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二番目に古い記憶 | 父とのこと #1 ver.2

覚えているのは、

ごはん茶碗がこたつ布団の上をころがったこと。
大泣きしてたわたしが息を飲んだこと。


「泣けば何でもしてもらえると思うなよ!」
…というような言葉。


たぶん初めて?その人に叩かれたこと。

そのときからわたしは、父を好きではない。


たぶんそれまでは、好きだった、と思う。覚えてはないけど。


まだ幼稚園には行っていなかったと思う。
わたしの、二番目に古い記憶。


***


わたしは驚いて母を見た。

そのとき母は、台所で洗い物をしていた。


母は、気づかないふりをしていた。

向こうを向いたままだった。

洗い物の水音が続いていた。

この人は、こういうときに助けてくれる人ではないんだ。
と思った。


ショックだった、のは覚えている。

そのときの自分の感情は、記憶にない。


***


ごはんを前に、大泣きしていたあのとき、
わたしは何かが悲しくて泣いていた。

何が悲しかったのか、は、もう覚えていない。

何かが悲しくて泣いていた。

泣いていた理由、は、
その気持ちをはねのけられたショック、で、記憶から飛んでいってしまった。

悲しくて泣くわたしを叩く人。

好きと感じられなくて、当たり前だ。


わたしは、父を、好きでなくて、いい。


よね?

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