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1970年のハル・リンズィ、キャロル・C・カールスン『今は亡き偉大な惑星地球』

1950年10月14日、福音派同盟伝道団(The Evangelical Alliance Mission,TEAM)の文書伝道部門として実行責任者の23歳のケネスマクヴィティ(Kenneth McVety、1927年1月7日~2011年3月30日)のもと、東京・中野区昭和通に「いのちのことば社」が創立された。

湖浜馨丹野巳之助が「いのちのことば社」の最初期の同労者となった。

1970年5月23日、アメリカ連合国のグランドゥ・ラピッズ(Grand Rapids)のZondervanが、40歳のハル・リンズィ(Hal Lindsey、1929年11月23日~)、45歳のキャロル・C・カールスン(Carole C. Carlson、1925年2月10日~1999年12月21日)著『今は亡き偉大な惑星地球』The Late Great Planet Earthを刊行した。

1971年2月、出版社「株式会社ワールドフォトプレス」が設立された。

1973年1月20日、ハル・リンゼイ著、湖浜馨訳『地球最後の日』(いのちのことば社、850円)が刊行された。

1973年7月20日、UFO研究家の久保田八郎(1934年~1999年10月20日)のコズモ出版社が、隔月刊のUFOと宇宙科学の専門誌『UFOと宇宙 コズモ』を創刊号(7・8月号)(300円)で創刊した。

1975年6月、コズモ出版社ユニバーサル出版社と改称し、『UFOと宇宙 コズモ』が『UFOと宇宙』と改題され、7月号(第10号)(360円)が発売された。

1976年11月、『UFOと宇宙』12月号(第21号)「特集:UFO研究の現状と展望」(430円)から、編集長を矢沢潔久保田八郎が交替で務めるようになった。

1977年7月、『UFOと宇宙』が8月号(第25号)「特集:謎の黒い影」(430円)から月刊になった。

1978年1月17日、ニュー・ヨークで、ロバートゥ・アムラム(Robert Amram、1938年6月12日~)、ロルフ・フォースバーグ(Rolf Forsberg、1925年7月12日~2017年2月16日)監督、オースン・ウェルズ(Orson Welles、1915年5月6日~1985年10月10日)、ハル・リンズィ語りの伝道映画『今は亡き偉大な惑星地球』The Late Great Planet Earth(91分)が公開された。

RCR Productionsが、伝道映画『今は亡き偉大な惑星地球』The Late Great Planet Earthの原点音声版のLP盤(ACG-10022)を発売した。

1978年4月、『UFOと宇宙』5月号(第34号)「特集:日本にもあった!! 宇宙人遭遇事件」(430円)から、編集長が武田益尚(武田崇元、1950年~)になった。

1979年10月9日、学習研究社が、43歳の南山宏(1936年7月29日~)と武田崇元が顧問を務める、世界の謎と不思議に挑戦する隔月刊のスーパー・ミステリー・マガジン『ムー(Mu)』を11月号(580円)で創刊した。

1980年7月、『UFOと宇宙』の編集長が8月号(第61号)(500円)から矢沢潔になった。

1982年11月、『UFOと宇宙』12月号(第89号)(580円)から同誌の編集長が中村省三(1946年~)になった。

1983年6月、『UFOと宇宙』が7月号(第96号)(580円)で休刊した。

1983年10月、ワールドフォトプレスが『UFOと宇宙』を『トワイライトゾーン』に改題し、11月号(第97号)(490円)を発売した。

1983年12月20日、「カッパ・ホームス」、武田崇元著『出口王仁三郎(でぐち・おにさぶろう)の霊界からの警告発禁予言書に示された、破局と再生の大真相』(光文社、税込み680円)が刊行された。

1986年1月、ウェストゥポートゥの Lawrence Hill & Companyが、62歳のグレイス・ホルセル(Grace Halsell、1923年5月7日~2000年8月16日)著『預言と政治核戦争への道を進む戦闘的伝道者』Prophecy and Politics: Militant Evangelists on the Road to Nuclear Warを刊行した。

1989年9月20日、「朝日選書」、グレース・ハルセル著、52歳の越智道雄(おち・ みちお、1936年11月3日~2021年5月26日)訳『核戦争を待望する人びと聖書根本主義派潜入記』(朝日新聞社、税込み1,360円)が刊行された。

1989年11月、『トワイライトゾーン』が12月号(第170号)「総力特集:欧米で大ブームのタリズマンストーン徹底研究!! あなたを幸福にする宝石の活用法」(600円)で休刊した。

1990年9月30日、「トクマブックス」、ハル・リンゼイ著、53歳の越智道雄監訳『今は亡き大いなる地球核戦争を熱望する人々の聖典』(徳間書店、本体854円)が刊行された。

