見出し画像

100万円ショック①〜歯は伸びます〜

タイトルのポイント数(文字の大きさ)って上げられるんでしょうか?やり方が分からないんでこのまま行きますけど、心情としてはこの3倍の大きさで叫びたいところであります。

話せば長くなりますが私の歯左下、並びが悪い。虫歯になりやすいだろうな、と3ヶ月に1度歯のお掃除に歯医者さんに通う生活をしていたある日、独身だしお金も多少溜まったし、と清掃後「なにか気になるところはありますか」の先生の決まり文句の後すかさず
「矯正したい、左下をどうにかしたい」
と訴えた。

説明しよう。
私の左下歯は2本の歯に囲まれた窮屈な1本の歯が健気に頑張っている状態なのだ。

イメージ図

先生によるとこの赤い葉(歯)を抜いて、窮屈そうな真ん中の葉(歯)を引っ張り上げて形を整える作業になるらしい。
「それを、それをお願いします!」
という私に先生ははっきりと『尻込み』を体現し「うちはできるだけ歯は残す方針で…成功するかも分かりませんし…虫歯にもなってないので様子を見ましょう!」
と宣言した。
そうか、難しいのか。
と納得しているうちに仕事が忙しくなり矯正に割く時間もないな、と生活していたらある日その赤い葉(歯)が痛みだした。
痛くて磨けない。


――――――――――
良かれと思って季節を感じる落ち葉を、歯に見立ててしまったことで歯か葉かややこしくなってしまいました。
――――――――――


歯医者に駆け込むと「神経を抜きましょう」となり、魂(神経)を抜かれた歯を前に先生が「これで痛みなく磨きやすくなりましたねニッコリ」とするのでまぁいいか、と歯医者を後にした。
それが多分8年とか10年くらい前のこと。


時は過ぎ2023年10月。
この魂を抜かれた歯が遂に虫歯になった。
魂がないので痛みはないが目視で分かる。
引っ越しで時間がないから〜、と9ヶ月程歯のお掃除に行っていなかったのが敗因かもしれない。
急いで歯医者に行きたいところだが、2歳の我が子を預ける先がないので夫が在宅勤務の日を狙い駅前の新しそうな歯医者へ飛び込んだ。

とりあえず歯のお掃除をしてもらった後、例の件を

例の件

先生が判断素早く
「矯正しましょう、赤い葉を抜いて真ん中の葉を引き上げます、うちでは出来ないので別のところを紹介しますね」
と梅田(私の住む大阪にある大きな町)にあるという姉妹店のパンフレットを取りに行ってしまった。
パンフレットを貰いながら
「来週くらいに予約取って行ってみて下さい」
という言葉からを完全に忘れてしまった。
なぜならその案内の金額が
100万円から
だったから。

ひゃ百万円

から

あの頃貯めたお金も固めた決意もすでに解散させてますけど。

パンフレットを受け取り、来週行かねばならぬという梅田の歯医者さんを虚ろに調べる。
梅田はうちからそう遠くない、だけど梅田へ向かう電車は結構混むので2歳児を連れていくのは面倒だ。
あとこの歯医者さんは子連れでも行けるんだろうか?すごくスタイリッシュなんだけど。

とやはり夫の在宅勤務の日を狙うも、その週は在宅の予定はなし。
そうこうしている間に予約もしないまま一週間は過ぎた。
私は小心者なので「行けと言われた週に行っていない」となるともう行きづらくて足が重くなる。おまけに通うとなれば毎回、子どもと夫の都合をつけなければならない。
「もう別のとこにしよ」
と今度はうちから一番近い、という理由で新しい歯医者に乗り込んだ。

最初の歯医者さんとはうって変わって、今度はレンガ(風)造りの古い建物。
待合室にも歴史を感じる。
会計を担当しているマダムが医院長だろうか。

全然待たずに診察室に案内され、例の件を。

例の件

神経は抜いてる、赤い葉を治療したいが元の形に戻してもいつか真ん中の黄色の葉が虫歯になる気がする。矯正か?と説明を終えると
男性の担当医が
「そうですねぇ、そんな感じがしますね。どうしましょう。どうしたいですか?」と丁寧に赤い葉と真ん中の黄色の葉の現状を説明して、更に尋ねてくれた。
そこに、話し込む私達に気がついたのか会計にいたマダムも歯のレントゲンを覗きにきてくれ、赤い葉はここまでとりあえず削って〜などアドバイスをする。
話振りからして二人は親子かもしれない。

そしていよいよ、これは矯正ですね、となろうとき受付を担当していた女性が
「待って、もしかして転勤とか多いんじゃないんですか」
と加わってきた。
話振りからして担当医の嫁かもしれない。
どうやら住所訂正の多い私の保険証を見てピンときたらしい。
その通り、うちは転勤族。最短で3年で次の地へ旅立ちます。
「それは…」
考え込む3人。
そう、大人の矯正には時間がかかるのだ。
漠然としかイメージしていなかったが、どうやら私の場合時間が足りなくなるかもしれないらしい。

次々に現れ話に加わるメンバーが心強い。
アベンジャーズって感じがする。
観たことないからわからないけど。

「あとは、インプラントかなぁ」
先生が遂に決定的な言葉を発した。

イ・ン・プ・ラ・ン・ト
インプラント🙏

多くの国民が咀嚼し、すでに心のタンスに仕舞い込んだと思われるクリステル氏のオ・モ・テ・ナ・シのリズムが私を襲う。
印象的だったもんなぁ、などと思っている場合ではない。
字余り?そんなことを思っている場合でもない。
インプラント。
あの埋め込むとかいう?

じっと固まっていると
「みついさんのライフスタイルに合わせると矯正よりインプラントの方がいいかもしれませんね」

ラ・イ・フ・ス・タ・イ・ル
ライフスタイル🙏

動揺する私を気遣うように先生が言う
「大丈夫ですよ、費用は最低でも50万ですし」

大丈夫の使い方がおかしい気がする。

それからインプラントとは、という説明を簡単にしてくれた。あんまり覚えていない。
「先生、最低でも50万て、最高ではいくら位に?」
と聞くとあれ?幾らかなぁ、と奥さんと思われる受付アベンジャーズに首を傾げながら聞いている。
「多分、100万くらいです」

また100万。
千はどうした、歯科界には万単位しかないのか。

テレビなんかで歯がないままの人を見るたびに
「これは一体どういうことなのか」
と思っていたけれど、こういうことだったんですよ、皆さん。
歯は高い。

「絶対にそんなことはしないんですけど」
「例えばなんですけど」
と厳重に確認したあと
「歯を削ったり、抜いたりしたままにしていたらどうなるんですか?」
と先生に聞いてみた。

「そうですね、まず下の歯が横にズレてきますね」なるほど、何かわかる。
「それから、上の歯が伸びます」
伸びます!?
驚いていると先生が嬉しそうに両の手で拳を作りこすり合わせながら
「こう、歯と歯が当っていると止まるんですけどね。なくなると伸びてきちゃうんですよ」と嬉しそうに説明してくれる。
歯が好きなんだなぁ
「…へぇ、人体の不思議ですね」
弱々しく答えて診療がおわった。

よく考えてくださいね、と最終的な返事は次の週にすることになった。
帰り際、受付アベンジャーズが
「急に色んなことになって…頑張りましょうね!」と応援してくれた。
ありがとうございます。
続きます。

この記事が参加している募集

お金について考える

気に掛けてもらって、ありがとうございます。 たぶん、面白そうな本か美味しいお酒になります。