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アプリで出会って、恋をして【9】

アプリに登録すると、自分の価値観を公開できると前記事で書いた。
価値観の他にも、結婚への意思、子育てへの意思、初デートは割り勘か、男性が全て払うか、と言った質問に答えることが出来、その返答をプロフィールに公開する。

のだが、
実際にこれは本音で書いてるものなのだろうか…?

私もハレさんも、結婚に関しては「良い人がいればしたい」と書いてあるが、やっぱりパートナーになればそんな事を夢見たりする訳で。

いつかは…。と何気なく期待してしまったりする。人の欲は際限なく湧いて出てくるものだし。

付き合う前から、ハレさんはこんな質問をしてきた。

「2、3年以内に結婚したいとかある?」

私は戸惑った、結婚という制度が形骸化しつつある世の中で、日本だけはまだ社会において重要視されている。
したくないといえば嘘になるけれど、扶養とか、遺産とか、そういう物を理由にした結婚なら、正直したくない。
良い大人が言うものでは無いが、結婚は家族を育むものだから"愛"あればこそするべきだと思うからだ。

そんな事を思ってる内は、まだまだ結婚など夢のまた夢なのだろう……トホホ。

他にも質問はあった。
「今後、どんな生活がしたい?」

なかなか的を得て答え辛い質問をしてくるものだと思った。
「そりゃ、生活水準は高ければ高いほど良いのかもしれないけれど、私は毎月エ●メスのバ●キンを買ってくれるより、愛情が欲しい。大切にしてほしい。
子供が出来たら、早いうちに留学に行かせたいからそっちにお金を使いたいと思う。」

私は人一倍寂しがり屋だ。家庭の事情もあって、愛情や人の暖かさに触れる事は殆ど無かった。
かつては恵まれた生活もしていたけど、寂しい思いで一杯だった。

100万のバッグより、私だけに向けられる愛情が欲しい、と常々求めていた。
応えてくれる人は居なかったが…。

正直、アプリで会ったばかりの人に言う事でも無いし、もっとぶりっ子すればいいのにとも思ったが、敢えてこう言えば引いてくれるだろうと思っていた。

「愛情注ぐことしか今は出来ないけど、オレ、そのポジションに立候補してもいいかな?」

屈託ない笑顔で、ハレさんはそう答えた。
引かず、私の温度に合わせるでもなく、本音でそう言ってくれてるのだと分かった。素直に嬉しかった。

「あ、でも夢はあって、婚約指輪はハリー●ィンストンが欲しい。」

そして私の天邪鬼ぶりである。

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