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『自分ごと化会議in 月ヶ瀬』。始動しました。

皆さん、こんにちは。
住民交流&地域課題解決型ワーケーションの拠点『ONOONO(おのおの)』で、
今年の2月以降Local Coop 月ヶ瀬プロジェクトに携わっている広報担当石見です。
https://onoono-nara.jp/

こちらでは、「Local Coop 月ヶ瀬プロジェクト」での取り組みについてお話していきたいと思います。
初回は、かなり長いので、気になったところから眺めていただけたら嬉しいです。

Local Coop構想とは


2040年までに約半数の自治体が消滅、と予想されたのが2014年。※1
震災以降、さらにコロナ以降、ふるさと回帰・田園回帰の流れが出てきているとはいえ、地方の人口減少、高齢化は進行し、それは都市部でも例外ではない状況です。
人口減少フェーズに入った日本の中でも、月ヶ瀬をはじめとした奈良市の東部地域は、高齢化が進行している課題先進地域です。(高齢化率:奈良市全域31.6%、東部地域44.3%。全国平均は2021年で29.1%)
人口が減少すれば、税収が減っていき、かつ高齢化が進むと社会保障費が年々上昇し、自治体の財政基盤はかなり厳しい状態になり、これまでのように、公助(行政)に多くを頼ることができないのは、どの地域でも直面している課題ではないでしょうか。
歳入が減少する中で歳出の増大をカバーするのは限界があり、一方で市場経済は万能ではないので、取りこぼしが増え、真ん中に大きな穴が開いていくのです。

「自治体や国がやることに過剰に期待したり、文句を言ったりするのではなく、民間企業に丸投げするのでもなく、自ら立ち上がり、共に考え、汗をかきながら、地域に残す未来のための意思決定を自ら行っていく「住民共助による自治機構」を目指します。」(NextCommons Lab共同代表 林篤志 氏)
詳細は以下
https://note.com/nextcommonslab/n/n8b69c8f313e1

この構想のもと、地域住民や団体の支えあいと、行政・民間との“連携”で、住民一人ひとりの暮らしと生きがいや地域の豊かさをともに創っていく持続可能な地域社会の構築を目指した奈良市の取り組みが、「Local Coop月ヶ瀬プロジェクト」です。

約半年の現地での取り組み


プロジェクト開始にあたり、まずは地域の方々が地元のどんな点を誇りに思い、どんな未来を創りたいとお考えか、何にお困りかなどを明らかにすることが前提です。そのためにも、よそ者の私たちが、現地の方々と対話する機会をできるだけたくさん作るために、こちらからの訪問に加えて、できるだけご来場いただける機会を増やしたいと、活動してきました。

3月10日のオープン以降、主催イベントを何度か開催、またご希望があった地域の方々のサークル活動や紅花染のワークショップなどにご利用いただけるように取り組みを重ねてきました。
現在では、月ヶ瀬や近隣在住の方々が自らイベントを主催するプロジェクトが発足し、住民の方々が主体的にかかわってくださるシーンも増え、徐々に地域の方々の交流拠点として浸透しつつあります。
来館者数(延べ人数)も、7月末までで約までで約1000 人の方にご利用いただくまでになりました。(10月5日までで、1,480人)
首都圏から参加の梅ワーケーションのテスト、親子ワーケーションを実施した際はもちろんのこと、日ごろから地域の方々には多大なるご協力をいただいており、現地メンバー一同日々感謝しながら任務にあたっています。

ONOONOでの利用者の様子

「自分ごと化会議 in 月ヶ瀬」始まる


ONOONOオープンから約5か月後の8月2日(火)19:30 ~21:30ONOONOにて
プロジェクトの推進していくため、地域の課題を抽出し、その解決策を住民の皆さんが、主体的に「自分ごと」として捉えていただく機会を創出するために、「自分ごと化会議 in 月ヶ瀬」の第一回が開催されました。

自分ごと化会議とは?


一般社団法人構想日本が主催する行政への市民参加の手法です。
http://www.kosonippon.org/project/jibungoto1/

目的は、
身近な問題を政治・行政任せにせず、住民自らが自分事として地域の状況を知り、意見を出し合う。
行政の取り組みについて、具体的に考え、課題解決を目指すこと。

基本的なポイントは3つ
1)参加する住民の選び方が無作為抽出
・住民基本台帳や選挙人名簿から、無作為に抽出した住民に案内を送付し、応募のあった人が参加者として参加する。
2)地域の課題について、生活から見える現象をもとに住民間で議論
3)「個人でできること」「地域でできること」から考える
・行政や各種団体への要望に終始するのではなく、課題解決のためにまずは自分たちでできることから考える。
・「言いっぱなし」で終わらないように、参加者は具体的な課題とその改善策を記入する。

高い参加率に見る、地域への意識の高さ


 ・無作為抽出による対象者のうち、応募率は平均3.8%。(最高は10%越え、最低は1%を切る)
平均より低かったらどうしよう・・という企画側の危惧とは逆に、今回の応募率は5.6%とかなり高い水準で、住民の方々の地域への意識の高さに、一同期待ほっと胸をなでおろしつつ、当日の盛り上がりへの期待を高めました。

