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;2024.04.- 偽-小説;虚構 mov. 02 -02


;すべてひかりたちは海を
 …と、あなたは。これら
 果てもなくとめどもない波立ちを綺羅めかせるためだけに、と /未完成
 
 
警告;以下、暴力的な描写、グロテスクな表現、ネガティブな状況描写を含む。
;在原篁 arihara takamura - 沙ゝsāsya 2024.04.-
;偽名の私小説;虚構 mov. 02 //散文とフーガ、未完成
 
 
R*****の、ちょうど生後90日記念の朝。あの、窓をあけた瞬間の圧倒的な陽光のすがすがしい充溢。夜明け前だった。R*****が最後にミルクを飲んだのは。出のわるい母乳。だからk*****はやや昏いいらだちのあるまなざしで哺乳瓶にミルクを用意し、…ごめんね、と。R**ちゃん元気になれないね?ママ、おっぱいたりないから。「大丈夫かな?」
「なに?」
「SIDS...」ばか、と。「なに、変な心配してんの?」
「だって、完ミの子って多いらしいって」
「ちがうじゃん」…完ミでは、ないでしょ?いつもより遅い日曜日の朝の目覚め。9時。ようやくむずがりだしたR*****のためのミルクをひやす。ことさらに清潔なシンク。流水で、妻は。わたしはななめ背後で抱いている。R*****を。その、重量のささやかさがいじら
 
 
夢を見た。
なんどか。
夢に、わたしたちはベイビーを咀嚼したのだった。
子殺し?
屠殺。
生きながらの、しかも。
子喰い?
サチュルヌス。
たとえばゴヤの。
サチュルヌス。
わが子を喰らう、神話のけもの。
あんな切実な暗さはないのだった。
黒い絵?
いや、むしろあたたかな微光につつまれた微笑の。
…絵。
そんな、絵。
謂うなれば。
目と目。
親密にあわせる。
ときには。
わたしたちは…だから、妻。
彼女と、わたし。
見つめあうという密度はなく。
稀薄という薄情もなく。
どこまでも、もう、赦しがたいくらいにやさしく。
咬む。
歯が。
咬む。
顎が。
見ない。
いちいち、咀嚼しているうすい肉のかたまりをなどは。
知っている。
散る。
とび散る。
血が。
だれの?
なんの?
なぜ?
こうまでも、わたしたちはしあわせなのだろう?
 
 
R*****は、いつでも話すときひだりこゆびで右のくちびるの端をさわるくせがある。なぜ?わたしはその癖をいつか知らず知らずのうちにかなしく見たりもす
 
   雨?
 
りもす
 
   ええ、…雨?
 
も、する。
 
   雨?…あっ
 
   紫色の
   雨。この
 
   あざやかさすぎた
   雨。雨がいまも
   ぬらすから
 
   わたしたちを
   癒そうとしたかに
   あたたかに
 
…ええ
   え?
      いいんだ。もう、すべて
衰弱してゆく。病んでゆく。わたしたちは
   あっ…え?
      救われてゆく。もう
雨に、あまい
   え?
      いいん、ん?涙など。もう
芳香のなか、この
 
