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「予防医学の力で、防ぎえた後悔をなくす」株式会社ウェルネス代表取締役 中田航太郎さん

こんにちは!スタートアップの経営パートナー「レガリア法律事務所」です。前回の記事では、『年間500名のスタートアップ経営者と話す弁護士が語る、成功する起業家』をテーマにした代表勝連へのインタビューをお届けしました。

第九弾では、株式会社ウェルネス代表取締役の中田航太郎さんをお招きし、法規制の観点から難易度もあるヘルスケア領域への挑戦についてのインタビューをお届けします。事業展開にあたって、どのように法律が関わっているのか、実際の例を出していただきながら深掘りしました。

前回の記事はこちら↓

本テーマや中田さん、勝連に興味をお寄せいただいた皆様はもちろん、スタートアップの経営者や関係者の皆様、現役弁護士や弁護士を目指す皆様にもご覧いただけますと幸いです。


※本記事はPodcast「New lawyers -これからの弁護士-」の一部を抜粋加工し作成しています。音声は、以下よりお聞きいただくことができます。
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勝連孝司プロフィール

レガリア法律事務所 代表弁護士

2018年弁護士登録。長島・大野・常松法律事務所で紛争解決・知的財産・労働・スタートアップ関連業務等に従事した後、株式会社カンリーで経営企画業務などを担当。 現在は、リーガルテックの会社を経営しながら、経営経験を活かして弁護士としても多くのスタートアップを支援している。
▼経歴
2015年3月 京都大学法学部卒業
2017年3月 京都大学法科大学院修了
2018年12月 弁護士登録・長島・大野・常松法律事務所入所
2023年4月 レガリア法律事務所設立

中田航太郎プロフィール

株式会社ウェルネス代表取締役 中田航太郎

1991年、千葉県生まれ。幼少期をピッツバーグで過ごし、4歳から医師を目指す。東京医科歯科大学医学部卒業後、初期研修を経て救急総合診療科医。予防医学の普及と医療アクセシビリティ向上を目指し、2018年6月に株式会社Wellnessを創業。

株式会社ウェルネス創業のきっかけ


ーPodcaster・レガリア法律事務所 広報 稲荷田(以下、稲荷田)
中田さんは、勝連さんのご紹介でお招きしておりますが、どのような出会いがきっかけだったのか教えてください。

ーレガリア法律事務所代表 勝連孝司(以下、勝連)
2年前に食事会で会ってから関係性が深まり、一緒にハワイでトライアスロンのレースに出るくらい仲良くなりました。

ーPodcaster・レガリア法律事務所 広報 稲荷田(以下、稲荷田)
かなりの関係性ですね!今回はその関係性を活かして深いところまで聞いていけたらと思います。中田さんは株式会社ウェルネスの代表取締役でもありながら、医師である側面も持っていると思いますが、なぜ医師を目指すようになったのでしょうか?

ー株式会社ウェルネス代表取締役 中田航太郎(以下、中田)
千葉県で生まれましたが、父親が医師で、仕事の都合で0歳の時にアメリカに行きました。3,4歳くらいの頃、病気になって通院していた時に、主治医の先生がとても良い先生で、学校の先生に会うよりも医者に会いに行く方が楽しいと思っていました。

その時にはもう医者になろうと決めていて、小学校の作文も毎回将来の夢は医者と書いていました。医科歯科大学に行って、医者になる勉強を始めました。

ー稲荷田
結果的に、起業されたのはどうしてなのでしょうか?

ー中田
臨床実習の時に患者さんのお話を伺う中で、もっと早くに病院に来ていたり、生活改善していたらそもそも発症しなくてすんだ事例が多く、そこから予防医療に興味を持ち始めました。詳しい先生を探して、勉強しに行かせていただいたりもしました。

とはいえ国家試験も合格し、せっかく夢が叶ったので普通に医師をやっていまして、救急総合の診療という道でいろんな病気を見る仕事をしていました。それでも、いろんな患者さんを見ていくと、病気が進んでからお医者さんを探して、自分の体へのケアに向き合っていないという根本的なモデルを見つけ、変えたいなと思い起業をしました。

予防医療の課題


ー稲荷田
学生の段階で予防医療に興味があったと仰っていましたが、予防医療の課題はどのようなところにあるのでしょうか?

ー中田
日本には社会制度が厚いメリットがある一方で、”みんな同じ健康診断や人間ドッグを受けましょう"と言われていて、パーソナライズ性が低いんです。
そのため、毎年健康診断を受けていたけれど、リスクが高い病気に対して検査がしっかりできていなくて、その部分が進行した状態で見つかって手遅れになったという事例も多く存在しています。

ー稲荷田
確かに、健康診断や人間ドッグではみんな同じものを受診しますね。

ー中田
そうなんです。あと、何よりも、検査を受けても、詳しく現状や改善策を知ることができないことが課題だと思います。現状の課題やこのまま生活した先の将来リスクを理解した上で、生活を変えるから将来健康に長く生きられる確率が上がっていくと思うのですが、今の病気がないとチェックだけで終わってしまうのだと現状をリスクを把握することができないですよね。
診断結果表を見てみても、グレードがついたABCD判定と、簡単なコメントしかでてこなくて。詳しく自分の体やこれからのことについて知ることができるまで進んでいないんです。

ー稲荷田
言われてみれば確かに。海外ではどうなのでしょうか?

