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ひねもす

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つれづれなるままに。日々の思うこと。
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#小説

読書日記:Kindle Unlimitedへの課金を動力に(1)

読書日記:Kindle Unlimitedへの課金を動力に(1)

『シャンデリア』 川上未映子 (Kindle Unlimited) 舞台のデパートのモデルは新宿伊勢丹だろうか。結婚指輪を選んでいたときに、作中の人がさまよったフロアを私もさまよったような気がする。
 アラフォーの子供時代、デパートは遊園地のようなものでした。父の世代の子供の頃は「日曜日に家族でデパートに行く」はリッチなお出かけだったそうだ。そしてデパートのレストランで食べるカレーライスは贅沢のシ

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2019年に読んだ小説・戯曲

 Twitterで2010年代のベスト映画を挙げるのが流行しているらしく、もうそんな時期か、と、自分が今年読んだ小説を振り返る事にした。というのも、私は本来読書=小説でありたい立場であり、しかしあまりにも自分が小説を読めないので、小説を読むために勉強したいと思ったのだった。その結果、今年もろくろく小説を読めなかった。ちょっと記憶を辿ったら10冊読んだかどうかも危うい。震えながら今年読んだ小説を挙げ

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初バタイユ

初バタイユ

なんとなくフランス祭りに。まあフランス文学の古典を読むのが元々の目標だったのだけど。というわけで、昨夜は初バタイユ。あまり時間がなかったので、掌編の『マダム・エドワルダ』を。
昨日のゾラにはやや親しみ切れなさを感じたが、バタイユ先生は、まあそうじゃないかと思ったけど好きな作家という第一印象。例によってセクシャル大好きな人達の話なのだが、私は作中人物が自分のろくでもなさやダメさの極みを晒け出した話に

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親密圏のない地縁社会━━『飢餓同盟』安部公房 新潮社(1954)

親密圏のない地縁社会━━『飢餓同盟』安部公房 新潮社(1954)

余所者を「ひもじい」と呼び、仲間とは認めないある集団━━M県花園。では集団の中にいれば仲間と共に幸福に暮らせるのかといえば、決してそうではない。政治力によって得た利権を独占するほんの一人二人の資本家以外は、いつ消え去ってもおかしくないはかない存在だ。しかし外部からやって来た人間にとっては、そんなはかない彼らでも、「町の住人」であり、「ひもじい」とは身分が異なる。この「身分」を分けるのは、「地縁」だ

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