 
    いつでも雨が
    雨が、わたしたちに
 
    降る。雨が
    雨。紫色の
 
    雨。雨が
 
ええ、…え?雨が降る。あまく香るうす紫色の雨。雨が
 
 
2024;わたしから、やがてのきみへ。抱かれている。いま、きみは。わたしに。わたしを、まだパパと呼ぶどころか、たぶんパパという概念さえ知ってはいない。どうなのだろう?いつなのだろう?父という意味を、人が知るのは。その最初の意味はどんなものなのだろう?ママとおっぱいがかたく結びいているはずの紐づけは、≪パパ≫にとってはいかなる紐なのか。あるいは、≪パパ≫という意味など自明と思っているだけの錯覚なのかもしれないね?実は、だれにとっても不在なのだ。父という存在のあきらかな実態は。やがてのきみへ。憎んでほしくない。わたしが父にしたようには、きみにはわたしを。…いや、かまわないんだ。憎んでも、別に。それがきみにとって必要だったなら。でも、絶対にしたくないし、しないつもりだ。憎まれてしかるべき行いを、きみには。そんな、きみに負担になるような存在でありたくない。連鎖、という。たとえば虐待を受けた子は虐待する親になる、と。連鎖。負の。しかし、こうとも言う。より深い傷みを知るものこそよりふかくやさしくなれ、よりふかい地獄を知るものこそより高い楽園を思い描く、と。暗さが、まばゆい陽光のまばゆさを生まないとはかぎらない。わたしは、きみに陽光でありたい。あたたかで、やさしくて、有益な。わらうだろうか?いつか、きみが大人になったら、こんなわたしの決意を。パパ、それはあなたの感傷にすぎない、と。わたしから、やがてのきみへ。事実そうだろう。でもね?わたしは切実にきみをしあわせにしたいと願い、求めている。ほんと、もう、いらだしいほどの切迫感を以て。だから頸がもうすわったきみを、この腕にまるで頸のすわらないベイビーをだくかに抱き上げたたびにわた
 
   雨?ええ
   好きですか?この
   雨のひび
 
たしは
 
   雨?ええ
      息を?
    やさしい、やさしい、やさしい息を
     幸福。わたしの
   好きですか?この
      ええ。すでにやさしく
    吐いてごらんよ
     それはね?ほほ笑み。きみの
   雨のひびき
 
2074;わたしから、かつてのわたしへ。20年ちかく前、あざやかな紫色の雨が降るようになって、わたしたちの網膜は急速に色彩をうしなっていった。なぜだろう?ヒトの目が白濁と、そのグラデショーンと、雨の紫をしか了解しなくなったのは。究明するべきサイエンティストたちの不在。いるかもしれない。どこかに。まだ隔離されていない可生地に。だが現状のCOMの破損は孤立する。74年、こんな地獄な世界観にM*****、そう名づけたいのちをさずかるのは、実は犯罪的かもしれない。倫理不在な、わたしたちの欲望な親エゴ。でも選ばなかった。Y***もわたしも、M*****。彼の生き生きとした胎動をやることは。きみは、…だからかつて、彼とおなじように父なる男に抱かれたきみは、どう?糾弾する?いまのわたしを。わたしたちを。容認する?理解を示す?…どう?欲望でしかない、しかしあたたかな情熱が…愛?彼、いとしいM*****にうぶ声をあげた。いつか、彼に謝罪する日が来るだろうか?紫色の雨が隔離地帯の土をゆるませる。あたためる。あまやかな匂いが逃げる隙間もなく充満する。いつでも失神の危機がある。2週間は降りやまないはずだ。彼を、わたしはまもるために≪繭≫を張る。所詮自家製の、効果のあやしいそれ。もう、ここでは誰もが精密さを求めはしな
 
   雨?
 
   雨?ええ
      聞こえた?わたしの
    ざわめく。周囲の
     いつ?さわやかな風は
   好きですか?この
      ため息。安堵の
    音響のなかでも
     いつ睫毛を、この
   雨のひびき
 
2024;わたしから、やがてのきみへ。たとえばいまのわたしとおなじ年齢になったとき、…どんな風景?それは。やがて、きみがおとなになったその目に見ているのは。まちがいなく、わたしたち、きみにとっての旧世代が想像もできなかった風景にちがいない。正確に言えば、想像可能な想像以上の世界、というべきだろうか?あたらしいエコノミクス。結局のところ蒸気機関からこっち、わたしたちが見ていたのはイノヴェーションが回転させてゆくエコノミクスの歯車たちにすぎない。しかし、もう技術は現状でホモ・サピエンスの肉体的限界を越えつつある。実際、越えてもいる。肉眼の必要以上の解像度の液晶画面に、実際以上に拡大された詳細な顔を見る。フィクションではないか?すでに、それは。肉体のイノヴェーションの、あるいはトランス・ミューテーションの緩慢は、ついに技術の革新についていけなくなった。しかし、エコノミクスが開く世界観がいま、社会と呼ばれる営為の実態である以上、きみたちは未曽有の状況、イノヴェーションなきエコノミーに生きることになっているはずだ。どんな世界だろう?やがてのいま、きみが見ている風景は。そして、地球環境はわたしたち旧世代のせいであきらかにかつてない異質性をのみわたしたちにつきつけはじめてる。壊れてゆく世界?いや、もともと目的もなき素粒子の戯れにすぎない。壊れてゆくというよりは、だから目標のないトランス・フォーメーションの過程。たとえそれがホモ・サピエンスの生態に起因し、かつホモ・サピエンスをふくむ生態系の現状を崩壊させようが、…そう。事実、知ったことではない。考えれば、宇宙は厖大な物質とさまざまな力との巨大な活動体にすぎない。タンパク質組成物は、結局はそのかたすみ、力のかよわい空白地帯にかろうじて発生した偶発にすぎない。そんな、偶発のごく微細な、しかしわたしにとっては巨大な祈りとして、ただきみの健康と幸福と充実、充足を願う。わらうべき、無力を
 
