育成や学習がうまくいかないのは「目標に問題アリ」かも!?
こんにちは!リープnote編集部です!
部下の育成やご自身の学習など「学び」についての目標を、年初や年度初め、期初に立てられる方も多いのではないでしょうか。
そして、目標を立ててから数週間、はたまた数か月……気が付けば時間が経っているけれど、「あれ?進んでいない?」なんていうこともあったりなかったり……かもしれません。
今回は、そんな目標を立てたり見直したりするタイミングにおすすめの、インストラクショナルデザインのモデル3つをご紹介します!
ゴールと手段を整理しよう『メーガーの3つの質問』
授業や学習の設計をシステム的に行うための指針として、アメリカの教育工学研究者のロバート・メーガー(Robert F. Mager)が、次の3つの質問の重要性を示しました。
1. Where am I going? (どこへ行くのか?)
2. How do I know when I get there? (たどりついたかどうかをどうやって知るのか?)
3. How do I get there? (どうやってそこへ行くのか?)
1つ目の質問はゴールそのもの、2つ目の質問はそのゴールを達成したかを確認する方法、3つ目の質問はそのゴールを達成するための手段が、それぞれ明確に設定されているかを問うものです。
目標に向けた取り組みがうまくいかないとき、これらの3つの要素があいまいであったり、整合性が取れていなかったりする場合があります。
目標を立てる際やその進捗を確認するとき、ぜひこの「メーガーの3つの質問」で状況を整理してみてはいかがでしょうか。
目標達成を確認する仕組みをつくろう『TOTEモデル』
次にご紹介するのは「TOTEモデル」です。さきほどのメーガーの3つの質問の2つ目の質問にも関連しますが、TOTEモデルは、ゴールや目標に向かって進む際に、常にそれらを達成したかを確認しながら進めることを図式化したモデルです。
ある作業を行う前に、まず、すでに目標が達成されているかどうかをチェックし(Test)、すでに達成されている場合は作業をしないで抜け出す(Exit)、目標が達成されていないことが判明したら、その目標に向けてある一定量だけ作業を行い(Operate)、再び目標が達成できたかどうかをチェックする(Test)という、Test→Operate→Test→Exitのフローの頭文字をとって「TOTE(トート)モデル」と言われています。
(参考:研修設計マニュアル~人材育成のためのインストラクショナルデザイン 鈴木克明著)
ご参考:何度もチャレンジすることがかっこいい!そんな社風があなたの会社にはありますか?
目標に向けた取り組み(手段)をあれこれ試行錯誤する前に、まず、そもそも「今できているの?できていないの?」ということを確認しましょう、そして学習が進んだらその都度確認しましょう、というのがこのモデルのポイントです。
必要な要件を“Test”として段階的に設定しておくことで、目標達成までに何をできるようにすべきか、何をすべきかが明確になりますね。
目標を具体化しよう『学習目標の明確化の3要素』
さて、ここまで「メーガーの3つの質問」「TOTEモデル」を紹介してきましたが、結局、目標やら評価方法やらどうやって明確にすればいいの?という方も多いはず。
そんなときに役立つのが『学習目標の明確化の3要素』です。目標の焦点を絞るための3つの要素を示したもので、このモデルもロバート・メーガーによって提案されています。
1. 行動で目標を示す(「理解する」「覚える」などのあいまいな動詞はNG!)
2. 評価の条件を示す(どんな場面で、何を使ってその目標を達成できればよいかの条件)
3. 合格基準を示す(テストの点数やチェックリストの該当項目数、所要時間(「1分以内に動作を完了で合格」など)の基準)
この3つのポイントを押さえて目標設定すると、おのずと評価方法も含めて目標を考えることになるので、目標や評価方法の明確化に役立ちます。
ご参考:部下の行動が変わらないのは目標設定の仕方が原因? “ふわっとした目標”を具体的にする3つのチェックポイント
おまけ:『学習成果の5分類』
学習目標の明確化についてより詳細に知りたいという方は、『学習成果の5分類』というモデルに、目標の種類に応じてどのような行動目標を設定すべきか、どのように指導や評価をすべきかがまとめられています。以下の記事でご紹介しておりますので、こちらもご参考にしてください。
目標設定のコツは“評価方法”を考えること
いかがでしたか?
3つのモデルのいずれにも共通していたのは、「目標を達成したかをどうやって確認するのか」「何ができたら合格か」を具体的に設定することでした。
インストラクショナルデザインの第一人者である熊本大学の鈴木教授も、まずテスト(評価方法)を作ることを推奨されていて、たとえば営業担当者の商談スキルにおける「顧客視点の提案ができるようになる」という目標に関して、次のように述べていらっしゃいます。
「顧客視点の提案ができる」という学習目標もそれと似ているところがあり、“顧客視点”の解釈が一人一人違っている可能性があるわけです。そうならないために、一体何ができたら顧客視点といえるのかを具体的に掘り下げて、行動として表れるレベルに落とし込んで認識を合わせていく必要があります。
認識の合わせ方としてよく使うのが、できている人(学習目標に達している人)とできていない人(学習目標に未達の人)をどうやって見分けるかという評価方法に着目する手法です。
“顧客視点”と一言に集約された技能において、ハイパフォーマーとそれ以外の人との違いが、どのようなところにどんなふうに表れるのかについて、場面や行動のパターンなどの観点で具体化していくことで、評価のポイント、ひいては学習目標が明確になってくるのではないかと思います。
(熊本大学 鈴木 克明教授 インタビュー『企業の研修設計における学習目標の明確化』第1回 より)
評価方法を明確にして合格基準を具体的に設けることで、目標自体や、その目標を達成するために何をすべきかについても明確にしやすくなります。
今回ご紹介した目標設定に役立つモデルをぜひ、効果的・効率的な育成や学びのヒントにしていただければと思います!
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