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絵に関する映画5選

最近とある事情で絵画に関する映画をいくつか見たので、忘備録として感想を書いていきます!芸術の秋も近いし?ご参考ください。
※伝記映画とフィクションが混ざっています。


「燃ゆる女の肖像」

2019年のフランス映画。監督はセリーヌ・シアマ。世界中で多くの賞を獲得しました。

あらすじ:女性画家マリアンヌは貴族の娘エロイーズの肖像画を依頼され、孤島の屋敷を訪問する。肖像画は娘の結婚相手に送るためだったが、本人は望まない結婚だった。マリアンヌは画家であることを隠し、肖像画を描こうとする中で、エロイーズと次第に打ち解けていく。

作品にはほぼ女性しか出てきません。女の秘密の園を見ているようです。
女性に自己決定権のない時代で、意思を持ち生きようとする、彼女らの悲しさと美しさに心を揺さぶられます。
ギリシャ神話のオルフェウスの冥府下りの話が2人の行動にクロスします。

どのショットも絵のように綺麗。赤のワンピースと緑のワンピース、バックに青い海が映えます。主演のノエミ・エルマンがエマ・ワトソンに似ている……。


「モンパルナスの灯」

ジャック・ベッケル監督による1958年のフランス映画(白黒)。

画家モディリアーニの伝記映画です。
彼の絵は顔と首が長い人物画が特徴的です。2018年サザビーズの競売で172億円で落札された画家ですが、生前は評価されず、貧困と病苦のうちに亡くなります。

モディは、昔の芸術家らしく酒、女、暴力を繰り返し、自暴自棄な生活を送りますが女性からはモテ続けます。
本作では特に2人の女性との関係が興味深いです。
主演のジェラール・フィリップの顔がいいので、しゃーないねと納得です。フランスのジェームズ・ディーンとも呼ばれていたそうで。(ぜひググってみてください) 文芸作品にも色々出演しているようなので今度見てみよう。

映画技法に詳しくないのですが、画面に余計な情報がなく、シンプルな構図が人物を引き立てていました。

セリフがおしゃれ。
「傘は嫌いだ 雲を隠すから 雨ぐらい共にしたい」
「水を飲んで描く絵なんてたかが知れてる」
悪い男には気をつけましょう!

「ジェニーの肖像」

原作はロバート・ネイサンの小説で、1948年の米国映画(白黒)。

あらすじ:売れない画家イーベン・アダムスはある日、昔の格好をした不思議な少女に出会う。少女をモデルに描いた絵が認められ、また少女を描きたいと思う。再びジェニーに会うと彼女は美しい女性に成長していた。

素敵なラブアンドファンタジー。あまり書くとネタバレになるので控えめ。
悪い人物が出てこないので、精神的によい映画。
こちらも印象的なセリフ多数。

「ポロック 2人だけのアトリエ」

画家ジャクソン・ポロックと彼を支えた妻リーの伝記映画。
エド・ハリスが監督・製作・主演。

ポロックは戦後の現代芸術を担った画家です。映画では、画家としての苦悩と成功、低迷、夭折が描かれています。

美術の教科書に、床に置いたキャンパスにドリッピングしているポロックがいたかもしれない。多分。映画では、アクションペインティングを発明したシーンが描かれます。

ポロックも精神疾患とアル中で普通でない行動が目立ちますが、リーが献身的に支えます。リーを演じたマーシャ・ゲイ・ハーデンがアカデミー賞の助演女優賞を受賞。
ストーリー自体は淡々と彼の人生を追うので多少の眠気が。

エド・ハリスは何年もポロックの絵を研究し、製作に15年も費やしたそうで力の入れようが伝わってきます。


「アキレスと亀」

北野武監督作品。
あらすじ:裕福な家に生まれた真知寿は、絵が上手いから画家になれとお世辞で言われた言葉を胸にひたすら絵を描く。だが実家は破産し両親は自殺。親戚の家、養護施設を転々とする間も絵を描き続け、煙たがられる。その後美術学校に入学するが……

北野作品は、「アウトレイジ」以外見たことありませんでした。
後半40分でようやくたけしさんと樋口可菜子さん登場。

映画に出てくる絵は全部たけしさんが描かれたらしい。ご本人は「残念」な感じを狙って描いていそう。で、本当に魅力を感じる絵じゃなかった……。

主人公の少年時代から大人になるまで、ほとんど絵柄や上手さが変わっていないので、それもまた主人公の滑稽さを表しているような。

純粋な真知寿は、怪しい画商のアドバイスを素直に聞いて、トレンドを狙って描くけれど、自分の頭で考えていないので的を外した絵になってしまう。
真知寿の空回りは、家族を巻き込んだ悲劇(喜劇)を起こしていく。
自分の作品が評価されたいというのは何かを作ってる人には少なからずあると思います。だからこの映画を見ると共感性羞恥が起こるかも? 痛々しくて好きじゃないけど、そういう感情をもたらしている点で強烈な映画です。



絵に関する映画を挙げてきましたが、私は美術館で作品を鑑賞するのはちょっと苦手意識がありました。絵をどうやって見ればいいのかわからず、結局、横の文字の解説を読む時間のほうが長いという。
ですが今回いくつか伝記映画を見て、人となりや作風を知り、俄然作品を見たくなりました。今度誰か有名な方の展覧会に行くときは伝記映画を観ておこう。

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