   あ
 
を、知りな
 
   あ。…あ
   あっ
 
   雨?ええ
      そしてすこやかな
    いやされてゆく。すべて
     嗅いだ。きみの
   好きですか?この
      しかも、あたたかな
    きみの息吹き。…ね?
     くちもとの臭気
   雨のひび
 
2074;わたしから、かつてのわたしへ。父、と。ここでだけあえてそう呼ぶあの男。母の不審死。なぜ、あんな死に方をしたのか。18歳のきみは赦せなかった。怒り狂った。当時、あの男はまだ機能していた介護施設に収容され、それ以降連絡は断たれた。きみから一方的に。関係を絶つのはたやすかった。あなたがあの男にとって、通信網のなかで不在になればいいだけだ。だから、もう死んでいるはずの男の最期をわたしは知らない。施設はすでに崩壊したに違いない。すくなくても54年の震災で。18歳のきみは断絶を冷酷とは感じなかった。いまは?かならずしも、変わらない。ただ、彼が胎動を手のひらに感じさせるたび不安になる。わたしは?と。わたしは彼に、おとなになった彼に、なにをするだろう?彼はどんなふうに見、そしてどんなふうに見られるだろう?後悔はない。わたしは、彼がじぶんのためにわたしを見棄てるなら。ひとり生きていくことさえ困難な現状。苛酷が彼の未来に、完璧な解消できるとは思えない。空が紫色であるかぎり。…母。殺されたひと。血まみれで。第一発見者に言ったという。もう冷たい母を抱きあげた男は、すわりこんだまま。窓から忍び込んだ女たちが刺した、と。30年前はまだかろうじて治安は維持されていた。だけでなく太平洋側大震災からの回復期にあったはずだ。悪化する放射能汚染に生活はいよいよ困難を増しながらも。中程度被爆による不可抗死の数量が拡大するばかりでありながらも。狂った男は目が3つある畸形の女たちのせいだと証言した。曖昧な、適当な犯事処理。外側から叩き割られていたガラスと≪足跡のような痕跡≫により、一部妄想を含む事実と認定。ほんとうの事実がどうかは知れない。ただあの男が有罪であるには変われない。最低でも殺されてゆく母を見殺しにしたということではないか。…だけでなくわたしは、あの男が実は手をくだしたと察した。あの、老化する時系に深刻化するだけな母への暴力。加虐。じぶんの拳をさえ自力が壊しながら。あの男が腕に抱いていた母は、頸さえ取れかかっていたという。やがての、きみへ。いとしい、あたらしいいのちへ。わたしはきみには秘密にするだろう。嘘をつくだろう。いつか、ありがちにきみのおじいちゃんは不可抗死を遂げたんだ、とでも。死は、今、どうしようもなくてどこにでもありふれている。きみの将来にもたやすいに違いない。死は、たぶん。なぜ?なら、なぜわたしたちはきみを望んだのか?やがて恨むだろうか?きみは。うまれたことを。憎むだろうか?わたしを。軽蔑を?やがてのきみは、わたしたちを。ただママをだけは…ね?愛してほしい。いま、自血のすべてを入れ替えながらきみを必死に育てつづけ、かつて育みつづけもしたのだから。奇蹟を願った。きみがお腹にまだいるころ、うまれて猶も生きているという、あり得なく思われた1週間と2日後の未来を。羊水汚染限度の危険期は迫る。手慣れた切開者は身近にいない。きみに、母に抱かれる経験を一秒でもいい、あたえてあげ
 
   波紋
 
げた
 
   …波紋。ひろが   ;aria
   がっ
 
   は
 
ええ、みなもを。果てのない   ;recitativo
   え?
の、見えていな
   え?
の、見え
 
え?
 
