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silent 5話 感想 考察

戸川湊斗(鈴鹿央士)と青羽紬(川口春奈)の
3年の恋人関係に終止符が打たれた時が、
切なさをともなって丁寧に描かれた。

それは湊斗の決めたことだった。

これ以上は自分が無理であり、ひかれあって行く紬と佐倉想(目黒蓮)に嫌われる行動をしたくないから。

という理由を紬に告げている。

紬にしてみれば嫌われたわけでもないのに振られるという状態にされ、
荷物を取りに行く口実で湊斗の部屋に行った時、
気持ちを変えさせようと揺さぶってみたりしたけど、湊斗は頑なだった。




その後、湊斗から忘れ物のヘアピンを口実に、
紬に電話がきた。


本当は届けようか迷ったと言う。

これは完全に湊斗の未練だ。

別れることを自分が決めて、せっかくその通りになっているのに、ヘアピンが100均の物だと知りながら電話をしたのだ。

紬の親友の夏子(藤間爽子)が湊斗にしたプレゼンは(紬がどんなに湊斗が好きだったか。ぽわぽわした紬と表現されていた。)
湊斗に自信を取り戻させるものだったと思う。


夏子が言った「無意識に名前出ちゃうくらいほんとに好き」は今回の5話のタイトルにもなっている。
紬は夏子の前で無意識に湊斗のことを呟いていたそうだ。

もし、ヘアピンを紬が取りに行くか、届けてほしいと言ったら?

紬にも未練があることになり、湊斗は別離の計画書を破り捨てたと思う。

決めた通りにいかないのが人間の感情だからだ。

でも紬はそうは言わなかった。

ヘアピンを捨ててほしいと言った。

もう片思いでも両思いでも無いと。

紬は荷物を取りに行った時、湊斗の別れる決意が頑なだったことを受けて、もう無理なのだと思い知り、自分たちの関係性について振り返りながら区切りをつけていた。

それがハンバーグを焼くことだったと思う。

ハンバーグは紬にとって2つの意味があった。

家族との思い出。

そして湊斗との初デート?で食べたのがハンバーグで、以来二人のデートではしょっちゅう食べている。

美味しそうにハンバーグを食べる紬を見るのが、湊斗には幸せだから、自然とハンバーグが定番になっていたと思う。

紬は自分の気持ちを整理して悟ったことを、
正直すぎて残酷とも言えるほどの心のど真ん中を、電話の向こう側の湊斗に伝えた。

✨♥️💙

紬「湊斗さあ、自分のことつまんない奴って思ってるじゃん。確かに面白くはなくてね。私の好きな音楽とか映画とか全部いいねとしか言ってくれなくて。何か教えがいないし。
湊斗の好きなもの、ぱっとしなくてよくわかんないし。
どこ行く? なに食べる?って聞いても全部何でもいい。紬の好きでいいよーだし。サプライズとかしてくれたことないし。この人といるの面白い、刺激的で楽しいみたいなの全然無かった。
彼氏っていうか弟みたいな。
湊斗といるとさ、弟っていうか、弟じゃなくてそうじゃなくて家族みたいな。
家族みたいで一緒にいて緊張感無いっていうか安心しきっちゃって。
一生懸命女の子っぽくしようとか、釣り合うように頑張ろうとか、そういうのなくて、それがね居心地良かった。
ぼけーっとしてたもん。湊斗の横にいる時ずっと。私、何かぽわぽわしてたと思う。
好きだったよ。戸川くんのこと好きだったよ。
この3年間ずっと一番好きだった人だよ。
知らなかったでしょ?
まあ過去形だけどね。もう片思いでも両思いでもないけどね。」


湊斗「ほんとはこのふわふわ、100均のって知ってて。どうせ捨てていいよって言うのわかってて。」

紬「うん。わかってんだろうなってわかってたよ」

紬は湊斗のことが大好きだったけど、どこか家族みたいだった。

湊斗は紬に合わせていた。

紬の好きなものに囲まれて二人は過ごした。
(ペットは飼わないって、湊斗は主張すべきことは主張したけど。)

紬は「湊斗の好きなもの、ぱっとしなくてよくわかんないし」と言ったが、
それは紬の趣味に合わなかっただけで、
湊斗にとっては「ぱっとしないもの」なんかじゃなかったはずだ。

紬がぱっとしないものだと思ってんだろうなって思った湊斗が、二人の関係の輪の中から引っ込めたんだと思う。

別れる時にもそこは紬は気づかないんだなと思った。
自分を主軸にぱっとするか、ぱっとしないか決めるのが紬だ。

想とは音楽の趣味も合っていた。

紬が想の好きなものを追いかけて、それから紬も好きになった。

今は想と趣味が合っているかはわからない。

想の耳が聞こえなくなったからだ。(音楽の趣味は無理だろう。)

その代わり、紬は想の世界を追いかけて手話がどんどん上達している。

湊斗を大好きだったけど家族みたいだった。

湊斗の言う通り恋を終わらせようと、紬は気持ちを整理し、家族の象徴とも言えるハンバーグを決別の儀式みたいにつくっていた。

その時、湊斗から電話がきたのだった。

湊斗には紬の気持ちがくっきりと伝わった。

湊斗もこれでさっぱりしたと思う。

二人が名前で呼び合うことになった思い出のヘアピンを、湊斗は捨てることができた。

もしかしたら、ふわふわのヘアピンは湊斗が思い出としてそっと見つからない場所に隠したのかもしれない。
紬から荷物を取りに行くと言われた時に。




湊斗は電話して良かったと思う。

お腹減った。
湊斗は電話の翌朝、起きてさっぱりした顔をしていた。

♥️✨♥️✨♥️✨♥️

佐倉想(目黒蓮)は古賀セン(山崎樹範)に相談した。

湊斗が紬に別れを伝えたからだ。


自分のせいだと悩む想に古賀は

「自分だって同じ女の子ふってんじゃん。もっと残酷な感じで。それなのに納得いかないってのは何かちょっとダサいわ」

佐倉ダサいわ。(アプリに強調。)

