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ちょっとマニアックな食材が揃う、隠れた名店。 ニューヨークでお気に入りのイタリア食材店。

ニューヨークにイタリア移民が多くやって来たのは、19世紀後半。
特にシチリア島などイタリア南部からの移民が多く、マンハッタンの「リトルイタリー」に筆頭するようなコミュニティを築いてきました。ニューヨークにおけるイタリア人移民の描写は「ゴッドファーザー」や「レオン」などの映画でもお馴染みで、彼らの存在はニューヨークの歴史を知る上では欠かせません。


私の住んでいるブルックリンのウィリアムズバーグという地域にも小規模ながらイタリア人コミュニティがあり、一部の道路標識も「Via Vespucci」とイタリア語になっています。老舗のイタリア菓子店「Fortunato Brothers」や、イタリア人のお兄ちゃんたちがいつも元気に迎えてくれるカフェ「Lella Alimentari 」もあり、散歩をすればちょっとしたイタリア旅行気分。


さて、ニューヨークで有名なイタリア食材店といえばあの世界的チェーン「Eataly(イータリー)」ですが、食材店の域を超えたレストランやバー、料理器具や生活用品コーナーも揃うので、もはやイタリア文化のエンターテインメント施設のような存在。食材店としても素晴らしいイータリーですが、もう少しマニアックな食材を手に入れるなら、これから紹介するお店もぜひ覗いてみてください。

チェルシーマーケット、お向かいはGoogle本社

ニューヨークを代表する観光地のチェルシーマーケットの奥にひっそりと店を構える「Buon’Italia(ブォニタリア)」では、ちょっと珍しい食材が揃います。

私がここで買い物するようになったのは、ニューヨークに越して来て割とすぐのこと。当時、あるメーカーのパスタを血眼で探しており、イータリーでは見つからず、ネットで検索をかけてみたらチェルシーマーケットのお店にあるという情報を発見しました。あんな激混みの観光地にそんなお店があったかな・・・と行ってみると、あぁ、ここか!当時は通路から少し目線の下がった場所にあったので見過ごしていました。お目当てのパスタもゲットできて、それ以来このお店のファンになりました。

正面入り口から奥に歩き続けて・・・
階段が見えたところで下に降ると・・・
配管までイタリアンカラー!さすがイタリア、粋ですねぇ!

その後改装されて移転したブォニタリアは、現在はチェルシーマーケットの地下スペースでますますひっそりと営業しています。ガラス張りの店内に一歩入れば、まず目に入るのが壁一面のパスタ!

どんっ!

この「Setaro(セタロ)」社のパスタは食通の人なら既にご存知かもしれませんが、昔私が探していたパスタとはこれのこと。イタリア南部ナポリ近郊の街、トッレ・アヌンツィアータに工場を構えるSetaroは伝統的なパスタの製法を守り、製造から袋詰めまでを全て手作業で行う職人気質の会社。

銅製の型を使って手作業で作られるパスタはざらざらとした手触りの表面が特徴で、ソースがよく絡みます。茹で上がりのコシの強さは乾麺とは思えないほどモッチモチで、生麺とも異なる独特の食感。麺の個性が強い故、パスタを主役でどっしり食べたい日にはもってこいです。

パスタは一袋500gから1kgほどの量で、2022年現在は一袋あたり1,200円ほどとお値段は張りますが、その価値は大いにあり。一度食べると普通の乾麺には戻れなくなるので注意が必要ですが・・・

パスタの展示会?!

そしてご覧ください、この圧倒的な種類の豊富さ!もはや見本市レベルでテンションが上がります。基本の長細い麺だけでカッペリーニ、スパゲッティーニ、スパゲッティ、キッターラ、ブカティーニ、ヴェルミチェッリ、リングイネ、リングイネッテ、パッパルデッレとなんと9種類も!