   波紋。ひろがり
   ひろがってゆく
   波紋。わたしたちの
 
   まなざしたちは
   あっ…
 
見ているべきでしょうね?わたしたちはあくまでもあなたの繊細な微笑を
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

   あっ…
 
見ているべきだろう?わたしたちはもっと、もっと、もっと!すこやかでうるわしい風景を…どう?存在しているべきだろう?そこに、あきらかに。鮮明に、すこやかでそしてうるわしい風景のな
 
   波紋。ひろがり   ;canon
   ひろがってゆく
   波紋。見え
 
   見える?
 
   なめらかに
    波紋。ひろがり
   綺羅らめき
    ひろがってゆく
   傷つけは。…は、し
 
   なっ
 
   なにも、傷つけは
    波紋。わたしたちの
   傷?…しない
 
   な
 
   はてもない…ええ
      ひかりのなか、ふと
    ひろがってゆく
     笑みを。ささやかな
   はての見えな
      まばたくのだった、わたしたちは。まだ
    波紋。見える?
     笑みを。ほら
   ええ、見えてはいな
 
   なっ
 
   …え?な、昏い水面を
      まぶさしさなど!なにも
    波紋。その
     くちびるはうかべた。なぜ?だっ
   仮構してみて。まるで
 
   まさに目に
   え?…目
 
   目
      すこしも感じてはいないま
       ま
        ま
         ま…ん?
    さわがしい眸に
     だって、きみを愛してるから
   …に、見えていたか

   あ
 
癒されなさい。わたしたち。…波紋
 
   はっ。ひろがり
   ひろがってゆく
   波紋。見える?
 
   …る
 
   なめらかに
    波紋。ひろがり
   綺羅らめき
    ひろがってゆく
   傷つきは
 
   しな
 
   なにをも。ええ、傷つけはし
    波紋。わたしたちの
   傷?…し、し
 
   しない
 
   はてもない…ええ
      ひかりたちは、もう
    ひろがってゆく
     あたたかい?きみも
   はての見えな
      いまも。好き放題に、なおも
    波紋。見える?
     さむくない?きみを
   ええ、見えようもな
 
   やすらかな息を
   やすら…え?
 
   な
 
   な
 
   な。…な、
 
   あのしずかすぎた水面を
      …ま。いま猶も!わたしたちにふれ癒しを
    波紋。その
     まもりたいから。きみを
   空想してみて。まるで
 
   え?
 
   まさに目に
      に、唐突に、だから不自然におもえたくらいに突然あたえ
    の、さわがしい眸に
     きみにここちよくいてほ
 
 
 
     ほ
 
 
 
     ほ
   見えていたかに

   いっ
 
いいえ!回復しなさい。わたしたち…波紋
 
   …あ。ひろがり
   ひろがってゆ
    ゆ
     ゆ
      ゆ。…っくり、と?波紋
   はっ
 
   見える?
 
   なめらかに
    波紋。ひろがり
   綺羅らめき
    ひろがってゆく
   傷?
 
   この、やや深刻…あっ
 
   傷など
    波紋。わたしたちの
   傷?…あり得はしな
 
   なっ。ええ
 
   はてもな
      ひかりのなか、きみは
    ひろがってゆく
     声をたてた。そして
   はての見えな
      まばたくがいい。まだ
    波紋。見える?
     わらっ…なぜ?らっ。らった
   ええ、見えるはずもない
 
   な
 
   い、な
 
   ない…え?
 
