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高級品は美味しいもの!?〜肩を張らずにフランス163

 大抵はそう。レストランなんかでは特にそう。


 クリスマスに海鮮物の缶詰詰め合わせをプレゼントされた。

 レトロな缶詰。しっかりした箱に色々入ってある。

 食べ慣れたサバ缶、イワシ缶、ツナ缶は問題ない。

 ただ1つ聞き慣れないものがあった。

 « Bisque de Homard »「ロブスタービスク?」伊勢エビ風味のスープと言ったほうが分かりやすいかも。

 フランス料理にはブイヤベースなど魚のスープがある。地中海地方の名物だが、食べた方なら分かると思う。かなりクセがある。クセというより魚と海の匂いがプンプンする。好き嫌いがはっきりしそうな料理。

 ウチは結構好きで、気が向くと作ることもある。

 さてこのビスク。ウチの味覚以上にクセがあった。不味くはない。ただ申し訳ないが手放しで美味しいとは言えなかった。

 ロブスターなんて一生に何度も口に入れられる物じゃない。身は大変美味な物なんだろう。

 でもこの味だけを魚のスープに加えられても、エグさが増すだけに思えた。

***

 以前 « truffe »「トリュフ」の詰め合わせという何ともデラックスなものをプレゼントされた時も同じだった。

 トリュフの味なんて知らない。貴重な食材だということは知っている。

 興味津々でパテを開け、パンにのっけて食べた。

 「ウッ!」となって吐き出しそうになった。

 形容仕様のない味。この味は知らなかった。香りはどこかで嗅いだことがあるような気がした。

 その後このパテには誰も手をつけずそのままになってしまったと思う。

 同じ詰め合わせの中にあった「トリュフ風味の塩」は今でも使っている。サラダにかけるとほんのり香りがする。これはこれで風味があっていい。

 トリュフそのもの味は一般庶民には理解しづらい味としか言いようがない。とてもじゃないが齧りつけるものじゃなかった。

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 日本の料理でも同じ。やはり食べ知っていないとその良さは分からない。

 自分には「イクラ丼」の良さは分からない。「ウニ」の味も分からない。

 非難されてもバカにされてもしょうがない。良さが分かるほどの経験を積んでいない。

 以前にも紹介した表現で « Confiture au cochon »「豚にジャム」というのがある。「豚に真珠」と同意。

 豚には申し訳ないが、十分理解できないのなら味慣れた物のほうが何倍もうれしいに決まっている…


 後日談だが、トリュフの詰め合わせをくれた本人も「アレは食えない」と白状していた。


 そういうものだ。

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