怪文詩(2022/07/04)

「埋もれた青写真」

計画ばかり嵩んでいく。

実行未満の忘れ形見だ。

誰もが訪れなかった場所。

誰にも食べられなかった物。

嵩んでいく。

机の上は、たぬきのために、

今は空気が独占している。

いつも空気が独占している。

嵩んでいく。

誰とも過ごせなかった時間。

誰にも聴かれなかった言葉。

嵩んでいく。

彼らは無邪気に積もり積もって、

やがて消せない化石になった。

掘り出したくない化石になった。

役に立たない思いが嵩む。

見向きもされない視線が嵩む。 

名前も知らない笑顔が嵩む。

そうして心は荒んでいく。

そうして心は沈んでいく。

計画ばかり嵩んでいく。

私は埋まって塞いでいる。

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