   ええ、やわらかな水面を
      慣れない、でもありふれた挙動
    波紋。その
     なにが?きみを唐突に
   妄想してみて。情熱的に!まるで
 
   まさに目に
      すべてはきみに、きみだけには新鮮すぎて
    ええ。さわがしい眸に、その
     のっ。よろこばせたん…の?教えて
 
 
 
     た、の?
 
 
 
     た
 
 
 
     た。せた、の?そっと
   見えていたか
 
   に、目に
 
   …に。見えてい
   い
 
   …か
   い。波紋
 
   波紋。はっ
 
   は。はっ、ひろがり
   ひろがってゆく
   波紋。見える?
 
   なめらかに綺羅らめき
      ら
    波紋。ひろがり
     ら
   綺羅めきたちは、なにも
      ら
    ひろがってゆ
     波紋。ひろが
   傷つけはしない…なにも
 
   波紋。ただ
   なだれてゆく
 
   ゆっ。綺羅ら
 
   ら

ええ。ほほ笑みなさい…波紋。わたしたちは昏む   ;recitativo
 
   昏む目を   ;canon
   まばたきにそっと
   ごまかしていた
 
ええ、
 
   波紋。ひろがり
   ひろがってゆく
   波紋。ただよう
 
   うすい、繊細な
   綺羅めきの
 
   …の、え?
      は。はっ
    波紋。ひろがり
     どこまでも!
   あっ。…の、この微細たち
      繊細に…波紋
    ひろがってゆく
     波紋。ひろがり
   いいですか?わたしは
 
   うしなっていても
   言葉をも
 
   綺羅めきたちは、なにも
    ひろがってゆく
   傷つけはしない
 
   …なにも
   波紋。そっと
   なだれてゆく
 
   波紋。やわらかに
   波紋
 
   綺羅ら
 
   なにができますか?わたしたちに
    波紋。ひろがり
   ただ、すべてのいのちの
    ひろがってゆく
   すべての
 
   わたしたちの
    波紋。いやされた
     波紋。ひろがり
   わたしたちすべての
 
   すべてに
      波紋。ひろがり
    まなざしたちは
     ひろがってゆく
   すべての
      ひろがってゆく
    あえて、かたくなに
     波紋。いけなかったんだよ
   瞬間に、猶も
 
   しあわせを願い、ただ
      波紋。生きていて
    沈黙をまもった
     たぶん、ね?それを
   しあわせのために
      いいよ。生きていて
    すべて、あらゆる
     名づけては。たとえば
   生きる以外に
 
   に、もう
 
   なにがあるの?いま
      そして、ね?
    魂を。すべての
     それをいのちとさえ。この
   ささやきえる
      なにをしようか?
    いのちを、ぼくたちは
     あまりにも空虚な
   …る、ことば
 
   え、た
    救ってしまおう。悩みから
     名。…な
   …た
 
   ことば。ええ
    解き放ち
     なに?この
   あの野蛮なひびきが
    波紋。ひろがり
     あたたかな感情。わたしたちは
   狂暴なひびきが
    ひろがってゆく
     くちびるを咬め
   わたしたちを、俊敏に
 
   屠殺する手前
 
   昏む。目を
   まばたきに、そっ
 
   そっ
 
   波紋。ひろがり
 
     波紋。ひろがり
   ひろがってゆく
 
     ひろがってゆく
   ゆらめく
 
   せつない、繊細な
 
     波紋。…はっ
   綺羅めきの
 
   …の、え?
      は。はっ
    波紋。ひろがり
     とおくまで!
   あっ。この微細たち
      繊細に、…波紋
    ひろがってゆく
     波紋。ひろがり
   いいですか?わたしは
 
   うばわれていても
   まなざしをも
 
   綺羅めきたちは、なにも
    ひろがってゆ
     ゆ
   傷つけはしない
 
   …なにも
   波紋。そっと
   なだれてゆく
 
   波紋。やわらかに
 
   はっ
   波紋?ここちよ
 
   なにができますか?わたしたちに
    波紋。ひろがり
   ただ、すべてのいのちの
    ひろがってゆく
   すべての
 
   わたしたちの
    波紋。放たれた
     波紋。ひろがり
   わたしたちすべての
 
   すべてに
      波紋。ひろがり
    まなざしたちは
     ひろがってゆく
   すべての
      ひろがっ
    あえて、深刻な
     波紋。いけなかったんだよ
   瞬間に、猶も
 
