ジェット気流に乗って
わたしの年代の多くの人は、小中学生のころからラジオにはまった経験があるのではないでしょうか。その当時、テレビはまだ一家に一台というご家庭がほとんどだったと思います。うちももちろんご多聞にもれず、わたしにとって自分だけの楽しみのためのツールはラジオでした。
音楽好きだったわたしは、音楽が流れるFMラジオが好きでした。小学生くらいだと日付をまたぐ前に布団に入れられてしまい、布団の中でイヤホンでラジオを聴くことが小さな楽しみでした。
深夜12時を過ぎると、『ミスターロンリー』と共に始まる『Jet Stream』という番組。番組の途中で夢の世界に行ってしまい、最後まで聴くことはあまりありませんでしたが、飛行機を見るとなんとなくあのテーマソングを思い出します。
社会人になってあまりラジオを聴かなくなり、そう言えばあの番組はどうなったのだろうと調べてみたら、一番なじみのある声の城達也さんはお亡くなりになっていることを知りました。あぁ、光陰矢の如し。
社会人になって飛行機に乗ることも珍しくなくなりましたが、わたしにとって空港は、今でも特別な空間です。保安検査場を通過すると、どこからともなくあの『ミスターロンリー』が聴こえてくるような気がします。
音と、記憶と、憧れ。
朝焼けに染まる飛行機を見ながら、この翼に乗ってどこか遠くに行くことに、なんとなく郷愁を覚えます。
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