見出し画像

蜜月の章(12〜23話)振り返り【葬舞師と星の声を聴く楽師】

連載小説『葬舞師と星の声を聴く楽師』の第2章〈蜜月〉の振り返り記事です。作品自体は長くてなかなか読めないという方に向けて書いています。サラッと見て頂けるだけでも嬉しいです!

本作には、同性愛の内容、過度ではないにせよ性的表現・暴力表現が含まれております。これらには差別・暴力を肯定し助長する意図は一切ございません。該当話ごとにネット小説レーティング同盟の定義に対照させたR指定をつけております。ご参照の上、苦手な方は鑑賞をお控え頂くようお願いいたします。
(本章では13,14,17,18,19話が該当します)


【登場人物】

アシュディン
宗教舞踊ダアルを生業とする帝国伝統舞踏団ダアル・ファーマールの正統継承者の青年。不当に団を追放されて旅をしている。痩身の美形は「伝説の踊り手の血統を証明するもの」と噂されるほど。心根は真っ直ぐだが、向こう見ずで喧嘩っ早い一面もあり。

ハーヴィド
移動民族ロマ出身の流浪の楽師。11本の弦を指で掻き鳴らす木製撥弦楽器ヴィシラの弾き手。芸道にストイックで、長旅のため頑強な体つきをしている。樹をはじめとして自然をこよなく愛する男。
帝国伝統舞踏団ダアル・ファーマールとも何か関係が?

ダルワナール・エルジヤド
エルジヤド家の長女(第2子)ラウダナ国市民街北東の酒場〈魅惑を放つケレシュメ〉のオーナーにして人気No.1の踊り娘。強気な性格と抜群のスタイルを武器にして奔放に生きている。ハーヴィドに惚れ込み、アシュディンを目の敵にしている。

カースィム・エルジヤド
エルジヤド家の次男(第3子)。ラウダナ国市民街西の酒場〈葡萄の冠グレイプ・クラウン〉に入り浸る厭世家で極度のアルコール中毒。マホガニー材木の卸商社の社長だが、知らないうちに材質詐欺に加担させられていた。アシュディンに様々な誘惑を仕掛けてくる。

ユスリー・エルジヤド
エルジヤド家の長男(第1子)にして当主。ラウダナ国都の都議で複数の会社経営を兼ねている。金と品格に厳しく、妹と弟に対してゾンビを見るような目を向ける。理知的で頼もしい男だが裏社会組織との繋がりもあり……

葡萄の冠グレイプ・クラウン〉のマスター
寂しい人を放っておけない性格でカースィムの面倒をよく見ている。実は彼が度々起こす問題を面白がっており、よく見て見ぬフリをする。

魅惑を放つケレシュメ〉の客夫婦
酒場でアシュディンたちと相席になった夫婦。ふたりして踊り娘ダルワナールの大ファン。妻の特技は〈ダルワナール個人うちわ〉の制作。

ジャイル
警吏官。肩書きは貴族街南区域巡査とペーペーだが、貴族におもねる自分をカッコいいと勘違いしている。

詐欺師集団のリーダー
木材の材質偽装・産地偽装で儲けていた。

マホガニー卸商社の木材検査診断士
詐欺集団と手を組んでカースィムを騙していた。

ザイン
母を亡くしたことで、ラウダナ国に住む叔父の家に預けられた少年。アシュディン、ハーヴィドを兄のように慕っている。

ザインの叔父
ザインを送り届けてくれたお礼に、アシュディンたちに格安で宿を取ってくれた。


【各話の振り返りとリンク】

第1章 越境 振り返り

第2章 蜜月

12話「ヒエラルキーを足蹴に」
新章突入! ラウダナ国都に到着した一行はハーヴィドの怪我を診てもらうためにまず医院へと向かう。しかし彼らを待ち受けていたのは圧倒的な階級社会で、貴族でない限りまともな診療を受けられない実情を知る。そこに突如、貴族の娘ダルワナールが現れる。彼女は特にハーヴィドを気に入った様子で、貴族街に立ち入るための〈特別手形〉を発行してくれる。

13話「自虐と自堕落」
ザインを叔父の元に送り届けたアシュディンとハーヴィドは、市民街の宿に滞在することになった。アシュディンは、ダルワナールに挑発されたハーヴィドを思い返して、ふと情欲に駆られた。そしてダンサーの仕事を見つけるために西の歓楽街へと足を運ぶ。必死に自身を売り込むも全て門前払い。帝国伝統舞踏団ダアル・ファーマールにいた時との扱いの差に、ひとり煩悶するのだった。

14話「隣には快楽主義者」
アシュディンはダンスの職を探して「葡萄の冠」という酒場を訪れ、そこで酔っ払った快楽主義者に絡まれる。男は仕事を紹介してくれると言うが、それ相応の代償が必要と。そんな中、満月の日の夕方となって、ハーヴィドが北東の酒場へ行こうと誘ってくる。道で助けてくれた貴族の娘に礼をしたいとのことだったが、それをきっかけにアシュディンとハーヴィドは喧嘩をしてしまう。