他には数え切れないほどのマカロニ、シェル、ペンネの類、ポルチーニやイカ墨を練り込んだもの、そして長さが60cmはあるカンデーレのような変わり種も。

巨大なシェル。茹でた後、詰め物をして食べると美味しい
南イタリア特産のシャラティエッリ
レトロなパッケージにほっこり
きのこをかたどった、ポルチーニ入りのパスタ
我が家の定番、キッターラ

私がいつも買うのはキッターラ(角が四角い麺)やパッパルデッレ、メッツェ・ミッレリーゲなどのショートパスタです。お店では他にもセタロ社以外のグルテンフリーパスタや卵入り麺なども扱っています。

北イタリアで食べられる蕎麦粉のパスタはグルテンフリー


パスタをはじめ、乾物の品揃えが素晴らしいブォニタリア。豆類や粉類も珍しいものが多いです。例えばまるっこい形のココ豆、ヒヨコ豆の粉(ヒヨコ豆のお焼き、ファリナータ・ディ・チェーチ作りには欠かせない)、栗の粉(栗の粉で作るケーキ、カスタナッチョに使う)など、普通のスーパーでは見ることのないレア食材に出会うことができます。リゾット米やポレンタにも色々な種類があり、イタリア食材の奥深さを思い知らされます。

パッケージがかわいいポレンタ
栗の粉は、自然な甘味が特徴
写真上の栗の粉で作ったカスタナッチョ
シンプルな素材で簡単、自然な甘さともっちり食感が美味しい
ヒヨコ豆粉で作ったファリナータ・ディ・チェーチ
粉は調理前にしっかり吸水させて使用するのがポイント


他にもパネットーネや焼き菓子、チョコレート、オリーブオイルやビネガーなどの調味料、フレッシュ&熟成チーズ、生肉コーナー、惣菜コーナーがコンパクトな空間にギュッと詰まっています。

チーズの種類も豊富。お店手作りのモッツァレラもあります
ビネガーやオイル類も揃います
お昼頃には品薄になるお惣菜、お値段は良心的
その場で温めてくれるので、ランチにしてもGood
サラダや前菜も充実


ここからは、この日の戦利品をご紹介!

パスタ:セタロのパッパルデッレとゴミティ

マカロニに似たゴミティ(下)、幅広で食べ応え抜群のパッパルデッレ(中)、
我が家でストックしているパスタのキッターラ(上)は四角いエッジが特徴


豆類:ボルロッティとココビーンズ

左がボルロッティ、右がココビーンズ
サラダに、スープに、そしてメインで食べても美味しい豆類


チーズ:パルミジャーノレッジャーノ・ヴァッチェロッソ

ヴァッチェロッソ(赤い牛)のパルミジャーノ・レッジャーノ。隣にあった5年熟成のパルミジャーノと悩みましたが、珍しいのでこちらをチョイス。
最低30ヶ月熟成のこのチーズは、フルーティーな甘味が新鮮!パスタやスープに乗せるのもいいですが、そのまま味わうのが贅沢です。

イタリアでは「高級で濃厚な」バルサミコ酢と食べるのがツウだとか
あらら、我が家のバルサミコ、サラッとしすぎてる(涙)


スプレッド:ノッチョーラ・ピエモンテ

贅沢の極み。既にもう半分なくなっている・・・

普段はホールフーズで売っているイタリア産のヘーゼルナッツスプレッドを買っているのですが、昨年パリでピエモンテヘーゼルのペーストを食べてから、その美味しさに感動。以来これを探していました。

レジでスキャンされたらなんと2,000円(!!)思わず白眼をむいてしまいましたが、さすがヘーゼルナッツの名産地ピエモンテのものは風味の濃厚さが違います。スプーンですくって食べれば至福。パンに乗せるなんて勿体無い!


広すぎず、狭すぎず、程よくコンパクトな空間に、痒いところに手が届くような品揃えで信頼のおけるBuon’Italia。チェルシーマーケットに来たらあの有名なブラウニーをお土産にしてもいいですが、料理好きな方はぜひこちらで珍しい食材を探すのも楽しいと思いますよ。私は日本に帰省する際、セタロのパスタをお土産に持って帰ります!

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