1990年12月5日、54歳の越智道雄著『英語の通じないアメリカ』(平凡社、税込み2,000円)が刊行された。

1991年10月16日~2001年3月14日、日本テレビ系列で毎週水曜日21時~21時54分、秋元康(あきもと・やすし、1958年55月2日~)監修、石橋貴明(いしばし・たかあき、1961年10月22日~)と木梨憲武(きなし・のりたけ、1962年3月9日~)の「とんねるず」司会の『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』が放映された。

1991年12月4日、花王桃屋株式会社アクティオ日本テレコム新興産業アサヒビールエスエス製薬提供、41歳のテリー伊藤(1949年12月27日~)演出、30歳の石橋貴明と29歳の木梨憲武の「とんねるず」司会の『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』の「麻原彰晃の青春人生相談」に、36歳のオウム真理教代表・麻原彰晃(あさはら・しょうこう、1955年3月2日~2018年7月6日)が一般公募でスタジオに集められた高校生らと共に出演した。

1993年2月20日、「光文社文庫」、武田崇元著『究極版 出口王仁三郎の霊界からの警告発禁「予言書」に示された、破局と再生の大真相』(光文社、税込み540円)が刊行された。

1995年11月30日、59歳の越智道雄著『〈終末思想〉はなぜ生まれてくるのかハルマゲドンを待ち望む人々』(大和書房、税込み1,800円)が刊行された。

東京大学アメリカン・スタディーズ』(東京大学教養学部附属アメリカ研究資料センター)Vol.2 1999(平成9年3月)、平井康太(ひらい・やすひろ)「神はUFOに乗って第2次世界大戦後のアメリカ宗教事情」、「宗教右派の台頭最終兵器と終末の幻想」より引用する(95~96頁)。

 現行の政治体制を支え中道リベラリズムの枠から出ようとしない、しかも宗教的信念、伝統、特異性を放棄したかに見える主流派教会に宗教的感情の吐け口を見出せない人々はどこへいったのか。1970年代に始まったとされる第5次大覚醒運動の歴史的意義を研究した越智道雄氏は、1960年代のカウンターカルチャーの洗礼を受け、その遺産をも併吞するにいたった現在の社会を「第2次高度管理社会」と呼び、エヴァンジェリカルやファンダメンタリストは管理社会がもたらす「非人間的かつ空疎な不安」に耐え切れず、世界が終末に近づいているという預言に救いを見出す人々であるとしている。その極端な例がブランチ・ダヴィディアンであり、日本のオウム真理教であった。先に挙げたH・コックス氏も1984年に著した『世俗都市の宗教』においては主流派教会が体現する「近代神学」への反動として右翼のファンダメンタリズムと左翼の解放の神学を検討している。
 これら現代社会へのアンチ・テーゼとして宗教右派、すなわちエヴァンジェリカルあるいはファンダメンタリストであることを選択した人々の教義・信念には2つの特徴が見える。一つは前千年王国主義premillennialismであり、もう一つは自分たちが少数派であるという意識である。前千年王国主義とは千年王国に先立ってキリストが再臨し、彼の軍勢が悪魔とその支持者を制圧する(そして1000年後に改めて決起する悪魔たちは「最後の審判」で永久に葬り去られる)という信仰である。この教義が説くところに従うと、人間自身にはこの世から悪を追放したり人間を救済する能力は備わっていない。キリストが再臨するまで人の世は悪化の一途をたどり、キリストとその軍勢が大変な騒乱(艱苦、tribulation)の末にすべての悪しきものを取り除いて初めて、よきキリスト者は平和な千年王国に住まうことができる。この全地球規模で起きるらしい騒乱にも関わらず、よきキリスト者は安全な天空へと助け出される(携挙、rapture)ことになっている。騒乱の寸前に救い出されるのか、真っ只中から救われるのか、それともよきキリスト者も一旦は騒乱の中で死んで、その後に魂の形で救い出されるのかによって細分化されるのだが、ここではその分類は無視し、近い将来そのような騒乱が起きると信じている人々のことを前千年王国主義的宗教右派と括っておきたい。
 そして携挙によって救い出される人々は比較的少数である。これが宗教右派の2つめの特徴、すなわち自分たちは俗世では迫害されている少数派かもしれないが、ひとたびキリストの再臨が始まれば世界で唯一救われる正しきキリスト者の共同体に属しているのだ、という自負心につながっている。1970年代に1500万部以上売れたというハル・リンジー Hal Lindseyの『今は亡き大いなる地球』は極端な前千年王国主義の立場から地球の滅亡=キリストの再臨を聖書の記述に沿って予見してみせた書物だが、みずからが迫害に耐える少数派に属していることを誇りをもって書いている。

2011年3月20日、大田俊寛(おおた・としひろ、1974年~)著『オウム真理教の精神史ロマン主義・全体主義・原理主義』(春秋社、本体2,300円)が刊行された。
装丁は芦澤泰偉(あしざわ・たいい、1948年~)だ。

