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シャボン玉

「シャボン玉って綺麗だよね。」

あたりにはシャボン玉が虹色の膜を帯びて、プカプカと浮かんでいる。

急に沙耶香がシャボン玉をやりたいと言い出し、私たちは近くの公園まで来ていた。

高校生になってまで、シャボン玉やるの?と思ったが意外と楽しい。

向こうの方では小学生の子たちがフリスビーを投げて遊んでいる。

私もコンビニで買ってきたシャボン液にストローをつけ、ふーっとシャボン玉を飛ばした。

「シャボン玉って割れるからこそ、より美しさを増すと思うの。桜が散ってしまうからこそ美しいようにね」

そう言う沙耶香はどこか壊れてしまいそうな儚さを持っていた。


一目惚れだった。

沙耶香とは一年生の時からクラスが一緒で、人目見た時から、こんな美しい子がいるんだと、衝撃を受けた。

胸までかかる長いサラサラとした黒髪、綺麗に二重の線が入っている切れ長の瞳、すーっと筋の通った鼻。

沙耶香は周りの子たちと違い少し大人びていて、そして世界を諦めた目で見ているような、そんな感じがした。

仲良くなりたい。

そう思った私は気づいたら、声をかけていて、それから私たちは友達になった。

沙耶香とはいろんなことをした。

一緒に勉強をしたり、学校帰りにタピオカを飲んだり、お買い物をしたり。

楽しかった。

この恋が叶わなくても、沙耶香のそばにいれるだけで、私は十分幸せだった。

だが、ある時から沙耶香は変わってしまった。

好きな人ができたらしい。

そして、今その人と付き合ってると。

私が好きだった、今にも儚く散ってしまいそうな表情をする沙耶香は何処かに消えてしまった。

彼氏のことを話す沙耶香は未来に希望を持っていて、今が幸せでしょうがないそんな顔をしていた。

違う、こんなの沙耶香じゃない

「だから沙耶香の美しさを完璧にするために、私は沙耶香を殺したんです」

そう淡々と被告人の女は殺害した理由を語っていた。

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