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起きるイベント

 肌寒さに起こされて、カーテンの外の曇り空を一応確認してみる。顔を洗う水は、まだ冷たかった。そして、予約時間を間違えた炊飯器が残り45分のノンレム睡眠。慌ただしい一週間が、そんな感じで終わりに近ずく。
 恐らく天気のいい週末。使った頭の中をほぐすには、睡眠よりも適度な散歩が良いと思い、運動用のウエアに着替え外に出た。
 速乾性の上下のウエアは風で飛んでいきそうなほどに軽い。これで2千円くらいしかしないなんて企業努力の賜物だと関心しながら、朝3番か、4番の伸びをした。シャカシャカと袖が音をたてると、大した運動をするわけでもないのにアスリート気分と自立した成人だと思えるのが嬉しい。近所の知らないご老人にも笑顔であいさつできそうなテンションで、歩いて6、7分の公園へ向かって進む。
 風が無いのに雲が動いている。
 木漏れ日。
 人間とは、なんて単純なのか。アリバイというか目的があるだけで、誰もいない住宅街を歩いていることに後ろめたさを感じることも無いばかりか、立ち並ぶ家々の外壁の色は、これからの自分の物語をカラフルにしてくれている背景のような気にさえしてくれる。
 
 舞鶴公園の入り口の木の下は、渇いている。
 たしか、有酸素運動は20分以上すると効果的なんだっけと、以前ダイエットをしていた時のことを思い出す。気が付けば、空を見上げるには目を細める必要があるくらいに明るくなってきている。公園の中を、深く息をしながら歩き、それから、ただ帰る。恐らくは、そろそろ炊飯器も起床の時間だろう。
 帰り道は、ちょっとランニングのまねごとをしてみる。すぐに息が上がってしまったけど、「やっぱりな」と笑った。


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