私とIDとの出会い ~“学び”ともう一度向き合う~
こんにちは、リープのハイジです。
突然ですが、皆さんは勉強が得意ですか?
私は勉強という言葉を聞くと少しどきっとします。
どちらかというと学生時代の勉強の苦い思い出が呼び起こされるからです。
そんな私ですが、数十年の勉強に対する葛藤と紆余曲折の末、ご縁あってIDに携わるリープ株式会社に入社しました。
ID=インストラクショナルデザイン、つまり教育における学びのデザインですが、こんな勉強に苦手意識のある人が人の学びをデザインするの?と思われるかもしれません。
しかし、苦手だからこそ、苦しむ人の気持ちがわかると思っています。
そして、私と同様、勉強に対して苦手意識があるような方にも、IDを通して学びと良い関係を築きながら、一緒にプチトラウマを乗り越えましょうとお伝えしたく、この記事を書いています。
◇ 勉強への苦手意識が加速した学生時代
私は学生時代、授業で先生が話す内容を理解するのにとても苦労しました。
基本的なことを教わって、その場で練習問題を解く時間は特に苦手で、他の生徒と違って大抵手が止まっていました。家に帰って何周かテキストを解いて、数か月後にようやく納得し始めるくらいでした。
その数か月間の最初の手応えのない期間にテストが来てしまうと、結果は芳しくなく、そこから苦手意識を持っていました。そして、母親から勉強が得意な兄とよく比べられていたことも、その苦手意識を加速させていました。
学生時代は勉強から離れられませんが、本当に勉強から解放されたくて仕方
がなかったです。
さて、ご存じの通り、社会人になっても私たちは一生、勉強あるいは学習から逃げられません。
新卒として前職場に入った私は、初めから講義研修三昧で、結局学生時代と変わらずお勉強からは逃げられないことを、諦めとともに悟りました(今思うとたくさん研修をしていただけてありがたかったです。そして楽しい研修もありました)。
学習内容をすぐに理解できなかった私は、色々試して失敗したり怒られたりしながら強烈に自分に体験学習させるという、やぶれかぶれで進む学習スタイルを自然と身に付けてしまいました(周りに被害を及ぼす可能性もあるのであまりおすすめしません)。
◇ 大きな転換点
そんな私の勉強に対する意識の転換点は、29歳の時に経験した海外赴任でした。
もともと職場の研修制度もあり、赴任の打診を受ける前から英会話教室に通っていました。赴任の承諾をして本格的に英語の勉強をする必要に迫られたものの、引き続きただ英会話教室に行くのみで、上達は実感できず漠然とした焦りだけを抱えたまま、あっという間に着任の日を迎えました。
実際に現地に着いてみたら、案の定、完璧に打ちのめされました。
職場では、さまざまな国の同僚たちがそれぞれの国のアクセントで英語をぺらぺらと話します。私はいつボールがこちらに飛んでくるのかひやひやし、ついに話を振られた時には緊張と焦りから訳の分からない話をしてしまい、日ごろよくしゃべるチームの人たちを希少な沈黙状態にさせてしまいました。
たくさん恥をかいて、「なんでもっと勉強しておかなかったんだろう……苦手なんて言う前に、“やらなければ明日死ぬ”、くらいの気持ちでもっとやればよかった」と自業自得ですがどうしようもないことを考えたりもしました。
幸い、そんな私のことも見捨てずにコミュニケーションを取ってくれる同僚に恵まれました。みんな優しく、それぞれ私に多くを教えてくれましたが、英語学習の観点で特に印象に残っているのは、とある東欧の国から来た上司です。
その上司は、頭の回転がものすごく早い人でした。基本的に早口で話すにもかかわらず、彼女の話は、とても簡潔でキレイでわかりやすかったのです。話が「キレイ」とはどういう状態か言語化が難しいですが、とにかく彼女の話はもはや美しいと思えるほど論理的で、私は「コミュニケーションはアート(技)」だと感じました。
彼女との出会いによって、私は「英語ってくっきりしたきれいな言語だな。こんな風に英語が話せるようになりたい」という具体的な目標像を得ました。
