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アメリカにはフェラチオを禁止している法律がある

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014年)では、コンピューターの基礎を作った天才数学者アラン・チューリングが、ドイツ軍の暗号機エニグマを解読する過程が描かれる。

また、チューリングが同性愛者として有罪判決を受け、ホルモン治療を受けた後、1954年に自殺したことも描かれている。

イギリスで同性間の性行為が合法化されたのは1967年であり、そのため本作を観ると、チューリングが生きた時代は、同性愛者は犯罪者とされていたことを知ることになる。

各国のソドミー法

LGBT(性的少数者、セクシャルマイノリティ)の権利が主張され、同性結婚の合法化も進む今からすると、このイギリスの法律は時代遅れに映る。

このような特定の性行為を規制する法律をソドミー法というが、日本の刑法にはソドミー法はないし、過去にもなかった。

そのため、LGBTの権利尊重の流れは、イギリスのようにソドミー法によって同性愛が法律で禁止されていた国と日本では、受け止め方が違うのだろうなと感じる。

日本では、同性愛は、マイノリティとして恥ずべき存在、もしくは隠し事、さらに差別の対象でもあったと言えるが、だからといって同性愛者というだけで逮捕されたわけではない。

しかし、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』のチューリングは、同性愛者というだけで逮捕、犯罪者となる。そして、ホルモン治療まで強要される。やはり、日本との違いを感じる。そのため、過去に、もしくは現在もソドミー法がある国にとっては、LGBTの権利尊重のいうのは、非常な画期的なことなのだろうと感じるのである。

こういったソドミー法は、イギリスに限った話でなく、世界中の国にある。過去にあった国もあれば、現在も存在している国がある。

ソドミー法の規定は、同性間のセックスに限らない。動物との性行為を禁止する法律もあるし、妊娠を目的としないセックス、例えばフェラチオやクンニリングスといったオーラル・セックスを禁止している法律もある。

15のアメリカの州法ではオーラル・セックスを禁じている

例えばアメリカでは、現在も15の州の法律、つまり州法でフェラチオやクンニリングスは禁止されている。

その15の州は、以下の州である。

ソドミー法がある州
・フロリダ州
・ジョージア州
・アイダホ州
・カンザス州
・ケンタッキー州
・ルイジアナ州
・メリーランド州
・マサチューセッツ州
・ミシガン州
・ミネソタ州
・ミシシッピ州
・ノースカロライナ州
・オクラハマ州
・サウスカロライナ州
・テキサス州

上記15の州では、現在でもソドミー法が存在しているが、しかし、これらは実質、効力のない法律でもある。

なぜかというと、2003年、一人の男性がテキサス州とソドミー法を巡って争った裁判があり、アメリカの最高裁判所が、全ての州法におけるソドミー法は違憲であると判決を下したためである。

最高裁で違憲とされた後も、現在に至るまで15の州ではソドミー法が存在してはいる。しかし、最高裁が違憲としている以上、例えば今、テキサス州でオーラル・セックスしても同性間でセックスしても、いきなり違法となるわけではない。

このように、ソドミー法が存在していた国にとって、その法律が廃止、撤廃、もしくは判決法として無効とされることは、その国の人達にとって非常に画期的な時代の変化なのだろうなと感じる。

歴史は時代の変化を知ること

歴史においては、画期的変化と呼べるものがある。イギリスの産業革命、フランス革命、アメリカの独立戦争、日本の明治維新。それら有名な歴史的事件に限らず、小さい変化も大きい変化もある。歴史とは、時代の変化を知ることとも言える。

時代の変化を知る時、自身や自身がいる国や地域の価値観だけから見るのでなく、変化のあった国や地域の時代背景を探ることで、また別の見方や驚き、感動等を得ることができる。

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』で描かれた、ソドミー法がもたらした悲劇、そしてLGBTの権利尊重の変化のようにである。

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