古賀「戸川と青羽にも二人なりの考えや関係性があって、まったく二人を見てなかった佐倉にわかるわけないと思うよ」


佐倉想のせいだとして佐倉想の出る幕ではないと言っているのだ。
二人の恋がどうなるかは二人の問題だから。

恩師の古賀センの言葉で想は悩みを吹っ切っることができたと思う。

♥️✨✨✨✨

紬を呼び出し、顔を見ながら自分の気持ちをノートに記したものを一枚ずつめくりながら伝えた。



「青羽が俺のこと見てくれるなら、ちゃんと言葉にしたい。」

想の恋の告白だと感じた。

紬も感じていたと思う。

ここで紬が真剣な感じで受けたら、
即、恋人関係が始まる。


紬は「すっごいお腹へってる」と返した。

想は笑った。

片思いは楽しいと湊斗は言った。

終わっていく時の片思いは絶望だけど、始まるかもしれない時の片思いは楽しい。

紬はまずは腹ごしらえして、ゆっくり一歩ずつ
踏み出したいのだと思う。

何が食べたいか聞かれ、何でもいいと答える紬。

店を探す想に「やっぱり何でもよくない。ハンバーグ以外にして。」

ハンバーグは家族の象徴で、紬にとって想は恋のときめきの相手だから。

「何でもいい」と言ったのは自分がこれがいいと言って、始まりに色をつけたくないのだと思う。
想の言う通りにします、という意味ではない。

これから始まるという緊張感と開放感が、紬の表情に表れていた。

♥️✨♥️✨♥️✨♥️

さて、少しだけ意地悪な見方をしてみる。

3人共とてもスッキリしたところであるが、そんなにうまくいくかな?と思ってみたりする。

湊斗は紬と想が結ばれるために、自分から恋人関係に終止符を打った。

「想はポニーテールが好きです」と紬にエールまで送って。

ポニーテールが好きだったのって、いつの情報?
8年前だよね?


女子高生の紬がポニーテールだったから想はポニーテールが好きになったんだと思う。

アプリで会話した時、変わらないねって想に対して湊斗は何度も言ったけど、
8年前とは違うと思う。

もしも想とうまくいかなくない紬が、別の男性と近づいていったら?

想が相手だから身を引いたのに、別の男性だったら湊斗は納得できないし、やりきれない気持ちになるのでは?

このドラマで唯一、闇を見てきたような異質の人物がいる。

手話教室の教師、春尾(風間俊介)だ。


春尾は過去にろう者とうまくいかなかったようなことを言っている。

その相手は想の女友達の桃野奈々(夏帆)では?という考察が多い。

確かにその可能性はある。
そうじゃない可能性も。


春尾は奈々の相手として存在しているのではなく、紬と親しくなる人物として存在しているとしたら?

紬はブラックな会社にいて食事がまともに食べられなくなるほど、悩むと脆いところもある。

想との関係性に悩む時、別の男性(例えば春尾)と近づいてしまう危うさも、人って弱いからあると思う。

想だから身を引いたのに想じゃなかったら、湊斗は心が乱れて壊れてしまうかもしれない。


でも湊斗にそれをとがめる権利はない。

湊斗が別れを決めたから。

✨♥️✨✨♥️

平成生まれの二十代の若者の特徴を、湊斗の行動は表しているなと思う。

嫌われたくない。

空気を読む。

先回りして、自分が傷つかないようにする。

本当にそれが良いことなんだろうか?

もしも思わぬ方向にいった時、
やるだけやってとことん傷ついたんなら納得できても、
傷つく前に空気を読んで撤退したら後悔するのでは?

誰かのために退くと言うなら、その誰かには別の誰かがいて、きりがない。
(想には傷つけたくない女友達の奈々がいる。)

誰かを傷つけたくない。
自分が傷つきたくない。

最悪を想定して先回りして準備すると、

自分が思うような未来になってしまう(返って最悪が近づく)ということもある。

自分がどうしたいのか?

それを考えてあげられるのは自分だけだと思う。


✨♥️✨

湊斗と春尾が特別な感じで描かれているのが、
意味深なようにも感じられる。

春尾に「青羽さんの弟」と間違われた湊斗。
紬の元彼の話にもなり、気まずくて逃げようとした春尾の手をつかむ湊斗。

どこか因縁がありそうな予感がする。

春尾はろう者との合コンに誘われたことで独身という情報や、ろう者と聴者の恋の難しさを感じている人物であることを、さり気なく描かれている。

春尾はかきまわす役目でキーマンのような気がする。

紬の相談に乗っていく立場となるだろう。
距離は近い。

湊斗の葛藤が思わぬ形で描かれていくかもしれない。





♥️✨♥️✨♥️✨♥️




読んでくださり、ありがとうございます。

次回もまた楽しみに見て感想を書きたいと思います。🙂

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