   しあわせを願い、ただ
      波紋。生きていて
    沈黙をまもった
     たぶん、ね?それを
   しあわせのために
      いいよ。生きていて
    すべて、あらゆる
     名づけては。たとえば
   生きる以外に
 
   に、もう
 
   ひかりなど、たぶん
      そして、ね?
    傷みを。すべての
     いのちとさえ。この
   網膜は、すべての
      ね、なにを見ようか?なに見たい?
    いのちを、ぼくたちは
     あまりにも空虚な
   網膜たちは
 
   そっと、見過ごした過失を
    傷たちをあたためる。ほら
     名。…な
   擬態してみた
 
   昏む。目を
   まばた
 
   …た
 
   た、わたしたちの視野いっぱいに
   ね?
 
   波紋。ひろがり
    解き放ち
     なに?この
   ひろがってゆく
    波紋。ひろが
     あたたかな感情。わたしたちは
   ざわめく
 
   無音の、繊細な
    ひろがってゆく
     くちびるを咬め
   綺羅めきの
 
   波紋。ひろがり
    波紋。…はっ
     波紋。ひろがり
   ひろがってゆ
 
     …が。がってゆ
   波紋。ひろがり
 
     波紋。…はっ
   綺羅め
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


   …の、え?
      は。はっ
    波紋。ひろがり
     かなたへまでも!
   あっ。微細たち、この。これら
      繊細に、…波紋
    ひろがってゆく
     波紋。ひろがり
   いいですか?わたしは
 
   うしなっていても
   すべて、感情をも
 
   もっ
 
   綺羅めきたちは、もう。なにも
    ひろがってゆ
   傷つけはしない
 
   …なにをも
   波紋。そっと
   なだれてゆく
 
   波紋。やわらかに
   波紋
 
   波紋。綺羅ら
 
   はっ
   …あ。ふるえた?
 
   なにができますか?わたしたちに
    波紋。ひろがり
   ただ、すべてのいのちの
    ひろがってゆく
   すべての
 
   わたしたちの
    波紋。追放された
     波紋。ひろがり
   わたしたちすべての
 
   すべてに
      波紋。ひろがり
    まなざしたちは
     ひろがってゆく
   すべての
      ひろがっ
    あえて、したしげな
     波紋。…な、波紋。いけなかったんだよ
   瞬間に、猶も
 
   しあわせを願い、ただ
      波紋。生きていて
    沈黙をまもった
     たぶん、ね?それを
   しあわせのために
      いいよ。…て、生きていて
    すべて、あらゆる
     名づけては。たとえば
   生きる以外に
 
   に、もう
 
   おぼえてる?叫び
      そして、ね?
    悲惨を。かなしみを
     いのちとさえ。この
   だれが?あるいは
      どこへ行こうか?
    いのちを、ぼくたちは
     あまりにも空虚な
   あなたが。または
 
   わたしが。そして
    手のひらに。翳りから
     名。…な
   かれらが?…の
 
   が、ひらいた
    解き放ち
     なに?この
   の、喉の
    波紋。ひろがり
     あたたかな感情。わたしたちは
   が、声帯
    ひろがってゆく
     くちびるを咬め
    波紋。…はっ
 
   昏む。目を
   をっ
 
   まばたきに、そっ
 
   お
 
   お
 
   お
 
   波紋。ひろがり
 
     波紋。はっ
   は
 
   は
 
   は
 
     ひろが
   ひろがってゆ
 
     …が。がってゆ
   こわれあ
 
   あ
 
   あう…そして
   あっ
 
   ひびきあう、繊細な
     波紋。…はっ
   綺羅めきの
 
   …の、え?
      は
       はっ
        は
    波紋。ひろがり
     ひらくかのように…花たちが
   あっ。この微細たち
      繊細に、…はっ
    ひろがってゆく
     波紋。ひろが
   いいですか?わたしは
 
