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植物にも心がある!? 放送大学:発達科学の先人たち「アリストテレス」の章 感想

放送大学で学んでいます。
入学して一番最初の学期、導入科目の「発達科学の先人たち」という科目を取りました。

この科目は放送授業というカテゴリーの中のラジオ授業で毎回先生と聞き手の方のお話を聞いて印刷教材を読んで…と、その繰り返し。学び方も手探りなので、試みにnoteにちょっとした感想を書くことにしました。

第一回は導入で大筋の説明でした。

第二回からいよいよ先人たちが登場します。トップバッターはアリストテレス。

アリストテレス

名前だけは多分みんな知ってるアリストテレス。でも古代ギリシャの哲学者という大雑把な説明しか思いつかない……と思ったら、授業の中でもその話が。

思えば義務教育って、名前くらいしか出てこない人いっぱいいますよね。そんなんで、よく名前を覚えられたなあ、と逆に子どもだった私に感心してしまう。これも子どもの記憶と大人の記憶の違いなんでしょう。

それじゃあアリストテレスは何した人かっていうのはググると出てくると思うし、私がここで説明するほどちゃんとわかっているわけでもないので割愛します。この記事はあくまで感想ということでご容赦を。

心理学(という言葉、学問)は歴史が浅く、それ以前に心を扱ったのは哲学ということで、「心理学の祖」とも言えるアリストテレスを取り上げるんだそうです。

なるほど。

心とはなにか

この章ではアリストテレスの考えた「心とは何か」ということを説明していきます。ところがこれがラジオだけだと用語が難解でよくわからない。ソーマ、プシュケ、形相、終局態、実現態…、テキストが届くまでの試聴期間、頭の中は?マークだらけに。

まず、アリストテレスの心についての暫定的な定義が

「可能的に生命を持つ自然的物体のいわば形相」

アリストテレス「心とは何か」(桑子敏雄訳)/発達科学の先人たちより

「カノーテキニ セイメイヲモツ シゼンテキブッタイノ イワバケーソー」
……なにがなんだか?

でも届いたテキストを読んでいくと、心(と身体)についての考えが(よくわからないなりに)なにやらとても面白い。
現代人の私から見ると、学問というよりSFとかオカルトぽいような。なにそれみたいな説がどんどん出てきます。

心身の同一性、一体性、つまり心と身体は切り離せないという私たちでも納得できる話が出てきたかと思うと、例外的に心の一部は身体と共に滅びずに残る、という説を唱えていたそうで。

心の一部は不死で永遠。こういう考えが、その後のゴーストストーリーや宗教に影響し、説得性を持たせているのかななどと、この辺は私の想像。

で、いろいろ想像を膨らませながら読み進んでいくうちに、本題とズレたところでどうにも気になってしまったのが、人間以外にも心があると考えていた、というくだり。

植物にも心がある?

アリストテレスは心の諸能力には階層性があると考えていきます。

階層、すなわち、一番上が人間、その下が動物、最下層が植物。

ここでいう「心」は様々な感覚や能力のことらしく(最下層の植物が持つのは栄養摂取能力)、上の階層は下の階層の感覚も合わせ持つ…と、よくよく読むとそんなにびっくり説でもないんですが、植物にも心があるとか聞くと、いろんなSFが次々脳裏に浮かんできてしまいました。

ジョン・ウィンダム「トリフィド時代」とか、「盗まれた街」が原作の「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」とか。なんだか皆、不気味路線。

階層性というところからは、エドガー・ライス・バローズの火星シリーズに出てくる進化説や植物人間を思い出してしまいます。火星の歴史によると(火星の)最初の人間は生命の木から生まれたことになっていて、同じ木から人間の他に様々な生命体が生まれるのだけど、その中に火星の植物人間もいるという……(この同じ生命の木の仲間がちょっと階層っぽい感じになっている)。

子どもの頃から脳裏に焼き付いていた武部本一郎画伯の挿絵が、アリストテレスの階層の話にポン!と。いかんいかん。

武部本一郎画伯の挿画が素晴らしい火星シリーズ

火星シリーズには他にも、頭と体が別々の生命体なども出てくるんですが、心と身体の一体性に一石を投じる内容とも思えて、もしやバローズはアリストテレスにインスパイアされてたんじゃないか、などと。

こういう勝手な想像は実に楽しい。
(この辺、授業には関係ない話なので放大のみんなはご注意を〜)

紀元前に心を定義するという試み

最初のはてな?から、妄想が暴走してしまったアリストテレスの回。

そもそも体の器官の働きについてよくわかっていない紀元前に、「心」というものを定義し、働きを分類したと思うとやっぱりすごい。目に見えないものを分類するのって、どうやって正解(?)を導き出してたのかなあ、とあれこれ想像してみたり。

それに観察に基づいたものとは言え、状況証拠的なところからの推論でしかないような、しかもわりとびっくりするような説を展開して地位も築いていたんだから、アリストテレスという人はすごい雄弁家であったのかなあ……とも想像してしまいます。それとも、今見るとびっくり展開でも、当時は割と常識的な範囲の説だったのか……。

ちなみに心の階層性というところで出てくるんですが、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚という五感は、アリストテレスの分類によるものだそうです。

大昔の人だけど、彼の説は様々な形で今の私たちの認識や考え方に残っているんですね。


以上、例によって脱線してしまった授業の感想でした。

授業自体がアリストテレスの説を深掘りするものではなく、これはさらに私の感想なので、ちゃんと(正しく)知りたい方は放送大学に入るか(笑)アリストテレスの著作などを読んでみてください。

私もこの授業で、ちょっとチャレンジして読んでみたくなりました。その前に難解な言葉が出てくる文章にもう少し慣れないとですが!


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