私は、その上司の発言をこっそりメモして、文章の構成を研究してまねしてみたり、必要な語彙のレベルを考え、単語を少しずつ蓄積していったりと、具体的な学習メニューを意識するようになりました。
今思えば、彼女のように話せるようになるには基礎的な英語力以外にも、会話を理解しすぐ発言内容を組み立てる能力など、長年彼女が培ったスキルも必要なので、目標というにはあまりに手の届かない理想も理想であったかもしれません。
ですが、少なくとも心から「彼女みたいに話すにはどういう練習をすればよいのだろう」と真剣に考え、必要なスキルの要素を洗い出し、自分なりに練習する学習プロセスを考えるきっかけをくれた人でした。
結果、海外赴任の2年間では到底彼女のような英語を美しく論理的な構成で話すスキルを得られたと言える状態にはなりませんでした。しかし、「学び方を自分で設計することで、私でも勉強が続けられる」ということを体感できた貴重な経験でした。
◇ 振り返って感じた、「学習目標設定」の大切さ
勉強が苦手であった私がこのようになれたのは、後から思えばIDでいうところの「学習目標=具体的な学習のゴールを決める」という点と、「学習を構造化する」という点にあったと思います。
それまでの私の英語学習の方向性は、漠然と「ミーティングで意思疎通が困らないように話したい」くらいのもので、考えなしに単語の勉強や会話をその時の気分でつまみ食い的に勉強していて、上達しているのか、今自分がどのレベルにいるのかもわからず、そんな霧のなかを歩くような感覚で、やっていても辛いものでした。
もっと早くから具体的な学習目標を決め、本気でそのプロセスを考えていればこんなにだらだらと膨大な時間を無駄にせずに賢く勉強出来たのに……とは思いますが、30歳手前で遅ればせながら気づけてよかったと思っています。
◇ リープに入社して待ち受けていたコト
そんな勉強に対しての気づきを経て、「学ぶってなんだろう」と思っていたところ、帰国して1年足らず、ご縁があってリープに入社しました。
リープでは、入社後すぐにIDに関する研修があります。
お客様への質の高いサービス設計をするためのID理論を学ぶと同時に、なぜ自分が勉強に対して苦手意識を感じていたのか、それを取り除くために何ができるのか、自分はどうなりたいのか。
自分の勉強への向き合い方を、IDを用いて一つ一つ紐解き、自分の学習をリデザインする機会を得ています。
以前リープのとある先輩に「机に座ってするいわゆる”お勉強”が苦手なんです」と話した際、先輩から「文章を文字で理解するのが苦手なら、Wordに入れて音声読み上げするという方法があるよ」「他の人を巻き込んで一緒にやると、自分のモチベーションだけに依存せずに学習する環境ができるよ」という、まさに自分に必要なアドバイスをたくさんもらいました。
IDでは、学習者の好みや背景を踏まえて学びのデザインをします。
人は生涯学ぶ生き物と言いますが、学習者である自分との付き合いは一生続くものです。それならば、腹を括って少しでも自分を上手にコントロールしながら学べるような環境をIDで設計することで、「学びと仲良くしたい」と思うようになりました。
相変わらず、ルールを覚えたり、教科書を理解したりするようなことは人より時間がかかりますが、私にとって学習は以前と比較して苦痛ではありません。IDと、学びをサポートしてくれるリープの同僚・環境のお陰で、少しずつ私は勉強と「和解」をしはじめています。
◇ 私たちは、自分で自分の学びをデザインすることができる
机に座ってする勉強だけでなく、家事、趣味、健康管理、資産形成、仕事探し、人間関係に関する学びまで。
誰みたいになりたい?
どんな風になる状態を目標にする?
どんな道筋で学ぶ?
私はIDと出会ったばかりですが、自分を攻略しながら、これからもリープでID=教育における学びのデザインを学びつつ、人生で起こる様々な学びの体験をデザインし、目標を追う過程を皆様とともに楽しんでいきたいと思っています。
Written by ハイジ
リープ株式会社 コンサルタント
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