15話「玩具への果たし状」
ラウダナ国市民街北東の酒場〈魅惑を放つケレシュメ〉は熱狂の渦に包まれていた。その中心には人気No.1の踊り娘、なんとアシュディンたちを助けてくれた貴族の娘ダルワナールだった。彼女はハーヴィドのことを気に入り、専属楽師にならないかと勧誘してくる。それを阻止しようと慌てるアシュディンに、女は舞踊対決を仕掛けてきた。

16話「シュールかマニアか」
舞踊対決が始まった。先攻のアシュディンはあくまで伝統舞踊ダアルで勝負。驚異のバランス感覚と音に反応する奇妙な動きで観客を沈黙させる〈凪に木立〉という難しい演目を成功させた。しかし後攻のダルワナールが王道の官能的なダンスを披露して勝利を収める。ハーヴィドは彼女の専属楽師になることが決まり、酒場のオーナーに挨拶をしに向かわされた。

17話「真紅と珊瑚赤」
ダルワナールがハーヴィドを誘惑する現場を目撃してしまったアシュディンは、仕事と居場所を求めて市街を駆け抜ける。〈葡萄の冠グレイプクラウン〉に行き着くと、快楽主義者の男に舞台をもらえないかと頼み込んだ。男はアシュディンを控え室へ連れて行き、珊瑚赤のドレス、アイシャドウ、そして怪しい口紅で彼を女装をさせた。アシュディンはその格好で店の舞台へと向かった。

18話「乱痴気の火付け役」
西の酒場〈葡萄の冠グレイプクラウン〉で女装させられたアシュディンは、これまでにない衝動で野生的なダンスを披露し観客の乱痴気騒ぎを先導した。しかし控え室に戻ると快楽主義者の男が待ち受けており、裸にされ拘束されてしまう。辱めを受けるすんでのところでハーヴィドが駆けつけて事なきを得た。媚薬を盛られたアシュディンは意識朦朧状態で宿の部屋に帰還した。

19話「ふたりだけの部屋」
媚薬を盛られたアシュディンと介抱するハーヴィド。ふたりは惹かれ合って唇を重ね、そのまま体の交わりを持った。アシュディンが薬のせいではなく自分の意思でそうしたことを告げると、ハーヴィドはそれに応えて互いの気持ちが通い合った。しかし深夜になるとハーヴィドはいつも通り外へ出て行った。部屋に取り残されたアシュディンは彼が隠し持っている木箱の存在に気付いた。

20話「恋敵! 野蛮人!」
アシュディンは〈葡萄の冠グレイプクラウン〉に置き忘れた舞踏衣を取りに向かった。そこで快楽主義者の謝罪を受け、再度踊りの仕事を紹介してもらう流れに。連れられて行った場所は貴族街の大豪邸。なんと彼は踊り娘ダルワナールの弟で、マホガニー卸商社の社長カースィム・エルジヤドだった。長兄のユスリーがアシュディンたちに謝罪し、アシュディンはようやく職を得ることになる。

21話「片棒を担ぐくらいなら」
カースィムの会社の倉庫で、ハーヴィドは楽器の修繕に必要なマホガニー材を得た。しかし彼の目に依れば、倉庫にある木材の大半が偽装品とのこと。詐欺を否定するカースィム。しかし材木のチェックを担う検査診断士の男が金を持って逃げていた。再び酒場で酒に溺れるカースィムは、店を出た瞬間に凶賊に誘拐されてしまう。現場を目撃したアシュディンにも刃物が突きつけられた。

22話「笑いながら助けてと」
カースィムを誘拐したのは、マホガニー材の偽装詐欺の首謀者と、社の材木検査診断士の男を含むグループだった。連中はカースィムの身代金として3億yanを要求した。アシュディンが伝令役にされエルジヤド家で作戦会議が行われる。しかし長兄のユスリーは金を払う気も交渉する気もないと突っぱねた。ダルワナールは歪んでしまった一家を憂い、再び兄に助けを求めに部屋へと向かった。

23話「エルジヤド家の家訓」
ユスリーは既にカースィムの救出を裏社会組織マフィアに依頼していた。その上で、妹弟を奮い立たせ、詐欺集団への復讐を誓った。
ハーヴィドの楽器ヴィシラの修繕がついに完了。アシュディンと彼は恋仲のような関係に落ち着いた。しかしヴィシラの音を聞いたアシュディンの体に異変の兆候が現れる。帝国伝統舞踏団ダアル・ファーマールにはもう帰らないと言うアシュディンだったが……

〈次章・予告〉

アシュディンの体の異変が?
ハーヴィドが隠し持つ木箱の中身は?
謎と運命の絡み合う新章、明日突入!


【読書ガイド】

前話までの振り返り・あらすじ・登場人物紹介・用語解説など、作品をより楽しむための情報を載せています。物語の進行に伴って加筆する形で記事を更新しており、毎話リンクを貼っています。

【マガジン】

#小説  #連載小説 #告知 #BL #ファンタジー

ご支援頂いたお気持ちの分、作品に昇華したいと思います!