月ヶ瀬+奈良東部地域・伊賀市~行政の垣根を超えた大和高原からの参加者


 奈良市の東部エリアは月ヶ瀬同様、高齢化の進行、公共交通の不足など課題も似たところもあるので田原や柳生、都祁など東部地域の方々も対象としました。
今回は、伊賀市からも参加いただいたのですが、買い物や高校進学など実は奈良市街地よりも伊賀の方をよく利用されており、生活圏が行政区を超えている実態があります。
LocalCoop月ヶ瀬も、行政区を超えた大和高原全体で取り組んでいくことも視野に入れ、広範囲のエリアの方々を対象としました。
 

2つのテーマ設定


LocalCoop構想を念頭に入れ、現在顕在化している課題と、肝となる共助意識の醸成を目指し、参加者を2つの班に分け、それぞれのテーマについて会議を進めていただくこととしました。
A:共助・地域コミュニティの力を活用した「ヒト・モノの移動」に関する地域課題解決
B:共助・地域コミュニティを強化する手法

初回登壇者と会議の内容


第一回目は、二部構成
第一部は、今回の目的共有や取り組むべき課題の背景となる資料を、3名の講師からお話いただく形でインプット。
第二部として、参加者の自己紹介とテーマに関するご意見をいただきました。

当日の登壇者
①    開会あいさつ:仲川げん市長
②    第二の自治システムLocal Coop~共助社会の必要性について~:一般社団法人Next Commons Lab代表理事 林篤志氏
③    自分ごと化会議とは:一般社団法人構想日本統括ディレクター 伊藤伸氏
④    奈良市東部地域の共助・地域コミュニティの現状と会議テーマ:月ヶ瀬行政センター地域振興課長 西浦雅国


仲川げん市長
一般社団法人Next Commons Lab代表理事 林篤志氏

①    オープニングは、仲川市長のあいさつ。市街地から遠路来館されてのコメントから、当プロジェクトへの意気込みの強さが伝わります。

②    林代表理事からの共助社会の必要性についての講演は、ともすると難しい構想を、具体的で平易な言葉で本当にわかりやすく語っていただけたので、ここ月ヶ瀬でもLocalCoopに関する理解が深まるきっかけになったのではと感じました。共助の事例として出していたイギリスのピープルズスーパーマーケットの例は、「すごくいい!」と参加者のアンケートコメントでも高評価で、具体的なイメージが伝わったのではと思います。
https://greenz.jp/2013/08/06/the_peoples_supermarket/

③    自分ごと化会議については、基本的な考え方や今後の流れ、実施事例について紹介いただきました。
無作為抽出で選ばれることで、これまで行政に声を上げてこなかった方たちから広く意見が募れること、自分ごと化していく仕組みにより、先行して実施した参加者の間でOB・OG会が結成され、解決策の具体化に向けて住民が立ち上がっている例などが紹介されました。5回の会議が終了した後、ここでもそんな動きが起こるといいな!と期待しています。

④    奈良市東部地域の現状について。具体的なデータを用いて、実は、自治体加入率が高く、共助・地域コミュニティが比較的強固である、生活環境課に関する満足度が高い、一方過疎化や高齢化により、将来コミュニティが機能低下していく恐れや、「モノ・ヒトの移動」(通院・買い物の送迎などに関する不安)という地域課題などが紹介され、共助を強化していく必要性についての前提が共有されました。


参加者自己紹介。

いよいよ第二部。
配置を椅子の配置を変えて、ABチームそれぞれ円を描くようにして着席。
参加者全員の方に、
月ヶ瀬やお住まいの地域の魅力・好きなところ、
Aは移動について/Bコミュニティについて、それぞれ語っていただきました。

当日は18歳から80代まで男女問わず幅広い層にご出席いただきました。
遠い方では車で山道の中30分ぐらいかかる方もいらっしゃるのに、おいでいただくだけでもありがたい!(自分だったらここまで参加したかどうか。。)

熱量を持った参加動機について、また住民の方々のリアルな課題を、お一人お一人のお声で具体的にお聞きすることができ~月ヶ瀬地域でのコミュニティの活発さを語る方がいる一方、女性のコミュニティが実はないというお話が出たりなど~私たちスタッフにとっても地域の課題に対する解像度が上がり、とても貴重な機会となりました。

事後アンケートでは、改善点に関するコメントに加えて
「選ばれたので東部地域を盛り上げたい。」
「自分の言葉で自由に意見を言い合うことで、地域を自分で作っていく視点を養うことにつながった」「こういう人の気持ちがいろいろなことを変えていくのだと感じ感動しました」
無作為抽出で選ばれた方々だからこそ、普段は向き合えない地域課題に参画する機会に対してポジティブにとらえるご意見をいただきました。

会議が終了した後も、残って仲川市長と歓談をされる方も多く、今後の発展が楽しみな初回となりました。

※1自治体の「日本創成会議」人口減少問題検討分科会が、2040年までに全国約1800市町村のうち約半数(896市町村)が消滅する恐れがある、と発表した(14年5月)。


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