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鳥好きは行くべし! 練馬区立美術館「生誕150年 池上秀畝―高精細画人―」

フリーランスの身ゆえ、週末=必ずしも休日というわけではありません。基本的には仕事上のやりとりは極力控えているし、スケジュールに組み込まないよう、お願いもしています。それでもこぼれてしまうことはある。

その代わりと言ってはなんだけど、スケジュールのやりくりで平日に休みを取れることもあるし(もちろん有休ってわけではない)、急に時間が空くこともある(好むと好まざるとに関わらず!)。

昨日はお昼過ぎくらいに仕事の片がついたので、久々に練馬区立美術館に行ってきました。金曜日だけど、昔懐かしい半ドンの気分。

週休二日制ではなかった頃、土曜日は午前中働いて午後休み。工場などではお昼に合図の「ドン!」という音がなったのが「半ドン」の由来らしい…と子どもの頃聞いたんだけど、これって異説扱いなんですね(→Wiki)。
私も最初の頃、働いてた写植屋は土曜日は半ドンだったような。午前中は働いて休みは半日なのに、午後帰れる=お昼から自由っていうのは変にワクワクしたものです。
懐かしく思い出したりするんですが、実際フリーランスだと、こういうことは普通にたまにありますね。

というわけで、noteの投稿企画「春の連続投稿チャレンジ」3回目。
今回のテーマは(フリーランス的)休日のすごし方。ちょっと無理矢理。

今のところハズレがない、練馬区立美術館

ハズレというのは失礼な言い方だけど、普段あまり観ないような系統の展覧会でも行ってみるとなんだか満足してしまうのが練馬区立美術館。(他の美術館でこういう行き方をしないため、比較対象はないけど)
私にとっては急に“休み”になった時に行ける、いつもと違う思わぬ世界が広がる場所でもあります。

今開催中なのは「生誕150年 池上秀畝―高精細画人―」。日本画です。

もともと私はアート系ではないし(デザインとはちょっと違うから)、個人的に観るのは概ね西洋絵画のほうなので、知識はまるでなし。

それでも解説がしっかりついているので、予備知識なしでも楽しく観てきました。

2階のロビーのみ撮影可。こちらは展示室1への入り口。

意外にモダンな作品群

池上秀畝(いけがみ しゅうほ)は明治から昭和にかけて活躍した画家。

日本画と聞くと伝統的なイメージが浮かびますが(しかも彼は「旧派」)、予想に反してなかなかモダンな作品群でした。

展示は2階(1階は図書館で、美術館は2階と3階)から。当時対立(?)していた旧派と新派の話から始まります。いつの時代も、そしてどこの国でも、こういう対立はあるんですね。

ただ、素人の私から見ると、これ旧派なの?と思うくらい構図や色の構成など、大胆で新鮮。また屏風やふすまなどの建具にも展開されていて飽きません。

「僕は旧派でも新派でもない」とおっしゃっていたようで。

まず目を引かれたのは「四季花鳥」。春、夏、秋、冬の4枚からなっていて、ゴールドとグリーンの華やかな配色なんですが嫌味はなく、なんとなく侘び寂びも感じる色合い。ネット上でも見られるけれど、この大きさ感とか、やはり現物を目の当たりにすると印象がだいぶ違います。
この中では私は秋が好みでした。

2階の展示を見ていくうちに感じたのは、動物がいい!ということ。たぬき、猿、そして鳥。

植物のディテールを描いた額もあったんですが、これは正直、牧野富太郎の方が良かった(本職でないのにも関わらず)。のめり込み度の差でしょうか。

それと比較して、動くものたちの描写はいいなあ(「狸図」のようにじっと動いていなくても)…と思いながら、今度は3階へ。

階段を上がって3階へ。

鳥、鳥、鳥

階段を上がってみたのは、たくさんの鳥たちでした。

写実的。羽や羽毛の質感が伝わってきて、ほとんどの鳥が地味な色なのに、すごく魅力的です。かわいらしいというよりはかっこ良い、というよりちょっと怖いところもあって。

鳥の足って結構怖いんですけど(←養鶏場で働いた経験)、その感じもよく出ているし、目つきもなかなか。飛んでいる様子なんて、どうやって描写したんだろう。

たまにカラフルな鳥もいて「るりれんじゃく」の色がとても良くて見入ってしまいました(こいつは目つきも鋭い)。黒い「う」も黒の濃淡が素晴らしく、艶もあってなんだか気品がある。

写生も力を入れていたそうで、もちろん植物を描いたものもたくさんあったんですが、やはり鳥や様々な動物たちがとても印象的。特に飛ぶものに興味があったのか、蝶やセミなど、羽のある昆虫類も多くありました。

3階で展開されている大物は2階よりももっと大胆になっていました。「盛夏」はとても南国風。中央に大きく描かれたグリーンの葉と日本画独特の背景のゴールドで構成されていて、差し色として花の赤と鳥の黒。配色も画面構成もすごくモダン。

かと思うと、モノトーンで周りに溶け込むような空気感を出した「初冬」やペパーミントグリーンが印象的な「竹林に鷺図」など抑えめの色調で世界観を作り出した作品も素晴らしい。

師に内緒で西洋画を学んでいたこともあるらしくて、そこここでその片鱗も感じました。なんとなくマネを思い出したり。だけどこの頃になると西洋画もすでに日本の影響を受けたりしているから、その辺はなんとも言えないですけどね。

展覧会のチラシ。同デザインのポスターは200円。右のピンクは長野県立美術館。

前半と後半で展示の入れ替えあり

この展覧会は前半と後半で展示の入れ替えがあります。

チケットを持って行くと割引があるそうなので、時間が合えばまた行ってみようかなと思います。

学割で800円で入れたので(一般1,000円)、次は500円でいけるかな。

グッズはあまりなかったけど、ポストカードとしおりを買いました。あとは練馬区立美術館のお楽しみ、展覧会ポスター。200円(つまり、学割で引いてもらった分、ポスターを買った)。

しおりとポストカード。ポストカードは大判もあり。

鳥に絞ってグッズ展開できたら面白いのができそうだなあと思いながら帰ってきました(発注してくれないかしら!)。

開催は2024年4月21日(日)まで。
展示の入れ替えは4月〜なので、前半を見たい人は明日、3/31(日)までにどうぞ。

この展覧会は5/25~長野県立美術館でも開催されます。

西武池袋線「中村橋」駅、改札を出たら左へ。高架沿いの道をこのフラッグを辿ればすぐ。


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