょっとしたおまけをもらえた気分。


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