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兵庫県の片隅にある地方IT企業が海外のアワードにノミネート!地方企業がBett Asia Awards 2024 ウェルビーイング賞に挑戦したワケとは

こんにちは。learningBOX取締役の西村です。
私たちは「世界の誰もが、いつでも、どこでも、自由に学べる未来を創る」というパーパスを掲げ、クラウド型eラーニングシステム「learningBOX」を開発している兵庫県たつの市のIT企業です。

当社は、パーパス実現の一歩として、国内外の教育機会創出に挑戦しています。そして、今年度、私たちはアジアの教育に革新をもたらした学校や団体を称える「Bett Asia Awards 2024」のウェルビーイング賞に挑戦し、光栄なことにファイナリストにノミネートされました🎉
今回は、その挑戦の理由や意義、そして私たちが目指す未来についてお話しします。

Bett Asia Awards ウェルビーイング賞とは?

Bett Asia Awardsは、アジア太平洋地域で教育に革新をもたらした学校や団体、個人を称える長い歴史を持つ名誉ある賞です。2024年10月、マレーシアのクアラルンプールで開催された「Bett Asia 2024」で発表されました。複数あるカテゴリーの中、私たちがノミネートされたウェルビーイング賞は、EdTechを活用して生徒や教師の心身の健康を向上させた個人や組織に贈られる賞です🥳

ノミネート内容

社交不安症(SAD)と向き合う現実

SNSやコロナの影響により、若者のメンタルヘルス問題に注目が集まるようになりました。社会的な場面で強い不安や恥ずかしさを感じ、否定的な評価を恐れる精神状態は社交不安症(※SAD)と呼ばれ、これを持つ若者は対人関係や学業、就職において問題を抱える可能性が高いため、医療の早期介入が重要であるとされています。
しかしながら、認知行動療法の専門家の不足や専門治療を提供する医療機関が都市部に偏在していることから、認知行動療法へのアクセスの悪さが問題となっています。

この現実に対して、私たちlearningBOXは、鹿児島大学などの大学と手を組み、インターネットを活用した認知行動療法(ICBT)の有効性を調査する臨床試験を実施しました。

※社交不安症(SAD, Social Anxiety Disorder):不安症の一つです。他人から注視される状況や社会的状況で強い緊張や不安が生じており、日常生活に支障をきたしている精神疾患です。かつては「社交不安障害」と呼ばれていました。

社交不安症状が34%減少!ICBTが若者の未来を変える

2022年12月から2023年10月にかけて、大学7校と高校1校の学生77名を対象に、ICBTの有効性を調べる臨床試験を実施。試験では、ICBTを受けたグループと受けなかったグループに分け、私たちのeラーニングシステム「learningBOX」を通じて認知行動療法を提供しました。

その結果、臨床試験開始から10週間後(介入終了直後時点)には、寛解率においてコントロールグループが38%(9名/38名)に対して、介入グループは61%(19名/31名)と高い数値が示され、ICBTが若者の閾値下社交不安症状の改善に効果的であることが分かりました。
また、learningBOXを活用したICBTからの脱落率は9%とかなり低く、介入開始から3ヶ月以内に、介入を受けた若者の社交性不安症状が平均34%減少という嬉しい報告も!

この結果が評価され、私たちはBett Asia Awards 2024ウェルビーイング賞のファイナリストにノミネート🎉
これは、私たちのシステムが教育だけでなく、メンタルヘルスの改善にも大きな力を持つことを実証するものとなりました

▼詳細はこちら

Bett Asia Awards 2024への挑戦の意義

私たちがこの賞に挑戦することになった背景には、教育とメンタルヘルスの交差点で新しい価値を生み出すという強い信念がありました。
当社が開発しているクラウド型eラーニングシステムは、企業の社員研修や学校教育など教育分野のオンライン学習をイメージされがちですが、実はもっと広い分野でも活用できる汎用性の高いシステムです。例えば、実は美術や地方創生の分野でも利活用されています。

しかし、こういった汎用性について、知ってもらえる機会がありませんでした。今回のBett Asia Awards 2024でウェルビーイング賞のファイナリストにノミネートされたことにより、対面治療が一般的に思われがちなメンタルヘルスの分野にもeラーニングシステムが貢献できることを評価いただけたことで、今後の事業展開においても大きな強みとなるはずです。

さらに、社交不安症(SAD)に対するICBTの有効性が認められたことで、私たちは国内外の教育機関や医療機関との連携をさらに強化していくことができると考えています。より多くの人々に、学びと心の健康を届けることを目指します。

このように、私たちが提供するeラーニングシステムが単なる教育ツールにとどまらず、様々な社会課題の解決にも寄与できることを示す重要な証として、今回のノミネートは大きな意義があると捉えています。

learningBOXの海外展開への情熱

私たちlearningBOXは、国内外で教育の機会を広げるため、積極的に海外展開を進めています。2016年にサービスを開始して以来、操作の簡便さと価格の手頃さを追求し、今では30カ国以上で利用されています。特に、パキスタンやフィリピンなどの新興国では、教育格差を埋めるツールとして高く評価されています

▼ジェトロ(日本貿易振興機構)に取材いただき、インターネット国際情報番組「世界は今 -JETRO Global Eye」に出演しました(7分10秒くらいから当社が登場します!)。

2023年には、英国で開催された「World of Learning Conference & Exhibition」に初めて出展し、国際的な評価を得ることができました。2024年には対応言語を18カ国語に拡大し、さらなるグローバル展開を目指しています。

learningBOXの海外展開の課題と未来への挑戦

正直なところ、グローバル展開において多くの課題に直面しています。特に、現地のニーズに合わせたサービスのカスタマイズやリソースの配分は、常に頭を悩ませる問題です。しかし、これらの課題を乗り越えるために、国際協力機構(JICA)との連携や現地からのフィードバックを活かし、サービスの改善に取り組んでいます。

Bett Asia Awards 2024 ウェルビーイング賞ファイナリストにノミネートという結果をもたらした私たちの挑戦は、教育の枠を超え、メンタルヘルスの分野にも踏み込んでいくものでした。これは、私たちにとって大きな成果です。
今後も、さらに多くの国や地域での利用拡大を目指し、現地の教育機関や企業とのパートナーシップを強化していきます!

▼この記事を書いた人

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