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雨に濡れて歩きたいと思う?

◆夏の午後、雨に降られて喜んでいるおばさんがいました。


わたしのことです。

7月の土曜の午後
急に雨がパラパラ降り出しました。
少し前まで太陽が照っていたのに
街は暗がりに入ってしまったみたい。

わたしは買い物帰りで
あと5分も歩けば家につきます
手荷物はそれほど多くなくて
濡れて困るものもない

その上、傘を持っていない

「やったラッキー!」
心が踊る
条件は整ってるじゃないか
ゆっくり歩いて雨に降られよう!

控えめな小粒の雨が
ぽつぽつぽつぽつ降りつづき
道行く人たちは傘を広げている

「わーーい雨だ雨だ」って
喜んでいるのはわたしだけかなぁ
本心を言えば
わたしはいつも雨に降られたかった
どしゃぶりでも傘なしで歩きたかった
ほんの少し願いがかなった今
うれしさに吠えたい気分

そういえば
いつかサファリパークで見たシマウマたちは
雨がざーざー降りだしても
まったく動じずそのままだったっけ
同じ動物なんだな

それから昔
公園でにわか雨に降られてしまった息子が
「ただいま!」と帰ってきたとき
髪からぽたぽたしずくを垂らしながら
へらへら楽しそうな笑顔を見せてたっけ

彼が言うには
雨がザーッと降り出して
気づいたら公園は貸切になってたから
友だちと二人でブランコ漕いで
ずっと「靴飛ばし」をやってたんだと

そういうことにわたしは心の深いところで共感し
うらやましくてたまらなかったのだ

ふと、雨雲の広がる白い天空を見ると
そこに現われたのは鈍色のジュゴン
のような飛行機
その色のグラデーションは
なんか奇跡的なうつくしさ

そして後方には
まぶしい青空が出番を待つように小さく控えていた
「自由だな~」
わたしは少しでも長く
五感を研ぎ澄ませて雨を受け止めていたいと
空き地のすみで立ち止まっていました

真夏が来たら
また突然の雨に降られよう
貸切の公園で虹を探そう

条件が整う超ラッキーなときに
(そこは大人だから)

(-_-;)





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