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June 23

「内定取り消し」

久しぶりに見たこの言葉。
数年ぶりにTwitterのトレンドになっていて、心配の声や内定取り消しをした企業を訴えた方がいい等、取り消しを受けた方へさまざまな思いやりが届けられている。
でも、私は思ってしまった。

「私の時も普通にあったけどな。」

こう思った瞬間、やばい…感覚が麻痺ってんな。と思った。

2020年4月

緊急事態宣言が発せられ、大学もバイト先もお休みになった。
それでも、就職活動は水面化で動いていて、面接はリモートに移行していったのもこの頃だった。

2020年7月

世間は徐々にコロナ禍に適応しようと努力を続けつつあったが、就職活動に衝撃が走る。
そう、大手航空会社2社が採用中止を発表したのだ。
選考を受けていた訳ではないが、衝撃だった。あの会社が…?と。
友達と顔を合わせれば、自分が受ける業界は大丈夫なのかな…と不安を募らせていた。
こういうときの不安は大抵当たる。これを皮切りに他社(業界問わず)でも採用中止をする企業が続々と出た。
3次選考の日程調整待ちをしていたら、「採用を中止することとなりました」という連絡がきたこともあった。
不戦敗が1番悔しい。選考がちゃんと続いていたら、この企業で働けてたのかな?って考えちゃう時もしばしば…。(今はもうあまり思わなくなったけど)

それでも、コロナ禍における就職活動は続く。

IT企業の選考を受けたり、教員の道もギリギリまで視野に入れていたり、どうにかして職を手に入れようともがいていた。
そのもがきのお陰なのか、コロナ禍でありながら内定は5社ほどいただいていたが、そのうちの1社から内定取り消しを受ける。
後出し感に違和感を覚えたけど、怒りはなかった。だって、コロナ禍。仕方がない。
それに、同じように内定を取り消された人、採用を中止された人がいるのを知っていたから、そういうもんなんだ。って思ってた。

2023年6月

再び「内定取り消し」の文字を見る。
前述のような体験があった私は、この文字に慣れてしまっていたんだと思う。だから、「私の時もあったけどな」とどこか冷めた目で見ていた。でも、私が体験したあの1年間は異常だ。

20卒の内定取得率は8割を超えていたため、21卒もかなり就活がしやすいと噂されていた。おまけに早期選考の波が押し寄せ、2020年1月時点で内定をもらっている強者もいたほどだ。
それがコロナによって奪われたに過ぎない。そう、あの頃は普通ではなかった。緊急事態宣言が発せられるほどに。

そう気づけて良かったが、気づけていなかったら忌み嫌われる者たちのように「自分達の頃はそれが当たり前だった!だから、耐えろ!」って言ってしまってたかもしれない。(はー、危ない)

振り返ると…

私は同級生と同じように新卒スタートを綺麗にきれた訳ではない
当時は絶望でしかなかった。
私だけがなぜ?もっと早く就活始めてれば良かったのかな。とコロナ禍のせいにすれば良いのに自分を責めていた。

友人や知人に会うのが怖かった。
「今、なにしてるの?」と聞かれるのが嫌だった。新卒と呼ばれる年なのに、なにもしていない私は自分に対して、存在価値が見出せなくなってしまうから。

「次はどうするの?」という言葉や視線が怖くて、痛かった。
自分ですら先が見えていないことが分かっていたから。

自分に対する「これからどうしよう?」の問いが苦しかった。
このままこの状態が続いたら…と思うと睡眠もろくにできず、泣いてばかりだった。

このことを振り返ると、今の自分にとって必要なことだったと思う。
就活の定番の質問「挫折経験は?」が思い浮かばなかったほど順調だった人生に、重みを与えてくれた経験。(もうしたくないけど笑)

そして、当時の私を支えてくれた姉の言葉は、今でも大切に心にしまってある。

「人生のお休み期間だね。ずっと真っ直ぐ歩いてきたんだから、ちょっと座ったら?」

「会いたい人に会って、たくさんの人の話をきいて、充電しなよ。そしたら、次に行きたいところが見つかるよ。」

当時はめちゃくちゃ辛かったし、今この話を友達に出来るかって言われたらまだ時間がかかるかもしれないな。
けど、必死にもがく経験をあの時できて良かった。あれほど辛いことはないからと思うと、大変なことが降りかかってきても大丈夫。ずっと何かしていないといけないなんてことはない。

忙しなく動き続ける世の中で、足を止めると置いてけぼりにされたような寂しさを感じる。
けど、大丈夫だよって伝えられる人間になれたと思う。私はこの経験を、この思いを、辛い思いをしている人に届けたい。

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