   うばわれていても
   自由を。みうごきの
 
   綺羅めきたちは、なにも
    ひろがってゆく
   傷つけはしな
 
   …なにも
   波紋。そっと
   なだれてゆく
 
   波紋。やわらかに
   波紋
 
   綺羅ら
 
   波紋
   はっ
 
   なにができますか?わたしたちに
    波紋。ひろがり
   ただ、すべてのいのちの
    ひろがってゆく
   すべての
 
   わたしたちの
    波紋。拘束された
     波紋。ひろがり
   わたしたちすべての
 
   すべてに
      波紋。ひろがり
    まなざしたちは
     ひろがってゆく
   すべての
      ひろがってゆく
    あえて、…なに?
     波紋。いけなかったんだよ
   の、瞬間に。この、だからこの瞬間にも猶も
 
   しあわせを願い、ただ
      波紋。生きていて
    沈黙をまもった
     たぶん、ね?それを
   しあわせのために
      いいよ。生きていて
    すべて、あらゆる
     名づけては。たとえば
   生きる以外に
 
   に、もう
 
   ふるえるものだ
      そして、ね?
    まなざしに微笑を
     いのちとさえ。この
   うぶ毛たちは
      なに、なにを叫ぼうか?
    いのちをぼくたちは
     あまりにも、ええ。空虚な
   たぶん

   見えない微動を
 
   ふるえるものだ
      波紋。ひろがり
    はぐくみつづけよう
     名。…な
   ふるえていた
      ひろがってゆく
    解き放ち
     なに?この
   大気の微細な
 
   見えない微動に、いささかも
    波紋。ひろがり
     あたたかな感情。わたしたちは
   微動さえないわたしたちの
    ひろがってゆ
     くちびるを咬め
   直立。ほう
 
   ら。らっ
      波紋。ひろがり
    波紋。…はっ
     波紋。ひろがり
   ほう
 
   ら。両手を
      ひろがってゆく
 
     ひろがってゆ
   しばられていたかに。ほう
 
 
     波紋。…はっ
   ら。ら
 
   らっ
 
   昏む。目を
   まばたきに、そっと
   ごまかしていながら
 
   も
 
   波紋。ひろがり
   ひろがってゆく
   つぶだつ
 
   ゆるい、繊細な
   綺羅めきの
 
   …の、え?
      は。はっ
    波紋。ひろがり
     はてもなく!
   あっ。あっ。あ。微細たち
      繊細に…波紋
    ひろがってゆく
     波紋。ひろがり
   いいですか?わたしは
 
   うしなっていても
   体温をも、ここに
 
   綺羅めきたちはなにをも
    ひろがってゆく
   傷つけはしない
 
   …なにも
   波紋。そっと
   なだれてゆく
 
   波紋。やわらかに
   波紋
 
   綺羅
 
   ら
 
   ら
 
   ら
 
   ら…ええ
 
   なにができますか?わたしたちに
    波紋。ひろがり
   ただ、すべてのいのちの
    ひろがってゆく
   すべての
 
   わたしたちの
    波紋。わすれらさられた
     波紋。ひろがり
   わたしたちすべての
 
   すべてに
      波紋。ひろがり
    まなざしたちは
     ひろがってゆく
   すべての
      ひろがってゆく
    あえて、ひたすらな
     波紋。いけなかったんだよ
   瞬間に、猶も
 
   しあわせを願い、ただ
      波紋。生きていて
    沈黙をまもった
     たぶん、ね?それを
   しあわせのために
      いいよ。生きていて
    すべて、あらゆる
     名づけては。たとえば
   生きる以外に
 
   に、もう
 
   …なにも
   波紋。そっと
   なだれてゆ
 
 
   ゆ
 
   ゆ。…くだけの
 
   波紋。やわらかに
    波紋。ひろがり、ひろがっ
   波紋
 
   の。…の?
    あっ
     波紋。ひろがり、ひろがっ
   綺羅
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   昏む。目を
   まばたきに、そっと
   ごまかしていた

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