ー中田
アメリカでは、いろんな会社がでてきていて、特に注目されているのは、数万、十万円でかなり細かくゲノム(遺伝情報)解析が出来たりします。自分の体の状態や将来のリスクを知ることが容易になってきました。

ー稲荷田
ゲノム解析、すごいですね。アメリカでは個人で体のことを知ることが主流となってきているんですね。日本ではなぜこのような働きがないのでしょうか。

ー中田
よく言われるのは、国民会保険制度という充実した医療制度があって、誰でも比較的安い価格で医療が受けられるような国で、病気になった時の経済的な負担が大きくないから予防しないんじゃないか、ということです。

ただ、本質的な課題としては、日本の医療モデルは出来高制度といって、薬や手術単位で報酬が出るモデルになっているので、一個単位のクオリティをあげても報酬が上がらないモデルになっているんですよね。

これは、病気になってから治療をした方が医療機関側が儲かるモデルなんです。だから病院の内側のインセンティブが働いていかないんです。

ー稲荷田
この現状を変えていく、ということで起業したと。

ー中田
そうです。予防を病院の外でもできるように行って、ビジネスとして成立することを証明したり、サービスを使った人たちの早期死亡率の減少などのファクトを作っていけば、国にアプローチをして本当に法律や社会制度を変えられると思っています。

株式会社ウェルネスの事業内容


ー稲荷田
具体的に、ウェルネスさんがどのようなアプローチをされているのかを教えてください。

ー中田
顧問弁護士をつけるような感覚で、パーソナルドクターというサービスをやっています。

医者が一人に専属でついて、定期的に接点を持ちながら、自分の体の変化や特徴について知っていったり、検査を行って客観的にみることをやっています。溜まったデータを元に、課題を発見して将来のリスクを考え、改善の方法や食事案、病院にいくタイミングなどのアドバイスをします。そしてもう一つ、常に担当ドクターと連絡ができる環境を作っています。

ー稲荷田
具体的には、どのようなアドバイスを受けられるのでしょう。

ー中田
例えば、悪玉コレステロールに異常値がある方に対してだと、細かい指標でどこが高くてどこが低いのかによってより効率的なアプローチが違うんです。

『このコレステロールが高いのであれば、オメガ9Kの脂質を取った方がいいからアボカドやエクストラバージンオリーブオイルなどが効果がありますよ』といった話や、『善玉コレステロールが低いのであれば、有酸素運動を全くしてないのであればオメガ3Kの脂を取った方がいいですよ』といった具体的なアドバイスを行っています。

ー稲荷田
なるほど、より納得してその改善方法を試してみよう!となりそうですね。

予防医療と法律


ー稲荷田
ウェルネスさんの活動の中で、法律が壁となった課題などはありますか?

ー中田
この医療ヘルスケアビジネスは、医師法、医療法、薬機法、個人情報保護法など様々な法律に関わるんです。僕たちはデータを扱ったりするので、その取り扱いを注意することが今後乗り越えていかなければならない壁ですね。

あとは広告。薬機法とか広告ガイドラインとか、どんどん厳しくなっています。正しいことを言っていても使う言葉によってアウト判定になったりするので、ウェブ広告みたいなのをあまり使わずに、お客さんに良いサービスを提供して、口コミで広げていく方法をとっています。

ー稲荷田
いろんなことに気をつけなくてはいけないんですね。

ー中田
そうなんです。あとは、予防していてもいつかは病気になって、ほとんどの人が医療が必要になると思うんです。病院とのデータ連携の個人情報保護の観点で、どのようなデータ移行が良いのかというところに法律が関わっていきます。

最後に


ー稲荷田
最後にメッセージをお願いします。

ー中田
ミッションは人の人生を豊かにすること。私たちウェルネスがやっていることは、防ぎえた死や後悔を防ぐことですが、これはあくまでも通過点にすぎません。

全員がハッピーだったと思って最期を迎えられるように、『あの時もっと早く知っていれば』『予防しておけば』という後悔をなくす。これを、熱意を持って実現していきたいです。今日はありがとうございました。

関連情報


■株式会社ウェルネス
https://company.wellness.jp/

■レガリア法律事務所HP
http://legalia-partners.com/

■勝連X(旧: Twitter)
https://twitter.com/KojiKatsuren

■勝連Facebook
https://www.facebook.com/KatsurenKoji

■Podcast「New lawyers -これからの弁護士-」
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・Youtube
https://www.youtube.com/@legalia-partners

パーソナリティのご紹介


JobTales株式会社 代表取締役 稲荷田和也

「スタートアップと社会をなめらかに繋げる」をミッションに、スタートアップやスタートアップ支援業の広報PR支援に従事。SNSや音声配信が強みで、X(Twitter)のフォロワーは1万超、100以上のPodcastコンテンツの企画制作配信の実績を持つ。新卒入社したSansan株式会社ではエンタープライズ企業や官公庁向けの営業に従事し、Web3/NFT業界に転身。地方創生NFTスタートアップの営業責任者を経て広報室を立ち上げ、Chief Communication Officerに就任。起業家の情熱や素晴らしい事業を世の中に広めるべくJobTales株式会社を創業。

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