第4章「原理主義終末への恐怖と欲望」、2「アメリカのキリスト教原理主義」、「ハル・リンゼイの『今は亡き大いなる地球』」より引用する(176~179頁)。

 テレビ説教師の教えに典型例が見られる原理主義の歴史観は、一般に「ディスペンセーション主義」と呼ばれる。「ディスペンセーション」とは「神の摂理」を意味し、神が計画したとおりに世界の歴史が進行するちうことを表す。アメリカ文化研究者の越智道雄によれば、ディスペンセーション主義における人類救済計画のシナリオは、(1)ユダヤ王国再建、(2)「携挙ラプチャー」の開始、(3)ハルマゲドン開始、(4)キリスト再臨、(5)「千年王国」開始、(6)千年経過後天国に移住、というプロセスによって進行する(『〈終末思想〉はなぜ生まれてくるのか』一〇七頁)。そしてディスペンセーション主義によれば、一九四八年のイスラエル再建は、このプロセスの第一段階が開始されたことを意味しており、今後は順次、第二段階以降のプロセスが展開されると考えられるのである。
 ディスペンセーション主義に基づいて著された書物のなかでもっとも有名なものは、ハル・リンゼイ(一九二九~)が一九七〇年に公刊した『今は亡き大いなる地球』である。この書物はアメリカで一八〇〇万部を売り上げ、多くのテレビ説教師が参照したものとして知られている。その内容は、概略として以下のようなものである。
 先に述べたようにリンゼイは、イスラエルの再建を、終末への「カウントダウン」が開始された確証であると見なす。同時にイスラエルの存在は、中東情勢を不安定にする主な要因となっており、メギドの丘ハルマゲドンに「諸国の王」が読み集められ、最終戦争が引き起こされるための条件が徐々に整いつつある。リンゼイは、旧約聖書の『エゼキエル書』三八章にイスラエルの敵として登場する「ゴグ」をソ連のことであると考え、両者のあいだに核戦争が勃発するだろうと予測する。さらに、旧約聖書の『ダニエル書』一一章の記述から、「北の王」をソ連、「南の王」をエジプトであると同定し、アラブ連合の盟主であるエジプトも、イスラエルへの侵入を目論んでいると考える。世界情勢は聖書の預言通りに進行しており、今やハルマゲドンは間近に迫っている。

  私たちは現実世界でのできごとがいかにぴったり、預言されているできごとの枠にはまるかを見てきた。イスラエルがパレスティナに復活、ひとつの国家に再建された。エルサレムは現在イスラエルの統治下にある。ソ連が強大な北方の大敵として登場、再建されたイスラエルの不倶戴天の敵となった。アラブ諸国がエジプトの音頭とりで同盟し、打って一丸となってパレスティナ「解放」をめざしている。ブラック・アフリカ諸国は、アラブ諸国への共感の域をとおりこして、パレスティナ「解放」のために公然と同盟を結びつつある。預言は実現しつつあるのだ。神はこれらのできごとの手綱をとっている。創世記第一章以来、人類にとって最大の影響をおよぼすだけのひろがりと深さを持つ預言を、神は「現行世代」に対して実現させようとしているらしい。私たちも預言にある「現行世代」の一部になる可能性があるとすれば、あなたにはその覚悟ができているだろうか。 (『今は亡き大いなる地球』一三七~一三八頁)

 メギドの丘で開始される最終戦争には、ソ連やエジプトの他、中国を中心とするアジア連合軍、「反キリスト」にょって率いられるEC連合軍なども参入し、世界規模の戦争、すなわち第三次世界大戦にまで拡大する。この戦争によって、地球上の多くの人間は死に絶えることになるが、心からキリストを信仰する者たちは、この災厄を逃れることができる。ハルマゲドンが起こる直前、キリストは善き信者たちを空中へと引き上げ(これを「携挙ラプチャー」と呼ぶ)、地球外にある天国へと移送するはずだからである。
 ハルマゲドンの狂騒がクライマックスに達したとき、キリストが地上に再臨する。それまでにユダヤ人の三分の二がすでに殺戮されているが、残った三分の一のユダヤ人は、イエスがメシアであることをついに確信し、キリスト教徒に改宗する。残りの人間たちは、キリストを信じる者と信じない者に分けられる。前者は地上から抹消され、そして後者は、キリストとともに地上に王国を建設する。その王国が千年続いた後、再びキリストを信じない者たちが反抗を起こし、キリストは彼らに裁きを下す。千年王国はこうして終結し、残った者たちは、その後に創造される新天地に入ることを許されるのである。

2013年9月3日、武田崇元著『新約 出口王仁三郎の霊界からの警告』(発行:学研パブリッシング、発売:学研マーケティング、本体1,800円)が刊行された。

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