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私たちは根を生やし幹を育てるために言の葉を磨く

日常的に使っている”言葉”
「言葉遣いがその人の人間性を表す」
と言われるように、どんな言葉をつかうかは私たちにとってとても大切なことだ。

言葉の語源

そもそも言葉って何なのだろう。
ふとした疑問を抱き”言葉”の語源を調べてみると
『日本国語大辞典』には以下の通りに書いてあった。

(1)コトハ(言端)の義〔名言通・大言海〕。

(2)コトノハ(言葉)の義。ハ(葉)は言詞の繁く栄えることをいう〔和訓栞〕。

(3)コト(事)から生じた語。葉は木によって特長があるように、話すことによって人が判別できるということから〔和句解〕。

(4)コトハ(心外吐)の義〔言元梯〕。

(5)コトは「語」の入声Kot で、語る意。バは「話」の別音Pa の転〔日本語原考=与謝野寛〕。

「こと”端””葉””吐””話”」と諸説あるようだ。
どれも興味深いし、”ことば”の一部分を表していると納得できる。

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言葉遣いは本当にその人の人間性を表すか

話は戻るが、「言葉遣いがその人の人間性を表す」が本当なのだろうか。
先程の語源の(3)を引用してみると

(3)コト(事)から生じた語。葉は木によって特長があるように、話すことによって人が判別できるということから〔和句解〕。

葉は木の特徴を表し、同様に話からその人が判別できる様から語が生じているとある。
詰まるところ”言葉”の語源からして、まさに言葉遣いがその人の人間性を表していると言えるだろう。

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人間性は根の深さに現れる

”懐の深い人””安定感のある人””幅の広い人”
そんな人間性の根の深さを持っている人は素晴らしい。
しかし、この根の深い人はその素晴らしさは見えにくい。

根が深く広く生やされていることは、周りからは見えることがない。
地面に浮き出た部分、または干ばつで地面が干上がったときに、ようやくこの根の深い人の良さが顕在化する。
根を深く広く生やす努力はとても重要だが、客観的に伝わりにくいことが難点だ。

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人間性は幹の太さに現れる

”堂々としている人””安心感のある人””包容力の高い人”
そんな人間性の幹の太さを持っている人は素晴らしい。
しかし、この幹の太い人の素晴らしさはわかりにくい。

幹が太く堅く育っていることは、周りからは理解してもらえない。
幹の太さの理由である年輪の物語は、木目が見えるように切断しなければわからない。
幹を太く育てる努力はとても重要だが、幹が切断された後でなければ理解されないことが難点だ。

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人間性は葉の美しさに現れる

”魅せ方が綺麗な人””表現力が豊かな人””伝え方が上手い人”
そんな人間性の葉の美しさを持っている人は素晴らしい。
それは外見の美しさを表すのではなく、どんな相手にも共通する美しさである。

葉は木の中で最も見られる部分であり、その木の特徴を表す。
四季折々に姿を変え、青葉、新緑、紅葉、落ち葉と
季語としても用いられている。

葉の美しさは美麗であることではなく、折々にそれぞれの美があることだ。

”ことば”は”葉”だからこそ伝わるものがある

もしかすると「言葉」ではなく「言幹」や「言根」の方が直接的に伝えられる人間性があるのでは、という意見もあるかもしれない。
確かにそうかもしれないが、しかし”葉”という木の特徴をダイレクト表す媒体だからこそ、その木の若々しさ、迫力、豊かさ、儚さなどの繊細な部分が別の存在に伝えることができるのだろう。

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逆に、葉の特徴は木を表すか

木の特徴を葉が表すことは今までも述べてきているが、その逆は成り立つのか。
ヒンズー教の教えに以下のような格言があると聞く。

心変われば態度が変わる。
態度が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる。
運命が変われば人生が変わる。

人生があり、それに従って心はあるかもしれない。
しかし、心の有り様で人生を変えられることも事実だ。

私たちも、”葉”を磨くことで、幹を太く育て、根を深く生やすことができる。
葉の一枚一枚を磨くことは気の遠くなることだが、私にどんな葉が育っているのか、一枚一枚を見る時間はとても重要だろう。

日常的に使っている”言葉”
「言葉遣いがその人の人間性を表す」
どんな言葉をつかうかは、私たちにとってとても大切なことだ。

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