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限界を決めておくこと

『デュアルキャリア・カップル』と題された本を読んでいる。要は、共働き家庭のことだ。

共働き家庭が、うまくいくためにはどうすればいいか。いくつもの事例とともに、箴言のような言葉がいくつも現れ、どれも納得できる。そして、今後も日々、家庭の中の課題は変わっていき、私も他人事ではなく、それを解決していかなければならない。

「話し合い」が大事、本書も、おそらく多くのアドバイザーも言いたいことはそれに尽きるのだけど、まずどういうことを話せばいいのか。

たくさんの話すべきことが書いてあるが、そのなかで「限界」について書かれていた部分に特に心ひかれた。

限界。はっきり限界を決めておくことで、不確定要素が減り、意思決定が容易になる。3つの限界を決めておくと非常に役に立つ。地理的限界と、時間的限界と、在・不在に関する限界だ。

『デュアルキャリア・カップル』p67.

海外の著書だから、というのもあるけれど、自分がやりたい仕事ができる場所はリモートワークの時代とはいえ限られる。もちろん、子育てを優先して、子どもの教育に良い環境を選ぶという道もある。お互いの故郷が違う場合、本社や仕事場が違う場合、どこまでそれをすり合わせ、納得した場所で働けるか。
同時に、キャリアを築くにはたくさんの時間が必要となる。必要以上に時間をかけたくないかもしれないし、その先を考えると時間が必要なときもある。また、出張・宿泊を伴う仕事、家を離れる期間が長い仕事もあるかもしれない。そのとき、どの程度まで、ワンオペができるのか。

限界を決めておくことは、選択肢を狭めることにつながるけれど、選択肢が少ないほうが、選ぶのは楽になり、満足しやすいものになる、という。

お互いの価値観や不安について、話し合うことは多いと思う。でも、「限界」はどこか、ということについては、特に若くて、一緒になったばかりのときに、それを想像し、話し合うことは難しい。一緒にいれば、なんでもできそうな気がするし、なんとかなりそうな気がする。でも、そんなに共働きの人生は甘くない。

限界を決めて、不確定要素を少なくすること。自分の限界や、先々の限界を想像するのは難しいし、自分だけでは判断できないこともあると思う。色んな人の話を聴いたり、アドバイスをもらったり、それぞれ持ち寄ったアイデアを話したり。そうやって決めておいた限界は、いつかお互いの生活を守るセーフティネットになる。

限界を超えて働くことも、育児をすることも、オススメしたくない。うまくいってるように見えるカップルもきっとどこかで限界を見定めて、それを超えないようにして、仕事と生活を楽しんでいる。

自分はどうだろうか、と振り返り、今ならわかる、ということがたくさんある。無理をして自分の体を壊した。限界を超えて離婚していったカップルを何人も見た。本当は社会のほうが変わっていく必要があるのかもしれないけれど、自分のキャリアも子どもの成長も、社会の変化を待ってはくれない。

全部手に入れたい、全部やり遂げたい、は難しいし、なにかが犠牲になる。
限界を決めることは、なにかを諦めることではないし、犠牲になるものを守るための行為だ。自分も犠牲にしてきたもの・ことを考えながら、そんなふうに感じている。


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