動き続けることを教えてくれる。
日記を書くということについて、ニューヨーク在住のライター、佐久間裕美子さんの新作『My Little New York Times』にこう書かれている。
「これまでの44年間に、日記を書く、という作業に何度もトライしながら、成功したことは一度もない。けれど今、自分に必要なことはそういうノックを打つような作業だ。その中で起きていることと、自分の生活を並行させながら。」 (『My Little New York Times』p4)
日々更新されている佐久間さんのマガジンも読ませてもらっているが、「2017年〜2018年」を切り取り、一連の流れで振り返ると、今生きる時代に対して一種の感動が生まれる。
佐久間さんの軽やかなのに深みのある言葉を読み進めていくと、あの一年、アメリカで起きた出来事に自分がどう反応したかが蘇ってくる。
「あれはびっくりすぎた」「本当に腹が立った」「無力感に襲われた」「少し考え方が変わった」「今のアメリカで数少ない嬉しいニュースだった」など。
そして、その時の考えや気づきを、私自身どこにも書き記していないことを少しもったいなく感じた。
誰かに読んでもらえないから、というよりも、どんどん忘れていってしまうから。動けば、忘れる。
もともと記憶力はあまりよろしくない。高校時代の話とか、友達が覚えていることをほぼ忘れている。
当然、2017年のこと、2018年のこと、日本とアメリカを行き来しながら考えていたことが泡のように消えている。
動きながら、残していく。残しながら、動く。
それが理想。
* * *
ジャーナリズムのバックグラウンドがない私に社会問題をスマートにまとめる能力はないけれど(日本語ボキャブラリーの少なさも問題)、日本に住み、時々アメリカに帰りながら、いつも思っていることをポツポツと綴っていくことはできないだろうか(誰に聞いている)...。
5年前にNYから東京に引っ越して強まったアイデンティティのこと、大人になるまで暮らしたアメリカに「外の目」を向けられるようになったことも含めて、ここ数年、猛スピードで変わっている様々な思いに、言葉を当ててみたい。
日本とアメリカの「狭間」から抜け出すことはおそらく今後もないだろうとこの際受け止めて、日本も好き、アメリカも好き、そして時々love-hateになる、その目線で少しずつ書いていきたいと思う。(どう受け止められるのかがいつも心配だけれど)
* * *
いつも世界のどこかから飛んでくる佐久間さんの文章は「動き続けるんだ〜!」と、本当はもっともっと動きたい私に力をくれる。
『ヒップな生活革命』も『ピンヒールははかない』もブンブン頷きながら読み倒した。「Yes! That's exactly it!」と。
もったいないからチビチビ読みたい『My Little New York Times』も、また一気に読んでしまうだろう。
あ〜。旅がしたい。
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